映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ミラーズ キーファーサザーランド

2011-05-15 18:46:16 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
たまにはホラー映画もということで「ミラーズ」を見てみた。
確かに怖い。次から次へと怖い場面を見せる。
今夜寝てから洗面所に行くのが一番怖いかも?



ニューヨーク市警の刑事として勤務していた主人公ことキーファー・サザーランドは、誤って射殺させ停職処分を下される。今は妹のアパートに居候の身だ。妻ことポーラ・パットンとは別居中だ。二人の子供との生活を取り戻そうとしていた。主人公はニューヨークのデパートの焼け跡を巡回する夜警の仕事にありつく。そこは、5年前の大火災で多くの死者を出して閉鎖された場所だ。火災保険会社との係争が長引き現場はそのままだった。
焼け残ったデパートの内部は異様な雰囲気だった。フロアのあちこちにマネキンが転がっている。その中で、巨大な鏡に引き寄せられた。すると突然、どこからともなく聞こえてくる呻き声。鏡に映し出される焼けただれた女性が。。。この夜以来、主人公の周囲で奇怪な出来事が続発する。しかも、主人公の妹が自宅のバスルームで無残な死体で発見される。同時に別居中の妻と子供の周辺にも妙な動きが見えるようになるが。。。。

ストーリーに入る前にいきなりある男が鏡に引き寄せられ、鏡の中の自分が首を切りつける残虐な場面が出てくる。いきなりどぎつい。
自分の姿を写す鏡って、そのまま自分の動きに合わせるけど、鏡の中に映っている自分の姿をした者が自分とは違う動きをする。しかも残虐な動きをする。気味が悪い。

いちばん怖かったのは主人公の妹がバスルームに入っているシーンだ。おっとこう来るといった感じで、目をそむけてしまった。口裂け女もびっくりのシーンだ。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

シングルマン  コリンファース

2011-03-30 14:29:07 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
今年のオスカー主演賞を受賞したコリンファースの受賞作の前作である。
「シングルマン」はファッション界で名を挙げたトムフォードの初監督作である。コリンファースとジュリアンムーアの二人が写る映画ジャケットからは二人の恋物語を連想した。実際にはジャケットから想像できない男色ベースの映画であった。1962年ケネディ政権時代のゴールデンエイジといわれたアメリカが舞台。ファッション、インテリア、音楽に関しては抜群のセンスを感じさせる。


水の中を彷徨う男が映像に映し出される。なんだろう?
そして交通事故で死んでいる男の唇に自らの唇を合わせるコリンファースが映し出される。
1962年11月30日のコリンファースの一日を映像が追う。8ヶ月前主人公の大学教授ことコリン・ファースには16年間共に暮らした連れ合いの男性ことマシュー・グードがいた。彼は交通事故で亡くなった。LAの大学で英文学を教えている内省的な主人公と建築家の連れ合いとは最愛のパートナー同士であった。それ以来悲しみは癒えるなかった。そしてコリンは自らこの辛い状況を終わらせようと死を決意する。大学のデスクを片付け、銀行の口座を整理、新しい銃弾を購入。着々と準備を進めた。
しかし、最後の授業ではいつになく自らの信条を学生に熱く語った。講義に触発された教え子の少年ことニコラスホルトが、学校の外で話したいと追いかけてくる。彼の誘いを断って銀行に行くと、いつも騒がしい隣家の少女と偶然出会う。コリンは少女の可憐さに始めて気付き、彼女との会話を楽しんだ。帰宅したコリンは、遺書、保険証書、各種のカギ、「ネクタイはウインザーノットで」のメモを添えた死装束……全てを几帳面にテーブルに並べる。そして銃、とその時、かつての恋人で今は親友のジュリアン・ムーアから電話が入る。コリンは彼女の家を訪れるが。。。


トムフォード監督のファッション界における活躍はすごい。そんな彼が撮っただけに、センスある映像が続く。62年といえば、ベトナム戦争が始まっていない。ソビエトとの冷戦状態にあったが、学生運動が始まる前のキャンパスには典型的アメリカらしさが残る。そこに美少年たちを次から次へと登場させる。新宿3丁目系の人たちにはある意味たまらない映画であろう?
ニコラスホルトはこれからハリウッドでメジャーとなる存在だと思う。


最近のラブコメ系は原色系の派手な美術であるが、対照的にこの映画ではかなり色彩を落としてセピア系に近いトーンだ。いっそのことモノトーンにしても良かった気もするが、カラフルな色の外車、建築美を感じさせる素敵なロケ地を見せるにはやはりカラーなのかな?
ミケランジェロアントニオーニ監督に「夜」という不毛の愛を描いた1961年の名作がある。マルチェロマストロヤンニにモ二カヴィッティ、ジャンヌモローがからむ当時としては先端をゆく作品だ。

白黒映画の「夜」であるが、妙にこの映画に通じているところがある。ともに抜群のセンスをもつ映画の背景だ。主人公が住む家は、すばらしい意匠を見せる。FLライトが西海岸で設計した建築作品集をみたことがあるが、それに通じるセンスだ。室内空間が広がり、クロス貼りでなく木目調で小細工をきかせたインテリアがプロの建築家が見せる仕事ぶりだ。ロケハンティングも絶妙だ。


