やっと土曜日。家の解体まで残り2日となった。
今日は、いつもどおり長女が後から来て手伝ってくれた。
午前中に実家へ行き、解体業者と打ち合わせ。
家の中が全く片付いていないのと、古い道具や食器があるので
解体業者の仲間の、古物商を呼んでくれる事になった。
午前中はひたすら仕分け。
昼過ぎに長女がやってきて、お昼を食べていないと言うので
荻窪の駅まで行って『荻窪ラーメン』の老舗に連れて行ってやった。
行ったのは「丸福」という、お店。
今だから荻窪はラーメンで有名だが、30年前はこの「丸福」と
「丸信」と言う店くらいしか無かった。
「客の入らない店再生」みたいなテレビ番組で、名が売れて
ここ10年くらいで行列が出来るようになった「春木屋」も
荻窪では老舗だったかな?
他の店は、僕らに言わせれば『偽者』。
元々あった「丸福」はかつて有った市場の中にあったお店。
今でも残っているのは、そこから暖簾分けして開店して、
やっている言わば2号店の方。
長女と並んでラーメン屋のカウンターに座るなんて嘘みたい。
メニューなんて気の効いたものは無い。
有るのはしょうゆ味の中華そばにチャーシュー麺だけ。
オヤジさんのラーメンの作り方がダイナミックで
『なんか、格好いいねぇ』って、長女が感心していた。
目分量だけど、食べてみると美味しいんだよね。
やっぱり東京もんは、しょうゆラーメンだなぁって思う。
味噌ラーメンやとんこつ味なんて、東京の人間が食べるものじゃない。
と言いながら、娘とスープまで飲み干して完食!
実家に戻って、娘はおばあちゃんの思い出に浸るように
家中の写真を撮り捲っている。
僕は仕分けしたグラスや、お猪口、徳利をテーブルの上に並べる。
お気に入りはショットグラス。テキーラやウィスキーを
ぐいって一気に飲む、あのグラスですよ。
割れないように娘が新聞紙を切って、丁寧に一つずつ包んでくれる。
ずっと一人で片づけをしてきたから、何だか今日は嬉しかった。
こういう時間を過ごすのは、いつも長女と一緒。
あと2日でこの家ともお別れ。
娘も、少なからず思い出があるみたい。
大好きだったお婆ちゃんの思い出が、消えちゃうのが寂しいらしい。
思い出を簡単に捨てられない・・・・
そういう感性が、どこか僕に似てるのかもね・・・