映画とライフデザイン

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映画「本を綴る」

2024-10-06 21:49:13 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「本を綴る」を映画館で観てきました。


映画「本を綴る」は本屋が日本から次々となくなっていることに寂しさを感じる作家が栃木、京都、香川と町の本屋をまわる話である。ロードムービー的に各地で新しい出会いがある。監督はベテラン篠原哲雄で、脇役での登場が多いメンバーで構成されるまさにインディーズ系の映画だ。

破壊的な場面が多そうな映画とか今週の新作はのれそうにない新作が揃い、この映画を選択する。ヤクザ映画の殿堂だった跡地にある映画館では、東京で一館のみの公開で満席だった。年間本200冊読了が個人目標で今年はすでに達成している自分には本屋の話は親しみがもてる。

小説が書けなくなった作家一ノ関(矢柴俊博)は、全国の本屋を巡りながら本の書評や本屋のコラムを書くことを生業にしている。一ノ関にはベストセラーがあるが現在新作が書けていない。

那須の図書館でのイベントで講師となった一ノ関は図書館司書の石野(宮本真希)とともに森の中にある小さな本屋を訪れる。古書を探している時に、本に挟まった恋文を発見する。宛先は京都だ。送付先に届けるために京都へ向かう。


京都には学生時代の友人が書店の店長をやっていた。人伝に恋文の送付先の消息をたどると、本人は亡くなっていた。それでも孫娘花(遠藤久美子)が錦市場の近くで小料理屋をやっていることがわかり立ち寄る。花には婚約者がいたが、香川で人助けで溺れて亡くなっていた。香川に一度行ってみたらどうかと花を誘い出す。書店訪問で向かった香川で再会して花とともに婚約者の墓参りに向かう。

本屋愛に満ち溢れる心温まる快作である。
人気俳優がいない配役だ。それが公開館が少ない理由だろう。主役の矢柴俊博の出演作は観たことある作品が多いけど記憶にない。傑作という映画ではない。末梢神経を刺激するようなシーンもない。でも、本と書店に対する愛情がにじみ出ていてムードがあたたかい。好感がもてる。

古本に挟まっていた恋文を持参する話、作家の主人公が以前本で書いた廃村にかかわる人物を探す話などを書店巡礼にあわせて混ぜ合わせてストーリーの基調とする。主人公一ノ関はダム建設のために廃村になった町のことを書いてベストセラーとなったが、その村の住人からクレームを受けて新しい小説が書けなくなった。そんな挫折自体は驚くような話ではないが、うまく絡めた印象をもつ。

主人公が巡る各地の風景は建物も含めて十分目の保養になる。ロードムービー特有の楽しみだ。那須塩原市図書館みるるは広がりのある空間と階段のあるフロアに特徴がある良くできている設計だ。京都では廃線跡と思しき線路を歩く。香川県観音寺では今まで見たことのない海を見渡す絶景の場所にある高屋神社や海岸線に沈む夕陽の美しさが堪能できる。高屋神社は特にすばらしい。


⒈町の本屋への思い入れ
いきなり閉店した本屋の前で立ち止まる主人公の姿が映る。町の本屋の経営がきびしいのも時代の流れだろう。ものすごい勢いで本屋がなくなっている。残念だ。ネット販売で購入することも多いけど、本屋で実際に立ち読みしないとムダな本を購入してしまう。そういった意味では本屋がないのは困る。自分の主戦場は神保町の東京堂書店、新宿のブックファーストと紀伊國屋、池袋のジュンク堂だ。本屋は書店員の目利きが重要で、平置き本でそのセンスがわかる。

那須の本屋はこんな場所に来る人がいるのかな?という場所にある。京都や高松でも本屋を紹介する。なくなった本屋の本を引き取りミニバンで運んで販売するのも映し出す。


⒉京都の小料理屋の女将
この主人公が世帯持ちなのかどうかの言及はない。栃木、京都、高松それぞれの場所で美女に遭遇する。主役の矢柴俊博も気分よく仕事ができただろう。那須の図書館司書は宮本真希で、25年前に深作欣二監督作品「おもちゃ」に出演した時に観ている。歳はとったがより魅力的になった。

京都で古本の中に挟まった手紙の持ち主に会おうとして、結局亡くなっていて孫娘に会う。遠藤久美子が演じる。以前は出番も多かった。それにしても長らく映画を観ていて、小料理屋の女将役でこんなに素敵な女性を見たことがない。センスの良い着物で接客する姿がいい。建物も素敵だ。こんな店近くにあったら多少高くても通うだろうなあ。


エンディングロールで歌声が聴こえる。聴いたことある声だ。アスカだなと思ったけど自信がない。その直後にクレジットにASKAとあり感動する。色々と問題も起こしたが、健在ぶりがわかってうれしい。

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