隣家の少女が街を歩く場面をみていてハッとした。
スローモーションタッチの映像の動き、バックに流れるバイオリンを基調にした音楽。私の大好きな香港映画「花様年華」でマギーチャンが歩く姿のシーンとそっくりではないか。。。さては監督コピーしたなと思った。そうしたら調べてみると、音楽がいずれも梅林茂という日本人が担当していることを知った。
私のブログのプロフィルにはずっと「花様年華」のシーンを貼ってある。ものすごい好きなのに梅林茂の存在を知らなかった。かたやノスタルジックな香港、かたやLAとまったく違う情景なのに同じようにしっくりいく音楽に感銘を受けた。ちょっと追いかけてみたい。

ただ男色映画っていうのはやはり苦手だなあ。ファッション、インテリア、音楽を楽しむにはいいんだけれど
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

瞳の中の秘密 

2011-02-13 17:25:06 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
09年度米アカデミー賞外国語映画賞を受賞したサスペンスである。
2000年のブエノスアイレス。刑事裁判所を定年退職した主人公が、25年前に担当した殺人事件についての小説を書く。その原稿をもって元上司の女性検事補と再会し、当時の捜査を振り返りながら、殺人事件の裏側に潜む謎に迫るという話である。ストーリーは非常に上手にできている。
ただ、濃淡が少ない。もう少しうまく作れるのではないか?という気がする。


映画は、1974年と2000年のブエノスアイレスを往復する。
74年のアルゼンチンは軍事独裁政権が猛威を振るっていたころである。ブエノスアイレスで一件の強姦殺人事件が起こる。幸せな新婚生活を送っていた銀行員モラレスの妻で23歳の美しい女性教師が、自宅で暴行を受けて殺害された。刑事裁判所の捜査官ことリカルド・ダリンは容疑者の検挙に執念を燃やす。警察が安易に隣人を逮捕して、拷問して自白させる。誤認逮捕であった。
やがて、捜査線上に1人の男が容疑者として浮上する。
時は流れて2000年、刑事裁判所を定年退職した主人公は、25年前の殺人事件を題材に小説を書こうと決意し、久しぶりに彼の元女性の上司イレーネことソレダ・ビジャミルを訪れる。今は検事に昇格している。
原稿を読みながら当時の事件を思い出す。
容疑者の男は死んだ妻の幼なじみで古い写真に写っていた。主人公は部下で友人のパブロと共に、その男の居場所を捜索した。容疑者をつかまえるが、警察に釈放される。しかも、判事の指示を無視して強引な捜査を行ったことで主人公はとがめられる。その1年後、主人公は駅で偶然被害者の夫と再会。彼は毎日駅で容疑者が現れるのを待っていたのを見て驚く主人公であるが。。。。


ストーリー展開は実に見事で、脚本もいいと思う。ラスト30分を切ってからの意外な展開には目が離せなくなる。途中緩慢な部分もあったが、川の流れに流されるがごとく引き込まれていった。
でも何か物足りない。言葉が聞きなれないこともあるのかもしれない。薄味の味付けで、味の濃さがたりない料理のように自分は感じてしまった。作り方によっては、末梢神経にぐいぐい迫るようにつくれたのかもしれない。殺害の現場のシーンはドッキリするようなむごさである。でもそれ以外は薄目だ。音楽もラストにかけて以外は静かだ。正直別の監督につくらせてみたい映画である。

大観衆のサッカースタジアムで犯人を追うシーンが出てくる。10万人は収容できると思われるような大スタジアムでの凄いロケがある。黒澤明の「野良犬」で、超満員の後楽園球場の中、捜査員三船が犯人を追うシーンがある。まさにそれを連想した。このシーンにはさすがサッカーの本場と感じた。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

闇の列車光の旅 

2011-02-11 17:58:33 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
これはすごい傑作に出会ってしまった。
まだ2010年日本公開の主要作品全部見終わったわけではないが、自分がキネマ旬報の審査員であれば、たぶんこの作品を1位にしたと思う。

「闇の列車光の旅」は中米メキシコ、ホンジュラスを舞台に、アメリカへの移民となることを目指してまさしく「闇の列車」で移動する人たちの物語である。映画に例えるとブラジル映画の傑作「シティオブゴッド」をロードムービーにしたような基調に、アルドリッチの「北国の帝王」、ペキンパーの「ワイルドバンチ」のスパイスをかけたような雰囲気を持つすばらしい作品だ。
地球の裏側で100年近くタイムスリップしたような世界があることに驚かされる。



