透明タペストリー

本や建築、火の見櫓、マンホール蓋など様々なものを素材に織り上げるタペストリー

823 南木曽町の火の見櫓

2017-06-10 | A 火の見櫓っておもしろい


823 南木曽町吾妻 撮影日170610

 理由は分からないが木曽谷は火の見櫓が少ない。これは県境の南木曽町の吾妻に立っている火の見櫓。木曽谷でこの火の見櫓のような一般的な形の櫓はレアだと思う。

今日(10日)木曽方面へ櫓と蓋、ツーショットの写真を撮りに車で出かけた。国道19号を下って南木曽町へ。読書(よみかき)ダムを右に見る妻籠入口という信号を左折、国道256号を進み、脇道に入ってしばらくしてこの火の見櫓の立っている場所に着いた。

様々な色の緑に埋め尽くされた山を背景にオレンジ色の火の見櫓がよく映えている。

4角形の櫓に4角形の屋根と見張り台。下り棟の先に蕨手がなくてスッキリ。見張り台の手すり子の下端が半円形に外側にふくらんでいる。よく見ると見張り台床から出ている柱にも3方手すりを付けてある。





簡易な踊り場を設け、そこで梯子をスイッチさせている。ブレースのリングがやけに小さい。


 


カイザーの黒部ダムカレー

2017-06-08 | F ダムカレー



■ 大町で黒部ダムカレーを食べた。

ダム型式:アーチ式ライスダム
堤体長: 約20cm(コンベックスにて計測)
堤体幅:   約4cm(目測)
堤体高:   約4cm(目測)
堤体重量:約300g(施工業者の広報担当の女性に確認)
施工業者:カイザー(大町市大町)

ダム湖のルーに浮かぶ遊覧船・ガルベはコロッケ製。ライスの量、300gは普段の昼食の2倍以上。毎朝体重を測っているけれど、明日の朝は測りたくない・・・。


カイザーの黒部ダムカレー 

大町駅前の店・豚のさんぽの黒部ダムカレーはまたの機会に。


大町市のカラー蓋

2017-06-08 | B 地面の蓋っておもしろい

 

◎ 所用で大町市役所へ出かけた。上下水道課に大町市のカラーマンホール蓋が展示されていた。描かれているのは国の特別天然記念物に指定されていて、大町市の鳥でもあるライチョウ。

オスのライチョウには目の上に赤い肉冠(この名前は知らなくて調べた)と呼ばれる部位があるが、蓋のライチョウは目が赤い。このあたりは正しく描いて欲しいところ。

背景の北アルプス、左側のピークが3つある山は爺ヶ岳、右側の山は位置関係から
鹿島槍ヶ岳だろう。鹿島槍ヶ岳はピークが2つある双耳峰で特徴のある山容だが、描かれている形では鹿島槍ヶ岳だと判断できない。かなりグラフィックなデザインだから仕方がないか・・・。




 


カレーフェスティバルで優勝

2017-06-07 | F ダムカレー


信濃毎日新聞6月7日付朝刊

 今日(7日)の朝刊にこの記事が載っていた。記事によると、黒部ダムカレーが、ご当地カレー日本一を決める「よこすかカレーフェスティバル2017」で初優勝したという。同フェスティバルは今月の3、4日に横須賀で開催され、約5万1千人の来場者があったというからすごい。

参加したのは大町駅前の豚のさんぽ、ここのダムカレーはとてもボリュームがある(過去ログ)。優勝を祝してここの黒部ダムカレーを食べに行こう!


 


ブックレビュー 1705

2017-06-07 | A ブックレビュー

■ 5月に読んだ本は4冊。

『恋歌』朝井まかて/講談社文庫
『ぬけまいる』朝井まかて/講談社文庫
『痛覚のふしぎ 脳で感知する痛みのメカニズム』伊藤誠二/講談社ブルーバックス
『人はどのように鉄を作ってきたか 4000年の歴史と製鉄の原理』永田和宏/講談社ブルーバックス

朝井まかてという作家については名前も知らなかったし、むろん作品を読んだこともなかった。樋口一葉の師として有名な歌人中島歌子を主人公にした『恋歌』(直木賞受賞作)と江戸娘三人組のお伊勢参り騒動記『ぬけまいる』とは作品の雰囲気がかなり違う。意識的に書き分けているのだろう。

樋口一葉に関する本を何冊か読んでいるので中島歌子という歌人の名前は知っていた。が、商家の娘として育ち、十八で水戸の藩士に嫁ぐも夫が天狗党の志士であったために投獄されるなど凄絶な人生を送ってきた人だということは『恋歌』を読むまで知らなかった。

歌子は獄中にあって、役人に向かって次のように言う。**「惜しむらくはこの水戸藩でありましょう。内紛で有為の人材を死なせ、無辜の妻子を投獄し、この血染めの土地の上にいかなる思想を成就されるおつもりですか」** この言葉が一番印象に残った。歌子の何というか、負けん気の強い、筋を通す、そのような性格が出ている。このくらいの言葉をぶつけるくらいの気概がないと・・・。

