■ 国立新美術館の空間構成は単純明快だ。行きたい展示室がエントランスホール(3層吹き抜けのアトリウム)で簡単に分かる構成になっている。不特定多数が利用する大型の公共施設はやはり分かりやすいことが重要だ。この「新美」以上に分かりやすい美術館を私は知らない。サインも大きく、設置位置も適切で分かりやすい。
オープン直後、例えば「トイレ↑」のような手書きの案内があちこちに張ってある施設も中にはある。サインが小さくて分かりにくい場合もあるが、平面計画に問題があるとしか思えないようなこともある。
「新美」の場合、大胆な空間構成が功を奏した、といえるだろう。
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「新美」には世界的に有名な椅子が何種類もある。それらの椅子を紹介する説明板が設置されたと聞いて気になっていたが、展示室の奥の休憩コーナーでニューヨーク近代美術館やパリのポンピドゥー・センターにも置かれているPK80というベンチの説明板を見かけた。
50年以上も前のデザインとはとても思えない。やはり優れたデザインはジャンルを問わずいつまでも新鮮、古びることがない。