ホンジュラスで暮らす主人公の少女サイラの元に、別居していた父がアメリカから強制送還された。アメリカにいる家族と一緒に暮らすため、主人公の少女は、父と叔父と共にメキシコを経由してアメリカを目指す旅に出た。
メキシコのある町。主人公の青年カスペルは、ギャングの一員として堕落した生活を送っている。彼は美しい恋人と密会を重ねていた。それはリーダーには秘密だった。結局ばれて彼女にリーダーが言い寄り、犯そうとする。ところが抵抗したはずみに頭をぶつけて死んだのだ。主人公の青年は落胆するが、逆らえず黙って現実を受け入れる。
そのころ、少女たち3人は、アメリカ行き貨物列車の屋根に乗り込んだ。同じようにアメリカを目指す移民たちとともに列車が進んでいた時、ギャングのリーダーと主人公の青年とギャング仲間に入った12歳の少年の3人が、強盗目的で列車の屋根に上がってきた。3人は移民たちを脅し、なけなしの金品を容赦なく強奪。さらにギャングのリーダーは、少女に銃をつきつけて暴行を加えようとした。それを見た主人公の青年には、同じような経緯で命を落とした彼女の姿が浮かんだが。。。。



映画を見始めてすぐに画像に引き寄せられ、ずっと目が離せなくなった。
序盤戦からあっと言わせる。
いきなり少年のリンチのシーンが出てくる。1、2、3から13まで数えながら少年がリンチされ続ける。泣きべそをかく少年を見ながら、むごいなあと思ったら、ギャングの仲間に入るための儀式であった。そこで耐え忍んで初めて仲間に入れるということなのだ。少年も主人公の二人同様の重要人物だ。このシーンの直後にギャング団の映像が出てくる。近代的ギャングというより、強烈な刺青がアフリカの部族のようだ。
青年と少女全く別々に暮らしている二人の話を同時並行に交互に写していくので、最初はどっちがどっち?というように感じさせる。ストーリーというより中米で現実に起きているあっと言わせるようなシーンが続きどきどきする。映画「シティオブゴッド」を連想させるようなスラム街にたむろするチンピラ達の偶像と移民たちの悲惨な姿を見ていると画像から目を離せない。
そうしていくうちに列車の上で2つの物語を合体していく。そのあとは逃走劇的スリル感のあるシーンをつぎからつぎへと我々の前に見せてくれる。



ホンジュラスなんて国の存在まったく意識していなかった。調べると、世界でも有数の貧困国のようだ。家並みの映像が出てくる。映画「望郷」に出てくるカスバの街のようだ。そんなところを抜け出してアメリカに向かう移民はかなり多くいるのであろう。アメリカは日本と違い年間300万人ほど人口が増えている。不法移民を取り上げた映画は最近ずいぶんと多い。映画に映る光景を見ていると、日本でいえば戦中戦後通り越して、明治大正くらいにさかのぼるのではないか。ギャングたちのふるまいは「青春の門」の初期のころの映像や土佐を舞台にした任侠抗争の映画がちかいのかなあ?

ロードムービーはその映像の変化が楽しみである。列車の移動というのは不思議な気持ちを見ている我々に感じさせる。貨物列車の屋上を舞台にして移民たちを写す。列車から見る中米の田舎は美しいという風景ではない。むしろその強烈な貧しさを印象づける。カメラワークは巧みである。同時に日系の血も入っているフクナガ監督の手腕に脱帽である。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

トイストーリー3

2011-02-09 18:56:18 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
おもちゃの世界を描いたディズニーアニメである。おもちゃを大切にしてきた持ち主の少年が大学に入るにあたり、やむなくおもちゃを処分することになることに伴う顛末だ。最後にかけてのストーリーの盛り上げ方には、同伴の大人たちもディズニーワールドに入り込んでしまうであろう。製作費2億$はちょっとびっくりだが、トムハンクス以下吹き替えの超豪華キャストにはもっと驚く。



おもちゃ達の持ち主である主人公は17歳になり、大学に進学することになった。主人公は引っ越しに際して、母親と相談してカウボーイ人形のウッディだけを持っていき、他のおもちゃたちを屋根裏にしまうことを決めた。
ところが、屋根裏行きのおもちゃ達が手違いでゴミに出される。危ういところで難を逃れたおもちゃたちは、捨てられたと思い込み、地元の託児施設へ寄付されるおもちゃたちの段ボールに自ら入り込んだ。託児所「サニーサイド」のおもちゃたちに歓待を受けたたちはいることを決意した。新入りのおもちゃたちに割り当てられたのは、おもちゃを乱暴に扱う幼児たちが集う部屋だった。しかも、託児所は人間不信を抱えるぬいぐるみの熊によっておもちゃの牢獄と化しているが。。。



この作品のおもちゃたちの気持ちは、「いつまでも遊んでくれる子供たちと一緒にいたい。」ということだ。持ち主になりそうな子供を見るとおもちゃたちは「遊んでもらえる」と率直に喜ぶ。でもスクラップになってしまう運命と背中合わせである。捨てられる危機のシーンには妙にしんみりとしてしまう。失業の危機と隣りあわせの、現代の労働者たちを思う気持に通じる。

この映画を見ると、妙にモノを大切にしようという気持ちが起きてしまう。クルマを手放す時や、使い慣れたパソコンや電気機器とお別れするときに同じような気持ちになる。物体と思いながら妙に割り切れない気持ちだ。そういうせつない気持ちに訴えるハートフルな映画だ。途中からの展開はさすがに巧みであった。子供よりも同伴の親たちの方が涙の洪水にボロボロにされてしまったのではないかな?

