映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ハンナ   シアーシャ・ローナン

2012-02-13 22:22:07 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「ハンナ」これは抜群にいい!
ここしばらくのDVDでは一番好きな作品となった。

CIAの元エージェントだった父親に殺人兵器のように育て上げられた少女の物語だ。
序盤戦からテンポもよく、フィンランドの美しい雪景色をはじめ映画「バベル」でも登場したモロッコ、スペインのバックも視覚的にも十分楽しめる。主人公シアーシャローナンはアクション作品主演としてもすぐれていたし、16歳の少女の繊細な心情を演じるのも見事であった。しかも、少女の敵となるケイト・ブランシェットが冷徹なキャラを見事に演じうまい。しびれっぱなしであった。


映像はフィンランドの雪景色が映し出される。美しい!そして主人公の動きにアッと驚く。
凍りついた世界の中で、父親ことエリックバナと娘ことシアーシャが小さい小屋でひっそりと暮らしていた。彼女は元CIAエージェントであった父親に鍛えられ育っていた。殺人兵器のように育てられていたが、テレビもラジオもなく、父親が口で伝える知識だけが彼女の唯一の知識であった。
戦闘力が父を越えるまでになったハンナに、ついに外の世界へ旅立つ日が訪れる。CIA捜査官マリッサを標的にすることが使命で、母親の仇ということだった。父親はしずかに小屋を去り、ハンナは残った。しかし、CIAはすぐさまアジトを逆探知して、部隊をフィンランドに送り、彼女は確保される。
確保されたCIAのアジトに主人公は一人拘留されていた。
そこでかつての父の同僚であるCIA捜査官マリッサことケイト・ブランシェットの命令で尋問がはじまる。ところが、完全に隔離していたこのアジトからハンナは脱出してしまう。外はフィンランドと対照的な乾ききったモロッコの乾燥地帯であったが。。。。


今回はアクション映画に挑んでいるが、ジョーライト監督は「つぐない」を撮った女性映画のプロである。そのプロが少女を殺人兵器にして描くアクションサスペンスが最上級のレベルまで達しているということをを示してくれた。旅先で出会った家族のインテリの母親やあっけらかんとしたアメリカンの娘との対比を見せながら、野性の少女のような主人公の姿を浮き上がらせる手法は実にうまい。
セリフは多いわけではない。簡潔だ。映像でセリフが表現しようとするものを伝える。


当然ながらリュックベッソン監督の名作「ニキータ」をストーリー的には連想させる。でもそのレベルにとどまらないのは、主人公 シアーシャ・ローナンの抜群の演技力であろう。想像もつかないほどの将来の大器であるといっていいだろう。男っぽく走る。最後まで走りまくる。しかも、素手のアクションが多く、体力的には消耗するだろう。役作りの凄味に驚いた。
同時にケイトブランシェットもCIAの女性幹部を実にうまく演じた。知性が強い印象だが、今回のような冷徹な役はお似合いだ。エリザベス1世も気が強いもんね。実はこういう男まさりの素質があるのかもしれない。


書き出すときりがないが、シーンでおもしろかったのは、ドイツのグリム童話の家での場面だ。連想したのはオーソンウェルズの1947年の名作「上海から来た女」だ。いくつかのプロットに類似点を感じたが、「上海から来た女」の最終の遊園地の場面とダブってしまった。名作と比較するのも何だが、こっちの方がいい。女性2人の凄味に圧倒されてしまった。
好きな作品の一つになった。
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わたしを離さないで  キャリーマリガン

2012-01-12 18:44:39 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「わたしを離さないで」は若手人気俳優3人による2010年のイギリス映画だ。原作は日本生まれのカズオ・イシグロによる。ジャンルは恋愛映画の気もするが、SF映画という設定である。
「17歳の肖像」のキャリー・マリガン、「ソーシャル・ネットワーク」のアンドリュー・ガーフィールド、「ドミノ」のキーラ・ナイトレイの3人とも主演級。彼女たちが普通のラブストーリーを演じるのでSFらしさを感じさせない。まずは彼らの青春の偶像を語られる。そして徐々に彼らのせつない運命がわかっていく。ここに語られている臓器移植の話は本当にせつない。臓器移植をせざるを得ない運命に支配されているような人間が本当にいる。なんてつらい運命なのであろうか。3人の若者の運命に思わずジーンとしてしまう。


舞台は60年代のイギリス郊外だ。人類の平均年齢が100歳になっているというクレジットに何か間違いじゃないかと感じるがそのまま普通のストーリーがはじまる。自然に囲まれた中にレンガ貼りテューダー様式の寄宿学校が建つ。ここで主人公である3人は幼い頃からずっと一緒に過ごしてきた。その思春期の姿を映す。初々しい恋の表現も青春ものらしい色彩だ。しかし、この学校にはいくつもの謎があり、先生には絶対服従の教育を受けていた。子供たちには、帰るべき家がなかった。そして少しづつ先生たちが彼らの将来について語り始める。

キャシー(キャリー・マリガン)、ルース(キーラ・ナイトレイ)、トミー(アンドリュー・ガーフィールド)の3人は、18歳になり寄宿学校を出る。農場のコテージにうつる。そこには他の学校からきていた若者たちもいた。ルースとトミーは恋を育んでいく。キャシーは幼いころから一緒だった2人のそばにいる。恋人をつくらず一人だ。しかし、この3人の関係は微妙に変わっていく。やがて、彼らはコテージを出て離れ離れになる。それぞれが逃れようのない運命をたどらざるを得ないが。。。。


