青山円形劇は、普通の劇場と違って座席とステージがある部分はまさに丸い部屋。
それをドーナツのように通路が囲んでいて、その一部に楽屋が2つある。
わが劇団の場合、ステージが半円の形で中央にあって、
そこから左右45度の角度で扇状にステージが広がって行く。
楽屋は2つとも女性用。
我々男性陣は、丁度、ステージの裏側に当たる通路に鏡台を置いて
楽屋というよりは、メイクをする場所になっている。
そんな訳で、僕らの後は通路なので女性たちが
上手や下手に移動する時に通るんですよ。
そういう意味で出番を待つときは何となく落ち着かない。
今年の出入り口はいつもと通路の向きが逆で戸惑いました。
今までは上手、下手共に出入り口から外に向かって通路があったんだけど
今年は舞台の関係で、内側に向かって出入りした。
そんな訳で、土曜日の公演では行き止まりの方に行こうとする人が
結構いて、僕も2回ほど間違っちゃった。
そのたびに誤魔化して向きを変えるんだけど、
お客さんで気がついていた人も居たんじゃないかな?
慣れと言うのは面白いもので、意外と簡単に頭が切り替わらない。
そんなことに気がついたお客さんは、そういう意味では
我々の舞台をよく観に来ている人なんじゃないかな?
メイクに使うドウランは、ファンデーションというよりはフェイスペイント。
僕は意外と肌が弱いみたいで、これを塗ると顔がヒリヒリとして痒くなる。
若手の山中君に『こすり付けないで叩くようにのせないと痒くなる』
と教わって、トントンと叩くようにドウランを重ねて行く。
50歳過ぎてから、顔にしみが目立ってきたんだけれど
ドウランを塗ると、これが消えて顔が若返ったようになる。
女性が化粧をすると別人になるように、我々男性も変身する。
Wさんは眉毛まで書いて、まるで別人の顔になる。
僕がふざけて『ほっぺたに赤で渦巻き描こうよ』
って言うと、大笑い。
男性陣全員で、2幕の頭に海賊の格好をしたのだけれど、
その時にそういうおふざけをしても面白かった気がする。
でもね、やっぱりステージドアのおじさんたちはそこまで崩せない。
皆さん、僕と違って紳士ですからねぇ・・・
いつもメイクをするたびに、ワイワイがやがや・・・・
男性陣は色んな意味でチームワークが良いなぁ・・・って思う瞬間。
今年は女性のメイクがちょっと面白かった。
付けまつげが長くて、何だか皆、人形みたいな目元。
僕の相手役の幸代さんまで、そんなメイクをするものだから
本番中に目を閉じて、開けた時にまるで昔の横にすると眠る人形を
起こしたときに目が開いたみたいな動きに、一瞬笑っちゃって
せりふが飛びそうになっちゃった・・・・。