余計だが、ウォーレスショーンは吹き替えの一人。正月恩師から頂いた作品、ルイマル監督「my dinner with andre」のウォーレスである。30年近くたって今も現役でがんばっている彼に敬服する。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ダウト 偽りの代償  マイケルダグラス

2011-02-03 22:23:44 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
マイケルダグラス主演というだけで見た法廷サスペンスだ。
日本未公開の映画が増えている。商業的に無理と思えるときはそうなるのか?コメディに目立つが、マイケルダグラス主演法廷サスペンスであれば、以前であれば絶対に上映されていた。時代の違いか?
でもこの映画は日本未公開となったのがうなづける程度の内容だったかもしれない。ストーリー的に逆転劇があるけれど。。。



若手ジャーナリストことジェシー・メトカーフは、裁判に強い連戦連勝の検事ことマイケル・ダグラスが証拠を捏造して無実の被告人を刑務所送りにしているとよんでいた。ジェシーは証拠を掴むためマイケルダグラスの部下ことアンバー・タンブリンに意図的に近づき、恋仲となった。
そんな中、ジェシーはマイケルをつぶすため殺人事件をでっち上げ、自らが容疑者となる。逮捕後初公判でその旨を法廷で話すが、陪審員はじめ法廷の面々は信じない。恋仲になった彼女も彼の意図を聞き、複雑な心境となる。やがて不利なまま裁判が進むが。。。。

DNAがからんだ冤罪事件は日本でも起きた。足利事件はいまだ大騒ぎだし、検事の証拠捏造は天下の地検特捜部でも行われた。まさに日本でもタイムリーな話題だ。この映画で、化学分析のオタクが登場する。そこのシーンだけはおもしろい。おそらくは生物遺伝子学的分析や、画像処理を見破る科学的レベルは上がっているのであろう。でもここでは単なる脇役だ。

裁判に勝ち続ける弁護士というのはよくある題材だが、検事というのはめずらしい。そういった意味ではもっといい映画になったのに。。。。
何か軽いなあ?!この映画
ストーリーの逆転劇はあったり、ヒッチコック的ドキドキ劇もあったりするんだけれど物足りない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い

2011-01-22 05:30:53 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
コメディ映画「ハングオーバー」の評判を聞き見たくなった。
調べたら全米で2億7000万$、世界で4億6000万$を超える大ヒットである。円高の今のレートでも380億円強だ。これってすごい!日本の過去最高よりも上だ。
その作品が危うく日本で公開されないままになる可能性があったらしい。ゴールデングローブ賞の作品賞(コメディ・ミュージカル部門)となり、あわてて日本でも公開された。
結婚式を間近に控えた男とその友人計4人が独身最後のバカ騒ぎをしようとラスベガスに繰り出すが、ハメを外し過ぎてわけがわからなくなるドタバタ劇だ。
いやーおもしろい。しかも男性向けの映画だ。

結婚式を2日後に控えたダグは、親友である教師と歯科医、そして婚約者の弟と共にラスベガスでバチェラ-パーティーを開こうと向かい高級ホテルのスウィートの部屋に入る。さてこれから飲もうとする場面から一気に翌朝に話が飛ぶ。



当然のごとく羽目を外し、酔いつぶれていた男たちが目を覚ますとニワトリが歩き回り、歯科医は歯が一本抜け、クローゼットには赤ん坊がいるという状況。しかもトイレに虎が出現する。前夜の行動は、もちろん記憶にない。しかも結婚式を目前に控えた花婿の姿が、マットレスともども見当たらない。残された3人は赤ん坊を抱えながら花婿を探しつつ、前夜の記憶をたどるのであるが。。。。



二日酔いで前日の記憶がない。奇妙な電話の着信があったり、覚えのない領収書があったり、前夜の悪事を翌朝聞いて回ることも正直今でもたまにある。そんな哀しい男のサガを見事にコメディ化した。

バチェラ-パーティーすなわち独身最後の羽目外しを題材にした映画って割と多い。日本盤までつくられた「サイドウェイ」なんてその一種であろう。だいたい結婚式を目の前にすると、妙にバカ騒ぎしてみたくなるものである。自分も若いころは人の結婚式にかこつけて相当遊びまわった。
アメリカの場合、それがもっと習慣化しているのであろうか?これだけヒットするからにはそういう要素があるのであろう。女性を対象にしたラブコメではこれだけはヒットしない。ある意味、男の哀しいサガをうまく映画化している。日本人の我々からすると、ラスベガスなんて、酒バクチ女の3つの遊び要素を完備しているすばらしいスポットがあるのでアメリカの男はうらやましい。中国はマカオがあるしいいなあ!