解説をよく読まないで映画を見始めたので、人類の平均年齢は100歳というコメントにまず驚く。通常SFというと近未来のことを語ることが多い。ここでは60年代から70年代という時代設定になる。であるから普通の青春ストーリーの肌あいだ。不自然さはない。

そんな時ある教師が突如として彼らの運命を語り始め、学校を辞めてしまう。そんな状況で生徒たちはみんなうすうす知っているのであろう。「3つ臓器を抜かれて持つ人もいるが。。。」なんて話は本当にどぎつい。中盤から終盤への展開は切なさを助長した。本当にジーンとした。東アジアを舞台にした日本映画「闇の子供たち」を連想した。あの映画もどぎついが、これもどぎつい。

ここであえてSF映画のようにしたのは何か意味があるのかもしれない。現実の話だったら大変だなあと思いながら、世界のどこかでこういう話がありうる気がした。

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メアリー&マックス

2012-01-10 19:01:05 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
メアリー&マックスはオーストラリアのアニメ作品だ。
メルボルンで暮らす孤独な少女メアリーを一人称にして、ニューヨークに住む自閉症の中年男性マックスとのかかわりを描く。彼らが20年間にわたる文通を通して強い絆を育んでいくのが主題である。比較的評判がいいので見たが、実写じゃない分、気持ちが伝わらない感じがした。イマイチ自分には合わなかった。


オーストラリアのメルボルンに住む8歳の少女メアリーは、万引きに夢中でシェリー酒中毒の母ベアラと、死んだ鳥を使った剥製の製作が趣味の父ノエルと暮らしていた。おでこにあざがあるのが悩み、友達がいない空想好きの主人公だ。本物の友達がほしいと願っていたメアリーはある日、アメリカに住む誰かに手紙を送ろうと思い立つ。分厚い電話帳から選び出した一際風変わりな名前は「マックス・ホロウィッツ」
さっそく鉛筆を走らせるメアリーであった。
一方、ニューヨークで暮らす44歳のマックスは、過食症で肥満体の中年男だ。極端に人づきあいを苦手とする自閉症の彼は一人孤独な日々を送っていた。そんな彼のもとに、オーストラリアから1通の手紙が届く。メアリーとマックスの20年以上に渡る深い交流の始まりだった。



2人の友情に紆余屈折がある。その紆余屈折と孤独な主人公の女の子らしい心が映画の見せ所だが、あまりジーンとはこなかった。どうしてだろう。涙なくして見れない人も多いというのに。。。。。
自閉症というとまず連想されるのが「レインマン」これは凄い傑作だ。ダスティンホフマンは本当にうまかった。年末に「モーツァルトとクジラ」の映画を見た。自閉症にかかっている若者たちの恋を描いている。この映画で、2人はいかにも自閉症の症状というのを前面に出していく。2人の表情にうまさを感じる。今回のマックスは単なるデブというだけで自閉症らしさが感じられなかった。

当然アニメにはハンデがある。欠点だらけの人物描写それ自体はいいのであるが、なんか合わない。
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かぞくはじめました  キャサリンハイグル

2012-01-03 06:40:58 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「かぞくはじめました」はラブコメ常連のキャサリン・ハイグル主演の作品だ。
ジャケットに魅せられ見ようと思ってもいつもレンタル中でようやく見れた。

30すぎ恋人募集中というキャラが得意のキャサリンハイグルらしい作品、今回は独身なのに死んだ親友の赤ちゃんを予期せぬ形で養育するようになるという設定だ。しかも、相手はその親友に紹介されたけど、性格が合わず没にした男だ。
「赤ちゃんはファーストレディがお好き」というダイアンキートン主演の映画を一瞬想像した。予期せぬ赤ちゃんを預かることでは同じだ。今回は一人でなく二人である。日本では考えられない意外性がおもしろい。東日本大震災後のドタバタで日本で公開されなかった作品であるが、割とおもしろいラブコメだ。


主人公ことキャサリン・ハイグルが親友が紹介してくれた相手と自宅で会う場面からスタートする。
現れた男はエリックことジョシュ・デュアメルだ。親友の彼氏の友達だ。彼は1時間遅れて現れた。キャサリンにバイクの後ろに乗れと指示するが、ドレスアップしていて無理だ。レストランの予約はもちろん何の計画も立てていない。彼女の車に乗ったとたん他の女からの電話がくる。怒った彼女は即刻中止、彼らのデートはすぐさま終了した。
しかし、親友の結婚式を皮切りに夫妻のイベントには必ず二人は招待されるのだった。
その後、主人公キャサリンのベーカリー経営は順調だ。ベーカリーの客にいい男が現れ狙いを定めようとする。ところが、突然に親友夫婦が事故で亡くなり、一人娘のソフィーが遺された。夫妻は遺言でソフィーを一緒に育てる共同後見人として主人公とデートに失敗した男を指名していた。親族に引き取り手もなく、いやいやながらも亡き夫妻の家に引っ越す。キャサリンはレストランの開店準備、ジョシュはスポーツ番組のディレクターを目指しているところだ。二人は分担しながら育児をしようと努めるが、赤ちゃんは思うようにきかないが。。。。


