映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

ハナミズキ  新垣結衣

2011-06-26 17:53:01 | 映画(日本 2000年以降主演女性)
「ハナミズキ」は一青窈の歌をモチーフに映画化された純愛物語である。新垣結衣と生田斗真の当代きってのスターを中心に映像化された。正直くさい話と思いながらも純愛話に引き込まれていく。気がつくと目に涙がたまっていくのはどうしたことであろうか?北海道釧路方面で育った高校生2人の純愛を変形の双曲線を描きながらその後を語っていく。美の絶頂とも言うべき22歳の新垣結衣に加えて、生き生きとしたロケ地のバックも美しく、映画の醍醐味を感じさせる。

舞台は北海道だ。海外で働くことを夢見て勉強に励む主人公新垣結衣は、幼い頃に父を亡くし、母こと薬師丸ひろ子と暮らしている。幼い頃に病死した父が庭先に植えたハナミズキの木に見守られ高校生になった。通学の電車に乗っている時、電車が鹿をひいてしまう。その場足止めを食ってしまうことになる。あわてて電車を出てバス乗り場に向かおうとしたがバスは去る。その日は彼女の大学への推薦をかけた試験の日だったのだ。電車に同乗していた水産高校の高校生こと生田斗真は彼女を見かねて、仮免にもかかわらず、運転しようとして事故を起こす。結局試験には間に合わず、彼女は早稲田への校内推薦におちた。


それをきっかけに新垣結衣と生田斗真の純愛がはじまる。新垣は東京の大学を目指すが、生田は父の跡をついで漁師になろうとしていた。彼に励まされながら、一般受験では難しいと踏んでいた早稲田に合格した。遠距離恋愛が始まる。だが東京暮らしの新垣と北海道にいる生田の2人の気持ちは次第にすれ違っていくのであるが。。。。


一青窈の歌「ハナミズキ」は大好きだ。紅白歌合戦で彼女が大学の仲間たちと歌ったときの映像は脳裏にくっきりと残っている。聴いているだけで胸にジーンときたものだ。そんなわけでこの映画も映画館で見ようと思っていた。でも急に場違いな気がしてやめた。ちょっと後悔した。エンディングロールはよほどのことでないとすぐ切り上げる。ここではその余韻にしばらくひたった。いい歌だ。

純愛物はなぜか不意に涙が止まらなくなることがある。その映像を見ながら、いろんなことを連想してしまうからなのか?よくわからない。ここでもそうだった。むしろ前半戦の高校から大学にいく時の方が妙に話がくさくなくてジーンときた。北海道の映像が気持ちを盛り上げたのかもしれない。例に挙げるべきかどうかと思うが、自分が村上春樹の小説が好きなのはその純愛性だと思う。最新の「1Q84」も「ノルウェイの森」も「国境の南太陽の西」もみな純愛がベースだ。小さいころからの純愛を積み上げていった小説を読んでいるとなぜかたまらなくなってくる。それと同じような衝動をこの映画でも感じた。



ロケ地の美しさには感動した。北海道の雄大な風景をうまく映像にとりいれた。カメラワークもうまい。港や漁船の上で描く漁師の生き生きとした姿は「魚影の群れ」を思い起こす。「悪人」の灯台の使い方も巧みであったが、この映画での使い方も実にうまい。
映画を見ていて、その人の絶頂とも言うべき時期の映像を見ると何とも言えない美しさを感じるものである。この映画の新垣結衣にもその気持ちを感じた。高校生から社会人までよくもまあ頑張って演じたものだ。彼女にも生田斗真君にも敢闘賞を与えたい気がする。

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エリザベス  ケイトブランシェット

2011-06-26 17:48:36 | 映画(洋画 99年以前)
映画「エリザベス」は16世紀のイングランド女王エリザベス一世の女王創成期を描く。英国国教会を築いたヘンリー8世と、侍女アン・ブーリンとの間に生まれたエリザベスが女王になる時から、独身を決意して統治にあたろうとする姿を描く。ケイトブランシェットが好演、それを芸達者のジェフリーラッシュや「恋におちたシェイクスピア」で好演したジョセフファインズが支える。ヘンリ8世の離婚問題があるだけに世界史の中でもおもしろい場面で、何度も取り上げられてきた題材だ。



16世紀の英国史を振り返る。1534年自身の離婚問題でローマ教皇との関係が悪くなり、ヘンリ8世は首長法を発令して、自らイギリス国教会の首長を宣言した。カトリックから独立したのだ。1517年のマルティンルターの「九十五カ条の論題」以降プロテスタントの動きが欧州で活発になっていた。しかし、ヘンリ8世死去以降のイギリスではなおも旧教・カトリックと新教・プロテスタントの勢力争いは続いていた。
そして映画は1554年に始まる。ヘンリ8世の子である女王メアリー1世はカトリックを復活しプロテスタントを弾圧した。スペイン王であるフェリペ2世と結婚したにもかかわらず彼と会う機会はめったになかった。ヒステリックになっていた。
一方でヘンリ8世が侍女アン・ブーリンに産ませたエリザベスことケイト・ブランジェットは異母姉妹のメアリ1世にいじめられていた。ロンドン塔に投獄されてしまう。メアリー1世はフェリペ2世との子ができたのでは?と想像妊娠をするが、結局は子宮の病気だった。そのまま他界した。1558年、エリザベスに王位が継承される。新しい女王に、フランスのアンジュー公やスペイン王との結婚話が持ち上がる。エリザベスは恋人のロバートことジョセフ・ファインズと逢い引きを重ねていた。国内の財政は苦しく、スコットランドとの戦争にも敗れたイングランドの状態はよくなかった。エリザベスは新教派の重鎮ことジェフリー・ラッシュを味方につけ、国を新教に統一することを決定した。これを怒ったローマ法王は英国に密使を送るが。。。。

視線をいろんな人物におきながら、16世紀のイギリスは題材になっている。ナタリーポートマンがエリザベスの母であるヘンリ8世の侍女アンブーリンを演じた映画はまだ最近の話だ。

トマスモアをメインにしたオスカー作品「わが命つきるとも」もある。「エリザベス」では父ヘンリ8世は出てこない。彼が亡くなった後という前提で、エドワード6世も出てこない。メアリー1世の王位時代から描かれる。メアリ1世はここではまさに嫌な女として描かれる。政略結婚でスペインのフェリペ2世と一緒になったにもかかわらず、年下の彼は別の女に手を出してメアリ1世の前には姿を現さない。メアリはかわいそうな存在ではあるが、ここではいじめ役として描かれる。
エリザベスは新教徒として異端な身で、あやうく処刑になりそうになる。そういう深刻な場面もあるが、どちらかというと自由奔放な存在だったエリザベスを描いている。そこがいい。それを描くためか恋人にジョセフファインズを持ってきたのは適切だったろう。軟派の匂いがする彼を持ってきたことで、色彩が柔らかくなる。「恋におちたシェイクスピア」と同じ効果だ。
同時にフランスのアンジュー公の軟派ぶりも見モノだ。

おもしろい題材であるが、どうしても近世までの映画はタッチが暗くなる。まだ暗黒の中世から抜けきっていない。争い事すべてに宗教がからんでくる。いやな時代だ。
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