赤ちゃんはコメディと相性がいい。個人的には赤ちゃんを題材にしたコメディって好きで、コーエン兄弟の「赤ちゃん泥棒」とかは見るたびに大笑いしてしまう。ホテルのバスルームに虎がでてきたのには驚いた。キャサリン・ヘップバーンケイリーグラントのコンビによるコメディ「赤ちゃん教育」に出てくる豹のベイビー同様のインパクトだ。それに加えて、なんとボクシングのマイクタイソンまで出てくる。これ自体「虎」のような存在だ。彼の存在自体がサプライズで笑える。「エスター」で恐怖の波状攻撃としたが、この映画は笑いの波状攻撃だ。


日本の映画配給会社も考えてくれたらいい。このブログでもいくつか取り上げたが、DVDにスルーしている大ヒットコメディがいかに多いことか。宣伝次第でもっと日本でもヒットすると思うんだけどなあ

ハングオーバー!!史上最悪の二日酔い、国境を越える
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイアミ・バイス コリンファレル

2011-01-09 06:38:43 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
マイケルマン監督によるコリンファレル、ジェイミーフォックス共演のポリスアクション作品
ロードショウのときに見た。マイアミの風景とコリンファレルとコンリーの愛し合う姿が印象に残った。正月マイケルマン監督「コラテラル」を見て、久々に見てみようと思った。



マイアミバイスことマイアミ警察特捜課の刑事コンビことコリン・ファレルとジェイミー・フォックスは、仕事では抜群のチームワークだ。ある日、2人が使っている情報屋が家族を殺され、自分もフリーウェイに身を投げて自殺する事件が発生。さらにFBIの潜入捜査官2人も殺される。どうやら南米と北米を結ぶ巨大なドラッグ密輸コネクションに、合衆国司法機関の合同捜査の極秘情報が大量に漏えいしているらしい。FBIは合同捜査と関係がないマイアミ・バイスに白羽の矢を立て、拠点である南米コロンビアに乗り込み、麻薬ディーラーとして組織と接触し、情報漏えいのルートを見つけ出す特別任務を彼らに与えるが。。。。

久々見てストーリーがよくわかりづらい映画だと思った。一度見ているので結末までわかっている。でも上で説明したあらすじが単に映像を見ているだけでは理解できない。他のマイケルマン作品ではこういうことはないんだけれど。。。。

マイアミには行ったことがないので、こういう映像がきれいな作品を見るとわくわくしてしまう。
「コラテラル」でもナイトクラブでの狙撃劇があった。ここでのナイトクラブはコリンファレルと麻薬裏組織の重要人物コンリーのダンスの絡みだけであるが、これはなかなかいい。
ハバナに行く設定になっているが、本当にハバナで撮影したのかな?サルサは本物が演奏している感じがしたけれど。。

コンリーは中国映画でも初期を除いて性格のきつい女の設定が多い。「さらば、わが愛/覇王別姫」での配役はまさにその典型だろう。「サユリ」での芸者役もまさにその線だ。確かにあの顔つきはいかにも性格悪そうな女という感じだ。今回も麻薬裏組織の黒幕を演じていて、その線があるから採用されたのであろう。何でエスパニア系でなく東洋人?という気がするが、ハバナには中華系キューバ人がいるらしい。
一度実験的に使ってみたかったのかな?「007」でも時折東洋人のボンドガールいるもんね。ナイトクラブのダンスシーンはチャンツイィーよりもコンリーの方が似合うかな。

マイケルマンといえば、ロバートデニーロとアルパチーノ共演の「ヒート」の銃撃戦が有名。ここでも銃撃戦はなかなか激しい。彼の作品は前半から飛ばしていくスピード感がいい。この作品にもその匂いはあるが、ストーリーがもう少し観客に親切だといいんだけれど。。。。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オールド・ドッグ  ジョントラボルタ

2011-01-02 06:21:15 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ジョン・トラボルタとロビン・ウィリアムズのベテラン俳優の共演である。
中年独身男性二人が7歳の双子を預けられ、悪戦苦闘するドタバタコメディ。サンドラブロックの「ウルトラアイラブユー」と同じでラジー賞候補となり、日本未公開であった。とはいうもののこの二人には他の俳優以上の思い入れがあり楽しみにしていた。腹を抱えて笑える場面も多く、気楽に楽しむのにはいいのでは?



バツイチのロビンウィリアムスと独身貴族のジョントラボルタは小さいころからの親友。仕事でもパートナーの二人は、日本企業を相手に大きな商談をしていた。そんな時、ある美しい女性がロビンを訪ねて来た。7年前にマイアミに行ったときにお付き合いした女性だった。子供のいる彼女はちょっとしたことで服役しなければならないという。気の毒に思いロビンは思わず引き受けてしまい、7歳の双子で実子を預かるハメに。最大の商談が成立するかもしれないな時期に、子育ての重荷が大きくのしかかるが。。。



ロビンとキッズたちが街を歩けば、親子ではなく祖父と孫の関係に間違えられてしまう。「オールドドッグ」との邦題であるが、原題はdogsとsがつく。要は二人の老人ということなのである。
至る所で笑いを誘うつぼを備えていて、笑い過ぎで何回も腹が痛くなった。

ジョントラボルタは「サタデイナイトフィーバー」で、ロビン・ウィリアムスは「グッドモーニングベトナム」で強い印象を与えた。その後それぞれの代表作はあるが、その2作の印象だけでいまだに映画界を渡り歩いている気もする。それぞれがバカになれるキャラだけに、コメディが実によく合っている。
サンドラブロックのラジー賞は、「行き過ぎた若造り」と解釈したが、これは何だろう?トラボルタの妻をロビンの彼女役にしたり、娘を親バカで出演させているということなのかしら?往年のセクシー女優妻の母親役アンマーグレットがケバイ化粧で出演したことか?わからない。
笑いを前面に出してTVコマーシャルとかやれば日本でヒットしたのではないか?

