(習成館)
習成館
剣道場「習成館」は、明治十二年(1879)、旗本出身の柴田衛守が創設したもので、現在都内では最古の剣道場といわれている(新宿区信濃町11‐12)。
柴田衛守は、幕末鞍馬流の免許皆伝を得た剣客で、維新後は駿府に移り、明治六年(1873)頃、東京に出た。西南戦争にも陸軍看護長として出陣した。明治十二年(1879)、四谷警察署の撃剣世話掛となり、四谷箪笥町に道場を開いたが、この道場は流行らず、その後は四谷の地で幾度か道場を開いては潰すことを繰り返したという。明治十九年(1886)、四谷左門町に新たな道場を開いた際に勝海舟により習成館の名付けてもらった。戦前までは海舟揮毫の「習成館」の文字が道場に掲げられていたそうだが、残念ながら戦災で焼失してしまった。習成館が現在地に移ったのは大正七年(1918)のことで、現在も柴田家によって鞍馬流剣術が引き継がれている(「勝海舟関係写真集」(出版舎 風狂童子)より)。