日本では当然のように親族に預けられ、そこでゲームセットだ。ところが、アメリカは事情が違うようだ。結婚したばかりなのにと思うが、遺言を残していたらしい。弁護士も多い法廷社会のアメリカではこういう習慣もあるのであろう。それにしてもこんな状況は日本ではありえない。逆に興味がわく。

個人的には「赤ちゃん」が入った映画は好きだ。無邪気な姿を見ているだけで楽しい。どの映画でも思い通りにならない。「リッキー」みたいに羽が生えて飛んでいくなんてことはそうあるわけでないが、どの映画でも病気になったりして育児する人間をとまどわさせる。そこあたりでコメディになりやすい。
主人公は一生懸命自分のつくったベビーフードを食べさせようとするが、ちっとも食べない。下の処理もしたことないのでウンコの扱いに四苦八苦だ。挙句の果てには来客を迎えるときに顔にウンコをつけたままで登場してしまったりする。笑いを呼ぶ場面が絶えない。


日本ではまだ注目を浴びていないようだが、キャサリン・ハイグルの映画はアメリカではコンスタントに100万$を超える配給収入を得ている。若干ぬけたところのある女性を演じるとうまい。笑いを呼ぶシーンが多い。コメディがほとんどDVDスルーになる日本と違い、アメリカでは配給収入上位を明るい映画が占める。国民性の違いだろうか?
キャサリン・ハイグルは実生活でも韓国人の養女を引き取っているという。まるで映画「冬の小鳥」のようではないか。そういうところが芸の域を広げているような気がした。
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キッズオールライト  アネットベニング&ジュリアンムーア

2011-12-30 18:28:32 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「キッズオールライト」はかなり特殊な家族が生み出す奇妙な物語だ。
アネットベニング、ジュリアンムーアの主演級の女優2人がレズビアンカップルを演じる。この2人には人工授精で生まれた二人の子供がいる。今ではティーンになった2人の子どもたち。ところが、その子たちが本当の父親(精子提供者)にあいに行くという設定がなされ、小さな家族にきしみが生まれる。
ホームドラマと思しき設定だが、かなり大胆なベッドシーンもあり映画には多彩な色彩がある。


18歳の女の子ことミア・ワシコウスカには、医師である自分の母親ことアネット・ベニング、同じ父親を持つ15歳の弟、そして弟の母親ことジュリアン・ムーアの4人暮らしである。ママ二人と姉弟という特殊な家族で仲良く生活を送っている。18歳になったミアは大学進学のために一人暮らしをすることになる。
2人の子供たちはまだ会ったことのない自分たちの父親ことマーク・ラファロに興味を持ち、こっそり会いに行くことにした。レストランを経営し、気ままな独身生活をする実父に親しみを感じた二人だった。その後このことが2人の母親にわかるようになるが。。。


人工授精が日本より一般的に行われていると思われるアメリカならではの話だ。
父親については秘密を守る原則であるが、子供がどうしても会いたいという希望には答えねばならないであろう。そこで本当に父親に会いながら、子供たちは今まで欠けていた何かを求めようとする。
父親は農園を経営しながらレストランを営む経営者だ。女性遍歴も豊かでナオミキャンベルばりの美人の黒人女性が恋人だ。そんな彼も照れながら子供たちに会ううちに、次第に父親の顔を見せていく。

主演2人はレズビアン。だからと言って大胆なベッドシーンがあるわけではない。たまにはといって行為を起こそうとするときに見るのが、男性同士のプレイの映像。ちょっと変わっているなあ??
当然女性2人と父親には精子提供者と卵子を持つ女性という関係しかないが、子供という媒介を持って会うようになる。そうしていくうちに間違いも起きてしまうという構図だ。
そこで登場するのがジュリアンムーアだ。アネットが男役でジュリアンが女役といったカップルだ。その彼女がこの映画ではかなり大胆な動きをするので少々驚く。

お金をかけないでつくられた作品のようであるが、西海岸の都市特有の日差しの強いエリアのなかでグリーンをふんだんに見せながら、視覚的にも心地よい作品となっている。ワインをベースに映画をつくった「サイドウェイ」のあの感覚と同じだ。
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たった一人のあなたのために  レネー・ゼルウィガー

2011-11-27 06:02:10 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「たった一人のあなたのために」は50年代のアメリカを横断するロードムービーである。ミュージシャンの夫の浮気現場を目撃したために家を出た母親と二人の息子をコミカルに描いた。俳優のジョージ・ハミルトンの少年時代の母親との関係をベースに制作された。二人の息子を連れて家を出る母親にはレネー・ゼルウィガー、女好きのジャズマン亭主にはケヴィン・ベーコンだ。


1953年のニューヨーク、旅行に出かけていた主人公ことレネー・ゼルウィガーが早く帰宅すると、夫でジャズマンことケヴィン・ベーコンと若い娘の浮気現場に遭遇してしまった。レネーは、即座に夫に別れを告げて息子2人を連れて旅に出る。南部のお嬢様育ちで若いころはもてはやされたレネーは、いろんな男に出会う。どの恋愛も最初はいい感じでスタートするが、うまくいかない。すでに中年の域に入っている彼女には金目当てで近づいてくる男もいる。そうしていきながらアメリカ大陸を次から次へと移っていく。次の男を前の亭主のあてつけとばかり探してもそうはうまくいかない。。。。一方息子たちは母親に振りまわされて大変だが、次第に自分たちの道を見つけようと悪戦苦闘しはじめるが。。。