商談相手が日本企業である。90年代初頭のアメリカ映画の設定には、よくビジネスマンとしての日本人が出てきたものだ。最近ではめずらしい。日本経済の相対的実力低下を表わしている気がしたが、たまにはいい。現地人なのかどうかはよくわからなかったが、おかしな日本語が連発していたのは御愛嬌
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

クレイジーハート  ジェフブリッジス

2010-12-31 15:08:50 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
今年最後の映画である。ちょうど222本できりのいい数字で終える。

「クレイジーハート」はジェフブリッジスが念願のオスカー主演男優賞をついに受賞した作品だ。落ちぶれた酒びたりのカントリー歌手を演じる。若き日より好きだったジェフブリッジスの記念すべき作品だけにロードショウで観るべきだったが、時間がなかった。ようやく大晦日に観ることができたが、すばらしい心温まる作品であった。

かつて一世を風靡したカントリー歌手ことジェフ・ブリッジスはドサ回りの歌手に落ちぶれていた。ボーリング場の片隅で歌ったり、ジェフはさえない気持ちを酒で紛らわしていた。

ジェフは演奏するサンタフェのバーで、バンドのピアニストから、彼の姪で地元紙の記者ことマギー・ギレンホールの取材を受けるよう頼まれる。久々の取材を引き受け、ジェフはマギーと打ちとける。しかし、若手トップシンガーとして人気を集めている元の弟子ことコリンファレルの話や彼の子供の話になり、取材を打ち切る。翌日再度演奏に訪れたジェフとマギーは気持ちを盛り上げ情交を交わす。彼女には4歳の息子がいて、離婚の痛手から控えめに接する。そんな時昔の弟子の前座にという話がプロポーターからくるのであるが。。。

昔の名優が落ちぶれた姿をあらわにする設定がよく見られる。ミッキーロークの「レスラー」もこれに近い内容だ。ジェフブリッジスは自らカントリーソングを歌う。それだけでも大したものだ。酒場で歌うカントリーのサウンドはすんなり受け入れられる。非常に叙情的だ。
彼は酒におぼれた姿を身体で露骨に表わしている。その昔「カリブの熱い夜」の彼の腹は明らかに割れていた。今はブヨブヨだ。本当に酒を飲んで演じたようなリアル感があった。



そこに現れた女性がマギー・ギレンホールだ。記者という素性にあった知的な雰囲気を醸し出す素敵な存在だ。ショートカットがよく似あい、ダメ男へのやさしい母性も見せる。目の前に現れたら、一気にいってしまいそうな魅力的な女性だ。ジェフは昔の杵柄でいまだに中年ファンにはもてる。しかし、彼女が現れて人生をやり直そうとする気持ちすら起こす。そんな姿をうまくとらえている。



元の弟子であるスター歌手の顔を見て、あれ!と思ったらやはりコリンファレルであった。ちょっと意外であった。頭を後ろに束ねた若手人気歌手という設定で自ら歌っているらしい。うまいと思う。元の親分を自分の前座にするのが、歌手の夢だというセリフがあった。それだけは避けたいと、主人公は抵抗するが、金銭的問題で素直に受け入れる。でもこのあとの2人のセリフは非常に友好的だ。こういう設定の場合お互いをののしりあったりする場面が出てきそうだが、それがない。それもこの映画を心地よく感じさせる一つの要因であろう。

「ラストショー」「スターマン」「カリブの熱い夜」「恋にゆくえ」「シービスケット」「アイアンマン」少年のころからずっと長いキャリアを積み重ねてきた彼がオスカーを取ったのは本当にうれしい!せめてものご祝儀に映画館で観れなかったのは今年一番の悔いに残ることだ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

消されたヘッドライン  ラッセル・クロウ

2010-11-11 05:54:20 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
消されたヘッドラインはラッセルクロウが敏腕記者を演じるサスペンスものである。二つの関係ないように見える殺人事件に関連性を発見して真相に迫る。

ワシントンD.C.で相次いで起こった二つの事件。ドラッグ中毒の黒人少年の射殺事件、気鋭の国会議員コリンズのもとで働く女性職員ソニアが地下鉄に転落して死亡したこと。ワシントングローブ紙の敏腕記者ことラッセルクロウは、この二つの事件の奇妙な関連性を発見する。彼は編集長ことヘレン・ミレンから、ソニアと不倫関係にあった渦中の国会議員と接触するよう言われる。やがて彼の調査は思わぬ事件の真相に迫っていくのである。。。。

ラッセルクロウが長髪で一段とふとって若干醜い。事件の核心に警察とともに触れていく姿はかなりきわどい。記者がサスペンスものの主役をするという展開は最近は珍しいかもしれない。
男女関係のもつれがからんでいるが、それ以上に元軍の業務に従事した人間が、退役した後に秘密警察的な収益法人で依頼に基づき任務を果たす仕事に関する話が全般出てくる。
日本ではありえないようなことがとらえられているところに関心が持てた。映画としては普通
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

