撮影場所、撮影年月共に不明 なんということだ
**これは珍しいんです。ここに雀がとまるから、すずめ踊りとかすずめ遊びと言います。実は、これが相当重要な問題を孕んでいると私は見ているわけです。**(前稿に載せた藤森照信展のカタログより)
藤森さんは小屋根のてっぺんにのっている「ヘンなもの(藤森さんの表現)」、菱形のてっぺんの木片を鳥を意識したものではないか、と指摘する。屋根の上に鳥を飾る習慣が古くからあって、これは天と人間を鳥がつないでいるという思想に基づくものではないかと。銅鏡に描かれた古墳時代の絵にも屋根の棟に鳥がとまっているものがあるそうだ。
日本でも行われていたとされる鳥葬は死んだ後の魂が鳥に運ばれて天に行くという考え方によるものだった。それが現在のすずめ踊りに残ったのではないかというのが藤森さんの説。
5千年も前の土葺きが芝棟として現代まで伝わっているのだから、この鳥も古墳時代のものが伝わったのではないかとの指摘。
小屋根のてっぺんの仕口(接合部)を雨水から保護するために、大工さんが用心深く付けた単なる覆いとしての部材に過ぎないのではないか、と私などは思ってしまうのだが・・・。
藤森さんの説に従って本稿を「建築に棲む生き物たち」のカテゴリーに入れる。
メモ)芝棟を土葺きのなごりとする説もおもしろい。
1942