50年代ゴールデンエイジといわれたアメリカが舞台だ。色彩設計もよくいい時代のアメリカを見せる。ストーリーはドタバタ喜劇といってもいいだろう。ロードムービーとして次から次へといろんな人たちとの出会いを見せる。なけなしのお金を盗まれたり、結婚詐欺にあったり災難つづきだ。姉を頼ってもじゃじゃ馬の妹に嫌気がさしている。結局浮気症の亭主の方がずっとましと思うような気分となる。いいたいこといろいろあるんだろうなあと思いながら普通の時間を過ごした。

(参考作品)
たった一人のあなたのために
レネー・ゼルウィガーのロードムービー
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愛する人  ナオミワッツ

2011-10-15 08:01:12 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「愛する人」は恋愛オムニバス映画である。アネットベニング、ナオミワッツと2人の自分の好きな女優の共演となれば見るしかない。「Mother & Child」という原題が示すごとく、劇中には多くの母と娘が登場する。若くして生んだ娘を手放した事を悔やんで生きる母親。その母に捨てられ、立派なキャリアを積みながらも醒めた目で生きていく娘。子どもが欲しいと願い、なんとかして養子をもらい受けようとする女性。ロドリゴ・ガルシア監督は、3人の女性がさまよう情景を映し出す。


3つのストーリーが同時に流れる。
アネット・ベニングは介護の仕事をしながら年老いた母と暮らしていた。37年前、14歳の時同級の恋人と交わりその子供を身籠る。まだ若すぎて赤ちゃんを手放さざるをえなかった。それもあってか気難しく女性に育っていた。人と素直に接することができないでいた。今の職場の同僚にはそんな彼女を理解してくれる人がいるが。。。。
母親の愛情を知らずに育った娘ことナオミ・ワッツは弁護士となった。人もうらやむ輝かしいキャリアをつんでいったが、一つの事務所にはおさまらない。新しい法律事務所では上司こと黒人弁護士のサミュエル・L・ジャクソンと親しくなった。そして誘惑する。また、隣の家に住む新婚夫婦の夫をナオミは誘惑する。しばらくたち、生理が来ないことにナオミは気づく。どうやら妊娠してしまったようだ。どちらの子かはわからないが。。。。
黒人女性ことケリー・ワシントンは、愛する夫と家庭を築きながらも、子供を産めない体であるため、養子縁組を決意。教会に登録し、ある妊婦と巡り会う。不意の妊娠で生まれてくる子供を養子に出そうとしていた女性だった。きついことをその女性から言われながらも、養子にもらおうとするのであるが。。。

この母娘の気持ちはよくわかる気がする。こころの中にわずかな隙間を作りながら生きていくのは何か辛いものである。後半戦に入り、鋭角的肌合いから少しづつ色彩を穏やかにしている。母娘それぞれの持つ本質的な愛情のようなものを見せられて、心が洗われるような気もした。

相変わらずナオミワッツがなまめかしい。かわいい顔をして大胆なことをする役はお似合いだ。マルホランドドライブからすでに10年はたつが、全く衰えは感じない。ここでもバストトップを見せる。女優魂に磨きがかかっている印象だ。逆にアネットベニングの衰えが目立つ。映画が始まり、気難しい女性を演じる。なんか嫌味な感じだ。個人的には「アメリカンビューティ」での普通の主婦役が一番似合う気がする。

それでもアネット・ベニングとナオミ・ワッツが、映画が進展するに従って、顔つきや表情まで変化していく。演技は素晴らしいと感じた。さすが当代アメリカ女優のトップクラスに君臨するわけだ。
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カントリーストロング  グウィネス・パルトロウ

2011-09-26 05:46:55 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「カントリーストロング」は日本未公開のグウィネス・パルトロウ主演の映画だ。名のごとくカントリーミュージックがテーマだ。グラミー賞を何度も受賞した歌手がアルコール中毒からの復活を果たそうとさまよう物語だ。彼女自らカントリーソングを歌う。その声はカーリーサイモンを思わせる。今回は助演の若い歌手二人ギャレット・ヘドランドとレイトン・ミースターがいい味を出していて、単なるグウィネスの一人舞台にしないところがいい。


カントリー音楽でひと時代をきづいた主人公ことグウィネスパルトロウは、アルコール依存症で療養施設に入っている。グラミー賞の受賞歴もある彼女にはマネジャーとなる夫がいた。ダラスのコンサートで飲酒騒動を起こし施設に入った。ある時夫が訪ねると、彼女の部屋には一人の若い男性カントリー歌手ことギャレット・ヘドランドがいた。地元のバーで歌っている男だがなかなか歌がうまい男だという。グウィネスは彼を自分の前座にしたいという。しかし、夫は、復帰のときには、ミスコン出身の新人女性歌手チャイルズことレイトン・ミースターをメンバーに加えたツアーを計画していた。
そのテストで新人歌手レイトンを地元のバーで歌わせようとして、ステージに上げる。ところが、あがり症で全くうまくいかない。ミスコン歌手なんてとバカにしていたカントリー歌手ことギャレットが見かねて助け船を出して、一緒にデュエットをして恰好がつく。
ミスコン歌手を引き立てようとするマネジャーとカントリー歌手が妙な三角関係にあり、グウィネスとカントリー歌手もあやしい関係にありと男女関係は複雑に入り組みながら進んでいく。しかし、復帰しようとしたグウィネスの飲酒癖はなかなか治らず、周りはひやひやしているのであるが。。。。