噂のモーガン夫婦  ヒューグラント&サラ・ジェシカ・パーカー

2010-11-02 06:20:29 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ラブコメの帝王ヒューグラントが「セックスアンドシティ」で現代アメリカ40代の女性の代表となったサラ・ジェシカ・パーカーと組んでつくったラブコメディ。高尚なことは考えず、単純に楽しむ映画だ。ヒューグラントのドジな振る舞いが笑える。

サラ・ジェシカ・パーカーは、マンハッタンで高額物件を扱う不動産会社の女社長。夫のヒュー・グラントは敏腕弁護士。モーガン夫妻は2人は噂のセレブカップルだった。だが、グラントの浮気が発覚して別居することになる。冷め切ってしまった妻の気持ちを、プレゼント攻撃で何とか取り戻そうとするグラント。レストランに妻を誘い、関係の修復に懸命に努めていた。その帰り道、殺人事件を目撃してしまったのだ。犯人に顔を見られた2人は、警察の“証人保護プログラム”により、身分を隠してワイオミングの田舎町へ向かうことになる。



ラブコメは解釈云々ではない。お気楽に見るのがいい。
ヒューグラントがラブコメの帝王であり続けるのは、ハンサムな容姿とドジなキャラのギャップが面白いからだ。常に一流の女優がお相手だが、帝王らしくスマートにふるまう。


マンハッタンの大都会から田舎町に行くと、家のすぐそばで熊に遭遇したりする。最近は日本でも熊が山から下りてきて、住宅地でえさをあさったりする。連日報道されるようになった。えさがないのかな?そんな感じで山の中に入り込み、田舎生活の中よりが戻ってくるように見えるが、単純にいかない。
まさに旬の女となったサラ・ジェシカ・パーカーもヒューグラントと並んでコミカルな動きを見せる。熊除けのスプレーをかけようとして、グラントが自分に吹き付けてしまったり、途中ロデオの大会に見に行くときに、ぬいぐるみの牛の中にサラとグラントが一緒に逃げ込むシーンは大笑いだ。映画としては普通の映画だが、気楽に楽しめる。

バックに流れる音楽がいい。オールマンブラザースバンドのインストゥルメンタルナンバー「ジェシカ」、ベイシティローラーズ「サタデイナイト」など40代から50代に向けたものだ。それに加えてクィーンのロックンロール調の曲Crazy Little Thing Called Loveを小さい女の子がダンスパーティで歌う場面は本当に楽しそう。最後はスティービーワンダーのビートルズナンバー「ウィーキャンワーキアウト」で締める。なかなかのセンスだ。好きな音楽が流れまくると気分良くなる。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新しい人生のはじめ方  ダスティンホフマン

2010-10-14 05:37:37 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
「新しい人生のはじめ方」はロンドンを舞台にした中年の恋の物語である。ダスティンホフマンとエマトンプソンのオスカー俳優のコンビであるが、二人とも冴えない役を演じる。ムードは落ち着いていて安心して観れる。



NY在住のCM作曲家ことダスティンホフマンは、一人娘の結婚式に出席するためロンドンへ向かう。離婚以来久々に家族が揃うのを期待していたが、花嫁の父の役割はすでに元妻の再婚相手に委ねられていた。結婚式で自分の居場所のないことに気づき、早々とアメリカに帰ろうとするが、NYの上司からはクビを宣告する電話が来る。所在なく落ち込む彼は、空港のバーで白ワイン片手にひっそりと読書をするエマトンプソンと知りあう。空港の統計局でアンケート係をしているエマは40代の独身、彼女も冴えない生活を送っていたが。。。。

一言で言うとダスティンホフマンの役柄はうっとうしい性格だ。妙に出しゃばり、どうでもいいことにこだわる。年をとって嫌われるタイプだ。でも本来自分が演じると思っていたバージンロードのエスコートも、娘から元妻の再婚相手がやると聞かされてショックを受けるシーンは辛いものを感じる。もうどうにもやるせない。
そんなドツボの状態でエマと知り合う。お互い冴えないが、少しづつ元気を取り戻す。そんな姿がやさしく、心にしみてくる。派手さも意外性もない映画だが、悪くない。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ボーダー  ロバートデニーロ&アルパチーノ

2010-10-12 05:21:47 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
ロバートデニーロとアルパチーノ御大二人の共演である。二人の共演なら、もっと人気を集めてもよさそうなものであるが、静かなロードショーだった。しかも2008年から2年遅れ。「ボーダー」は邦題で、原題はRighteous Killである。
原題のごとく「ダーティハリー」を連想させる凶悪犯罪を犯した変質者の始末というテーマである。



20年以上コンビを組んだニューヨーク市警のベテラン刑事、アルパチーノとロバートデニーロは、やり手コンビで有名だった。あるとき、凶悪犯罪者ばかりをねらった連続殺人事件が発生する。ターゲットは法の手が届かない悪人たちであった。いずれも投獄された後に裁判で無罪となった男たちである。捜査を進めていくと、犯人像として犯罪者に制裁を加える怒りに満ちた警官の犯行を示していたが。。。