江戸のアラサー三人組が突如お伊勢参りに繰り出した。ハラハラ、ドキドキもある『ぬけまいる』。

ブルーバックスを読むことはあまりないが、5月は2冊続けて読んだ。たまたま読みたい内容の本がブルーバックスだった。『痛覚のふしぎ』、**体内で起きている痛みのメカニズムを解説。**とカバー裏面にある。そう、この本を読むことにした動機はこの解説を読みたかったから。でも途中からは痛みを「解決」してくれる本が読みたくなった。

『人はどのように鉄を作ってきたか』は製鉄法の技術史。机上の研究ではなく、実際に鉄を作ってみるという実践的な研究を通じて知り得たことを具体的にかつ詳細に書いている。

火の見櫓のリング式ターンバックルはどのようにつくられていたのか、という疑問から、鍛接という言葉を知った。さらに鉄のつくり方を知りたいと思い、この本を読んだ。鉄は実にデリケートで温度や炭素量などの条件をかなり厳密に整えないと、上手くできないことが分かった。温度計すらなかった時代から現代までの製法について一通り分かる本。






信濃美術館

2017-06-06 | A あれこれ


噴水越しに信濃美術館の正面を見る  撮影日170605

 長野県信濃美術館は1966年(昭和41年)に開館した。設計者は日建設計のという所属事務所を記載する必要はなく、ただ林昌二氏とだけ記せばよいだろう。

手元に新建築社から出版された『林昌二の仕事』という本がある。林氏の代表作である三菱ドリームセンター、パレスサイドビル、ポーラ五反田ビルが実施設計図面(当時は手描きだった)、施工中や竣工後の写真、説明文等によって詳細に紹介されている。

この本には「林昌二とその作品」と題する内田祥哉氏の論考が収録されているが、その中にこの信濃美術館も取り上げられていて、**善光寺に近く、善光寺を意識してつくられたことがよく分かる作品である。庭に噴水があり、これがクーリング・ポンド、つまりヒートポンプ用の、冷却装置と貯水槽である。(中略)このクーリング・ポンドは単なる一作品の噴水というより、専門的産業遺産と考えるべきかもしれない。**と、美術館前の公園にある噴水(写真)のことが書かれている。

この信濃美術館は開館から50年経過して老朽化が進み、全面改築が予定されている。新しい美術館の設計者をプロポーザルで選出することになっていて、昨日(5日)二次審査を通過した4社(応募33社、一次審査通過11社)により公開プレゼンテーションが県庁で行われた。各社のプレゼンを興味深く聞いたが、この噴水を新たな計画に積極的に取り込むという提案はなかった。また、現美術館の設計者・林昌二氏に触れたのは1社、設計者に選ばれたプランツアソシエイツの宮崎浩氏だけだった。氏は現美術館の記憶を水庭として残したいと語っていた。過去を未来につなぐ具体的な手法の提示だ。


美術館の東側の道路(美術館の敷地より約9メートル高い位置にある)から城山公園の緑超しに善光寺を望む

宮崎氏の提案は「つながる美術館」をコンセプトに掲げていて、善光寺から美術館の敷地に伸びる軸線を捉え、新美術館を善光寺に対して直行配置し、善光寺に向かって真っすぐ伸びる屋上庭園(東側の道路と同レベルでつながる庭園で、第二の城山公園と位置付けている)を計画している。善光寺とのつながりを強く意識させる、敷地の持つ特性・力を建築化した提案だ。

これから基本設計、さらに実施設計へと作業が進められていく。新美術館は2021年度の開館が予定されているが、どんな美術館ができるのか、またこの噴水がどのように扱われるのか、注目していたい。


 
新しい信濃美術館の設計者に決まった宮崎浩氏が設計した高橋節郎記念美術館(安曇野市穂高)


朝カフェ読書「敗者の想像力」

2017-06-02 | A 読書日記



 時は流れ季節は巡り早6月。

先月読んだ新書2冊は共に理系本だった。だからという訳でもないが昨日から読み始めた『敗者の想像力』加藤典洋/集英社新書は文系本。

カバー折り返しに本書が次のように紹介されている。**(前略)日本の「戦後」認識にラディカルな一石を投じ、九〇年代の論壇を席巻したベストセラー『敗戦後論』から二〇年。戦争に敗れた日本が育んだ「想像力」を切り口に、敗北を礎石に据えた新たな戦後論を提示する。
本書は、山口昌男、大江健三郎といった硬派な書き手から、カズオ・イシグロ、宮崎駿などの話題作までを射程に入れた、二一世紀を占う画期的な論考である。** 

帯には
**日本が嵌った対米屈従の迷路を解き明かし、意外な出口を指し示す。 岸田 秀 **
**敗者の想像力は、勝者のつくる世界の「見え方」から、もっと豊饒な世界の方へ、人を解き放つ。 見田宗介**
**敗者の力に未来を託し、思想に深みを加えた、成熟した戦争論 養老猛司**
等の推薦文が並ぶ。

今週末はこの戦後論を読む。