いきなりいい味を出したカントリー音楽でスタートする。グウィネスの歌がいいという噂だったが、若手シンガーのギャレットの歌が実にいい。ミスコン歌手の彼女レイトンも徐々にいい味を出していく。シンディローパーみたいな声だ。流れるストーリーは単純だが、カントリーの歌がもつ温かみで徐々に気分がよくなっていく。

グウィネスも「恋におちたシェイクスピア」からもう12年がたつ。もう若くはない。彼女ならでは神経質そうな役を今回もうまくこなした。映画に派手さはない。酔いどれカントリーシンガーを扱った「クレイジーハート」の二番煎じを意識してつくられたのかな。恋の話が主人公グウィネスの恋ではなく若い二人の恋になってしまっているところが違うかな?それはそれで悪くはない。それなりにおもしろかった。


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ツーリスト  アンジェリーナジョリー&ジョニーデップ

2011-08-11 22:27:37 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「ツーリスト」は当代きっての2人の俳優アンジェリーナジョリー&ジョニーデップによるラブサスペンス映画だ。ヴェネチアを舞台にしてスパイ陰謀に満ちた映画をとる。デイヴィッドリーン監督キャサリンヘップバーン主演の「旅情」を思わせるヴェネチアの情景にはうならさせられる。ただ一つ違うのは、片やロマンスに対して、この映画は陰謀に包まれただましあいサスペンスということだ。



パリのオープンエアーのカフェに主人公の一人ことアンジェリーナジョリーが一人たたずむシーンが映し出される。そこに郵便配達人が手紙を届ける。彼女は逃亡中の国際指名手配犯アレキサンダー・ピアースの恋人とみなされパリ警察の捜査官が張っている。「8時22分、リヨン駅発の列車に乗り、僕の体型に似た男を捜せ」中身を一瞥して手紙をすぐに燃やしてその場を立ち去る。あわてる捜査官たちはすでに焼けている手紙を鑑識に出す。

指定されたパリ・リヨン駅発~ヴェネチア・サンタルチア駅行のユーロスターの列車にアンジェリーナは乗る。そしてある男に声をかける。その彼はアメリカ人旅行者のフランク・トゥーペロことジョニーデップであった。いきなり飛びきりの美女が来て驚くジョニー。

そんな二人の様子は列車に乗った捜査員に見張られていた。鑑識で文字が解読されたのだ。捜査員はジョニーの顔をメールでロンドン警察に送信した。しかし、ジョニーはごく普通の数学教師であることが判明した。結局彼は駅で検挙されずにヴェネチアの町へ。そこにボートでアンジェリーナジョリーが迎えに来る。戸惑う彼をよそに、ヴェネチアの高級ホテルにジョニーを誘う。。。。。その後、普通の旅行者ジョニーデップはワケもわからぬまま、警察やマフィアから襲われ逃げ回るハメになるが。。。。。

本作ではアンジェリーナジョリーが魅力的な衣装をふんだんに見せてくれる。ドキッとさせる。疲れ切った女性の役を演じる時もあるが、彼女にはゴージャスという言葉が似合う。逆にジョニーデップはとっぽい数学教師を演じる。対照的に派手さがない。ヴェネチアでアンジェリーナジョリーに誘惑されて、おどおどしている。どういうことだろうと思わせる。
この映画にはいくつもの迷彩が施されている。観客の裏の裏をかこうとして仕掛けがたくさん隠されている。それはそれでおもしろかった。

古典的映画でいえば、ケイリーグラントとオードリーヘップバーンの「シャレード」が連想される。謎の紳士グラントとヘップバーンが大金の行方を追う。ヘップバーンのジバンシーの着こなしは国士無双のあでやかさである。この映画は喜劇役者の使い方もうまく実によくできた映画であった。
また、ヴェネチア観光案内の色彩が強いデイヴィッドリーン監督キャサリンヘップバーン主演の「旅情」の影響も感じられる。「旅情」はサンタルチア駅に着く寸前の海が見渡せる車窓からスタートした。ここでも同じように映す。何度も行ったことがあるように我々を錯覚させるかがごとく「旅情」と同じような風景が映し出される。
そんな映画の影響こそあれど、現代版ラブサスペンスにうまく作り上げられている。やはり当代きっての人気俳優の共演というのは娯楽としての基本にかえって見ていて楽しいものである。

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食べて、祈って、恋をして  ジュリア・ロバーツ

2011-08-05 20:26:07 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「食べて、祈って、恋をして」はベストセラーの映画化でジュリアロバーツが主演だ。お気楽そうなイメージで見てみた。ニューヨーク在住のライターが身辺がうまくいかず、むしゃくしゃして旅に出るという話だ。映画としてはどうってことないが、旅行記と割り切って見てみると割と楽しい。深く考えずに楽しめばいいんじゃないかな。


ニューヨークの旅行ライターの主人公ことジュリア・ロバーツは仕事にプライベートに忙しい日々を送っていた。どこか満足しきれない思いを抱えている彼女は離婚を決意。その後若き俳優と恋をするがうまくいかない。失恋と離婚を経験した彼女はある日自分探しの旅に出ることを決意した。それは、イタリア、インド、バリ島を巡る一年間の旅であったが。。。

女心ってよくわからない。というのが映画を見ての感想だが、映像的には楽しまさせてくれた。「白いリボン」が白黒で長まわし中心の撮影だったのと対照的にカットが多く、色彩的にきれいな映像をたくさん楽しめる。盛りだくさんだ。編集は絶妙だ。
ナポリでは料理を食べる場面が楽しそう。朝食も含めみんなでワイワイガヤガヤ食事する。テーブルクロスの色がカラフルで食欲を増幅する。なんかファンキーでいい。しかも、料理の映し出し方がうまい。ライティングが絶妙で料理雑誌のように美しく映し出す。ジュリアロバーツが若干太麺のパスタをワイルドにフォークを使って食べる。おいしそう。ダイエットを気にする友人に太ったら太ったで太めのジーンズを買えばいいじゃないのとジュリアがいいながらピザを食べるシーンが豪快だ。


インドは瞑想の話だ。「扉をたたく人」で主演を張ったジェンキンスがジュリアのお相手だ。残念ながら恋の相手にはならなかった。象と戯れていたけどインドの風景はどうもジュリアには似合わない。

バリ島の映し出し方は実にうまい。アジアンテイストの籐をつかった小物を効果的にインテリアに使う。南国フルーツの色合いも色彩設計には効果的だ。ホテルの部屋のセンスもいい。オープンエアーのバーがトロピカルな雰囲気でファンキーに楽しむ場面は最高。思わず行きたくなった。


ジュリアロバーツのギャラはうん十億だという。しかもこの映画世界をロケで巡って相当金がかかっていると思う。ぜいたくな映画だ。そういうぜいたくな気分を映像の中で味あわせてくれるだけでいいんじゃない。
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ザ・ゲーム  キムベイシンガー

2011-07-01 19:05:27 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「ザ・ゲーム」はキムベイシンガー主演のサスペンス映画だ。その他にも豪華な主演級のスターが登場する。ギャンブル狂いが基本テーマとなっている。DVDを借りに行って、思いもかけずにこの作品があり正直驚いた。2006年の作品で日本未公開、キムベイシンガーのファンのくせに存在すら知らなかった。3つのストーリーをパラレルにスタートして、最終収束させるオムニバス映画の形式をとる。



小説家の主人公ことキム・ベイシンガーは、新作が書けない日々を送っていた。通りすがりにカジノに入った時、ビギナーズラックでブラックジャックに勝ってしまう。横にはコーチ屋のダニー・デヴィートがいた。ところが、そうは簡単に連続で勝たせてくれない。気が付いてみたら預金を使い果たしてしまう。仲のいい夫ことレイ・リオッタには言えずにいて、悩んだキムベイシンガーはコーチ屋のダニー・デヴィートにこぼす。もともとは人気の手品師だった彼と手を組み、元金を取り戻そうとするのであるが。。。
配管工事をしている男ことフォレスト・ウィッテカーには自慢のバスケットプレイヤーの弟がいた。でも多額の借金に悩んでおり、あぶない筋に脅迫され、借金の肩代わりに弟に八百長をさせている。しかし、兄弟ともども良心の呵責に悩んでいた。


ノミ屋のグループも映し出す。悪にはまっていくボクサー兼ノミ屋と親玉ティム・ロスを中心に映すが、そこに摘発を狙う刑事たちも映す。同時に裏社会で帝王と呼ばれている謎の男の存在も匂わせる。
そういう3つのストーリーを同時並行させるが。。。

ギャンブルにはまる人たちとそれをとりまく連中の話である。
いかにもビギナーズラックで「ブラックジャック」のカードを連続でだしてはしゃぐキムベイシンガーをまず登場させる。大損をして旦那にないしょで大切な貯金に手を出すというのはよくある話だ。日本でも株や為替の相場の変動が激しい後には必ずこんな話はある。

そこで出てくるのがダニー・デヴィートだ。アメリカ人にしては150cm台と背が低く独特の個性を出す名脇役だ。「バットマンリターンズ」での存在感が強い。すってんてんになったキムベイシンガーに泣きつかれ、大道のいかさま芸に引き込む。路上カードゲームでサクラのキムにかけさせ、大当たりをさせた後、野次馬たちを安心させゲームに参加させてむしりとる。よく競馬や競輪のおけら街道の片隅で見る光景だ。日本のおけら街道でも出目表を売っているテキヤのようないかさま師がいる。まわりの野次馬の中のサクラに出目を検証させたりして大当たりで信用させ、1冊1万程度の出目表を買わせる。これだけは万国共通のいかさま商売のようだ。

映画全般はあっさり目の印象だ。日本未公開もわかる気がする。

ザ・ゲーム
ギャンブルにはまるキムベイシンガー
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ケース39   レネー・ゼルウィガー  

2011-05-22 19:17:28 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「ケース39」怖い!
本当に怖い映画で途中で何度もDVD止めてしまった。
目を伏せること数回、ドキッとして思わず声をあげてしまいのけぞること数回
オスカー女優レネー・ゼルウィガー主演のホラーサスペンスということで、苦手のホラー系だけどなんとなく見た作品だった。こんなに凄いとは思わなかった。制作の後公開に数年かかったのがわかる。「エスター」と似たようなテイスト。子供を主演にしたホラーは別の意味で怖い。こういうのが好きな人には超おすすめだ。


(日本でいえば)児童相談所のソーシャルワーカーである主人公ことレネーゼルウィガーは、児童虐待を受けている可能性が高いエミリーという10歳の少女を担当することになった。女の子はレネーに恐怖心を語る。しかし、少女の両親との面談では本人は特に話さず、上司からは問題がないと判断された。

それでも気になるレネーは、エミリーに何かあれば連絡するようにと電話番号を教える。すると、深夜エミリーからSOSの電話が入った。すぐに親しい刑事と家に向かった。エミリーは両親にオーブンに押し込められ、焼き殺されそうになっていた。両親と格闘の末、エミリーを保護した。レネーはソーシャルワーカーとしての本来の業務を逸脱して、彼女への同情心を持った。施設に預けられたエミリーをしばらく預かる事にした。ところが、少女を預かった後次から次へと奇怪な事件が起こる。。。。。


「エスター」との類似点がある。細かいストーリーは異なるが、一人ぼっちの少女に同情して、預かってみると奇妙な事件が次から次へと起きていくという流れだ。若干「ケース39」の方がオカルト的要素が強いかもしれない。
最初は児童虐待の色彩が強い作品なのかと錯覚した。そう観客に思わせるような迷彩もうまい。どきどきした。でも途中で流れが変わる。この上ない虐待者と思わせていた少女の両親の立場がガラッと変わる。「悪魔」という概念は日本ではあまり強くないのかもしれない。葬式を仏式でやって、クリスマスを祝って、正月には神社に初詣をする無宗教といってもおかしくない日本では、宗教に対抗する存在としての悪魔の存在の影が薄くなる気がする。そんな悪魔にどう対抗するか最後まで読めなかった。



エスターもこの映画も両方とも少女が異様なくらいの怪演を見せる。なんでここまでできるの?と思うぐらいだ。同級生たちがまだ小学校でおままごとのような劇をやっている中、大人と対等に勝負している。すごい。学校でいじめられないかな?と心配するくらいだ。
オスカー女優レネーゼルウィガーもよくこういう映画に出たなあと感じた。落ち着いた冷静沈着なソーシャルワーカーが次第に狂っていく。その落差を演じるのはさすがにベテランの域に達しているのだと思う。少々顔がむくんできたなあという気もするけど。。。ベティデイヴィスやジョーンクロフォードが晩年ホラー映画得意となったのとは違う気もするが、これから増えるかも。

最近はラブコメの常連となったブラッドリークーパーの恐怖のシーンこれも怖かったなあ。
恐怖の波状攻撃。いやー凄かった。
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サンシャインクリーニング  エイミーアダムス

2011-04-13 16:02:29 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
「サンシャインクリーニング」はエイミーアダムス主演のコメディタッチのドラマだ。「ジュリー&ジュリア」でも活躍した人気急上昇中エイミーアダムスのさわやかイメージを想像したが、少し違った。妹役と一緒にする役柄は事件現場の掃除が仕事だ。えげつない仕事だ。



主人公ことエイミー・アダムスは30代半ばのシングルマザーだ。ハウスクリーニングの仕事をしながら、警察官の恋人との不倫関係を続けていた。主人公の妹エミリー・ブラントは、どんな仕事に就いても長続きせず、父親と実家で暮らしている。二人の姉妹は、幼い頃に目撃した母親の死にまつわるトラウマを拭い去ることができずに生きてきた。そんな中、エイミーの8歳になる息子オスカーは、先生の足をなめるなどの奇行が目立ち、小学校の校長から厳重注意を受けた。エイミーは腹を立て、自主的に転校させ息子を私立の小学校に入れることにした。恋人から「事件現場を掃除する仕事で金が稼げる」と聞いたエイミーは、嫌がる妹を誘った。ワゴン車を買い、そこに“サンシャイン・クリーニング”という会社のロゴを刻み込みスタートした。しかし、犯罪現場の後始末は究極のどぎつさで、二人は四苦八苦した。次から次へと舞い込む仕事をこなしながら姉妹は順調かと思えたが。。。。



以前サミュエルジャクソン主演の「クリーナー」という映画を見た。今回と職業的には一緒だが、サミュエルはこの仕事が似合う顔をしている。逆にこの女性2人はまったく似合わない。「おくりびと」の主人公本木くんが最初に死体の処理をしたときに戻したのと同じように、事件処理をした二人はいきなり戻してしまう。匂いは臭いし、虫はでるじゃやってられない。自分には到底無理だ。

美人の主人公2人なのに、えげつないシーンが続く。でも2人はお金を稼がなければならない。脇役に個性的な存在が目立ち、この2人をひきたてる。脚本には優しさがにじむ。悪くはない。
でも「リトルミスサンシャイン」のスタッフがつくった映画ということで注目した割にはもう一歩だった。実は「リトルミスサンシャイン」は個人的には高く評価している。ロードムービーとしての面白さに展開のスピード感が重なってすばらしい。逆にこの映画は序盤戦からスピード感がなく、取り上げる逸話もやさしさがにじむが今一つおもしろくない。ものたりないなあ。
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17歳の肖像  キャリーマリガン