ロバートデニーロが犯罪を告白するシーンが当初から流れる。古い映画だが、ビリーワイルダー監督の「深夜の告白」を連想した。同時に映画が進むにつれ、イーストウッドの「ダーティハリー」シリーズのキャラハン刑事も連想した。荒くれ刑事ロバートデニーロを印象付けるシーンが多く、若い鑑識の女性とのからみが印象的。しかし、迷彩がそこには隠されていた。

二人が共演したマイケルマン監督「ヒート」は実によくできた映画であった。その時は取り締まる立場のアルパチーノと悪の黒幕ロバートデニーロの両端に別れた。しかし、両方には似た者同士のように通じるものがあった。その時二人はレストランで一瞬だけ対面する。別々に撮影したという説もあるが、二人は会話していた。170分にも及ぶ長丁場の5分程度のご対面である。
今度は別だ。刑事映画の基本はコンビである。一般にはベテラン刑事と若手刑事の組み合わせが多い。ここでは約30年コンビを組み続けた二人の刑事である。お互いを知りつくした仲という設定である。したがって、画像は二人を一緒に写し続ける。でも老けているからなあ。こんな刑事も実際いないだろう。10年前だったらもう少し違う展開だったかも?

映画はむしろB級に属するタッチである。へたするとテレビの2時間ドラマに同じような話があるかもしれない。製作費がずいぶん多額だけど、あくまで二人のギャラだろう。二人の共演をクローズアップする映画にすぎない。期待しすぎるとちょっと外れるが、超ベテランの域に達した二人では、こんなものかなと思って観た方が期待外れにはならない。
話の展開は悪くはない。でも普通という感想。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

マイレージマイライフ  ジョージクルーニー

2010-10-10 11:52:11 | 映画(洋画 2006年以降主演男性)
「マイレージマイライフ」原題Up in the Airは「juno」で若いながらも抜群の才能を見せたジェイソン・ライトマン監督の最新作。ジョージクルーニーを主演に迎えての人間ドラマをコメディタッチの要素を加えながら見事に料理する。これはさすがとしか言いようにない。
題名がマイレージの達人のようでなぜかとっつきにくかった。観てみたらイメージが全く違った。失業者が現在800万人ほどに増えているリーマンショック以降のアメリカを舞台にして、リストラ勧告の仕事人をジョージクルーニーが演じる。旬な話題であろう。脚本のうまさは抜群で、セリフにはうならせられる。
実に面白かった。

主人公ことジョージクルーニーは「リストラ宣告人」である。1年のうち322日を全米中を飛行機で飛びまわる暮らしをしていた。直接面談して解雇条件を申し伝えることが仕事だ。ジョージクルーニーはこれまで6人しか達成していないマイレージ1000万マイル達成を目指していた。飛行機に自分の名前を残し、フィンチ機長と面会すること。結婚にも興味を持たず、旅先で知り合った女性と気軽な関係を続けるの暮らしであった。


しかし、オマハの本社では、コーネル大学首席卒業の新入社員ことアナ・ケンドリックが現地出張を廃止してネット上でリストラ宣告を行うシステムを提案する。それにより大幅に出張費が削減されるという訳だ。当然出張がなくなるクルーニーは反対する。そこで上司は、クルーニーに新人女性と一緒に実際にリストラ宣告を経験してもらうために二人で出張させるが。。。。


リストラのためにクルーニーとアナは全米を回る。行ったことのない都市がいくつかも出てきた。こういうのが映画のだいご味の一つである。観光では行かないであろうアメリカの都市の風景をみれるのも面白い。出演者も夏冬両方にわたるロケ地巡りは楽しかったであろう。

ジェイソン・ライトマン監督の前2作「サンキュースモーキング」「ジュノ」はいずれもブログに取り上げた。実にうまいなあと思っていた。まだ32歳である。とてつもない才能としか言いようにない。脚本がここでも絶妙。この年齢でよくこういうボキャブラリーを持つのかと感心する。
その彼がジョージクルーニーと組んだ。正統派2枚目だけど、こういうコメディものと相性がいいと私は思う。コーエン監督「ディヴォースショー」「オーブラザー」の彼は最高だ。当然リストラさせる役なので、クールな一面を見せねばならない。もともとそういう匂いを持っているのでまさに適役だ。

大学の同級生で、ある会社でリストラをやっていた男がいた。
卒業して入った大手ハイテク企業で人事にいて何も問題のない人生を過ごしていたが、子会社に行き工場の勤労をやっていた。ところが、その部門ごと他社に売り飛ばされてしまった。本社採用なので関係ないと思いきや、転籍させられてしまった。それも驚いたが、移った先でリストラ担当の人事部員になった。他社から来た彼が生え抜き社員をリストラしていく。ある意味他社から来たからできるということもあるだろう。でも相当苦労した様子だった。大学時代はむしろかっこよく、女性の人気を集めた彼の顔は同級の誰よりも老けてしまった。リストラってさせる方もしんどいのかなと思った。結局自分からやめて田舎に引っ込んだ。
ここでの勧告人クルーニーは痛みを和らげる絶妙の発言をする。非常にうまい。

予想以上に楽しめた作品だった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする