この間の芝居の公演で、いわゆる「ひも」の役をやった時に
使った小物に腕時計があった。
暫く使っていなかった時計なので、公演の途中でベルトが切れてしまい
2日目の公演からは、使わないで芝居をした。
それで、公演後に新しいベルトをつけようと時計屋さんに行ったのだけれど
時計のベルトって言うのは、メーカーや機種によって微妙に違うらしい。
それで出直しって言うことになって、帰ってから機種を調べてみた。
SEIKO 『Gold feather』
15K 25石 機械式手巻き
機械落径 26.6mm 12型 機械厚2.95mm 振動数 18,000振動
いわゆる、昔の手でゼンマイを巻く古い腕時計。
でも、この時計は今まで時間が狂ったことが無い。
薄さ3mmなんて、今の時計でもお目にかかれない薄さ。
針も本当に細くて、昔の日本製の機械って言うのは、やっぱり凄い。
この腕時計、どんな経緯で僕が使うようになったかは覚えていないが
確か、二十歳になったときにオヤジから貰った気がする。
で、SEIKO 『Gold feather』でインターネットで検索。
すると、何と凄い時計だってことが判った。
昭和35年(1960年)製 当時の値段で3万3千円
昭和35年の物価を調べてみたら
白米10Kg:870円、公務員初任給:12,900円、豆腐1丁:15円、日雇労賃:450円
ちなみに2012年国家公務員の初任給は大卒181,200円、短大172,200円、高卒140,100円
ということはどう考えても今なら30万円を下らない高級時計ってことになる。
これには、僕もちょっとびっくりした。
で、SEIKO『Gold feather』について色々調べてみた。
当時のキャッチフレーズは「世界1薄い中三信針腕時計」
「機械の厚さわずか2.95mm」「フェザータッチ」
1960~1966年製造された 羽のように軽くて薄い時計 「ゴールドフェザー」
当時は薄型が流行、また技術の象徴としての薄型があった。
この『Gold feather』から落下による衝撃などを防ぐ
「ショックバネ」機構等が採用されはじめたらしく、
落下に強い時計の登場として画期的なものだったらしい。
それまでのセイコー社などの携帯型時計は落下すると
部品が必ずといっていいほど破損するため、
その都度時計修理に出すというほど落下に非常に弱かったのです。
メーカーもユーザーもそういう意味では、腕時計というのは悩ましいものだったらしい。
それだけに、当時の技術者にとっては落下に強い時計機構の開発は命題であり、
『Gold feather』はその試験機としての役割を担って登場したらしい。
その後、この機構をモデルとして、同社クラウン、クロノスという
ショック対応型の腕時計が誕生して行ったというから、
この時計『Gold feather』は、国産時計の問題点をクリアーへと導いた、
腕時計という物の歴史の中でも、確固たる地位を築いた国産時計の革命児だと言える。
問題解決のため、腕時計の革命児・・・・
そういう響き、好きだなぁ。
まぁ、僕の場合は問題児、異端児、一匹狼、野武士・・・だけど
そんな話を知って、何だかこの時計が物凄く好きになっちゃった。
大事にしてきて良かったなぁって・・・