2011-04-07 04:42:31 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
映画「17歳の肖像」は若手のホープ、キャリーマリガン主演の青春ものである。ある女性ジャーナリストの回想がベースになっている。自分の倍以上の年齢の男性と恋をする女性の物語だ。



1961年主人公ジェニーことキャリー・マリガンはロンドン郊外の高校に通う16歳の少女だ。楽団でチェロを弾き、フランスに憧れる。父母は娘がオックスフォード大学に進学することを期待している。ボーイフレンドの同級生がいるが、どことなく頼りない彼は両親に気に入られていない。


ある日帰り道、彼女はどしゃぶりの雨に見舞われた。バス停で高級車を運転する見知らぬ大人の男性から「君のチェロが心配だ」と声をかけられる。自宅までのほんの僅かな距離を行く間に会話が弾んだ。感じが良かった。それがデイヴィッドことピーター・サースガードだった。数日後、キャリーは街角で彼を見かけて声をかける。彼は彼女を弦楽の演奏会と夕食に誘った。しかも、彼女の両親の心配を心配して自宅に直談判もした。音楽会で彼の仕事仲間とその恋人を紹介された。そのあと彼らが足を運ぶナイトクラブや絵画のオークションにも同行した。大人の世界にすっかり魅了されていくのであるが。。。。



恋人役のピーター・サースガードとはよくスクリーンで出くわす。
「エスター」「ナイト&デイ」と自分の取り上げる作品によく出てくる。顔なじみになってきた。女性を誘うのも両親の承諾を得てからとか、一線を越えたくない彼女の希望も受けたりと余裕あるふるまいが若い男性とは違う。そういう完成された男に惹かれる若い女性の気持ちというのもわかる気もする。
キャリーマリガンは普通かな?20歳過ぎてから16~17の役を演じるとなると多少無理が生じるかも?でもこのところの活躍は素晴らしい。メジャーへの道を一気に這い上がっていく印象だ。
自分お気に入りのエマトンプソンが校長役で出てくる。インテリ系は得意だ。でも彼女にしては存在感が薄い役。徐々に太めになっている印象。でも彼女の声は相変わらず魅力的だ。

美術の出来はいい。街並みのつくり、昔のナイトクラブのシーンのあでやかさなど全体に流れるムードは決して悪くはない。でもストーリーに起伏がたりない気がした。不自然さもある。あるジャーナリストの回想だけにフィクションが少ないのかな?そう感じたのかもしれない。
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フローズンリバー メリッサレオ

2011-02-16 21:03:39 | 映画(洋画:2006年以降主演女性)
サンダンス映画祭でグランプリに輝いた話題作。映画「フローズンリバー」は、白人の中年女と少数民族の若い女という2人の女性を中心としたシリアスドラマだ。悲惨な状況にある女性二人が、せっぱつまった状況を切り抜けるために、不法移民の輸送という犯罪に手を染めていく話。極寒の地でどん底の状態にいるアメリカの底辺の人たちの悲哀を描く。


カナダとの国境に面し、モホーク族の保留地を抱える極寒のニューヨーク州最北部の町が舞台だ。
白人女性の主人公ことメリッサ・レオは、2人の息子を育てながらスーパーの店員として働く。新居を買うために貯めていた大金を、ギャンブル依存症の夫が持ち逃げしたのだ。
夫の行方を探す主人公は、ビンゴ会場の駐車場で、モホーク族の女が夫の車を運転している現場を目撃する。追跡して問いつめたところ、女は「“盗んだ”のではなく、バス停でキーがささったままだったので“拾った”」と主張した。保留地でトレイラーハウスに暮らすモホーク族の女は、義理の母に奪われた自分の幼い子供をいつか引き取り、一緒に暮らしたいと願っていた。金を稼ぐために、冬の寒さで固く凍った川を車で渡り、カナダとの国境を越え、アジアからの不法移民をアメリカ側に密入国させるという危険な「裏仕事」に手を染めていた。


その夜も国境を越えるために車が必要だったモナーク族の女は、儲けを山分けすることを条件に、主人公を共犯パートナーに引き入れた。白人と先住民という人種の違いゆえ、初めは不信感を抱いた。しかし、2人は互いに協力し合い、不法移民を無事に引き渡すことに成功する。
不法移民をアメリカへ密入国させる裏仕事の稼ぎは最高にいいが、先住民保留地の外で警察に見つかれば即刑務所入りの“危ないアルバイト”だ。この成功に味をしめた二人は、お金を稼ぐために、再びペアを組むことにするが。。。。


現代アメリカにおいて、移民問題が深刻だというのが改めてよくわかる。
先日見た「闇の列車光の旅」でも中米からの移民の話が出ていた。今回はカナダからアメリカへのアジア系の移民を不法輸送する。一体不法移民ってどれだけいるんであろう。その昔は中国から香港への不法侵入がよく映画で出てきた。川を懸命に渡って逃げていく話だ。今回の舞台はまさしく「凍りついた川」だ。北朝鮮から中国へ、川を渡っての脱北者の話がよく出るが、ここでは車で移動する。トランクに入りこむのだ。ここまで寒いと管理もずさんになるのかもしれない。同時に先住民のための保留地という治外法権的な法規逃れの場所も存在するのは知らなかった。これほどまでに映画化されるというのはよほどの問題なのであろう。

テーマは女の友情と母性の強さかなと思うけど。。。
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