映画とライフデザイン

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映画「愛と誠」 妻夫木聡&武井咲

2012-11-18 17:25:15 | 映画(日本 2011年以降主演男性)
映画「愛と誠」は梶原一騎原作のコミックの映画化である。
三池監督が自分流でミュージカル調というより歌謡ショウというべきか独特の映画にまとめる。あまりのお遊びにひたすら笑うしかない。

自分はリアルでこの漫画を読んだくちだ。スポーツ根性一筋だった梶原一騎の恋愛モノ「愛と誠」は、不良からインテリまで誰もが読んでいた。失踪した高原由紀が突如現れるくらいあたりが人気のピークだったかもしれない。そのあとは若干だれる。
映画化が決まり、当時人気絶頂だった西城秀樹が主演するという話には誰もが驚いた。早乙女愛役がオーディションで決まり、まさにその役の名前でデビューした。自分と同世代だったため、彼女の写真を見て凄くときめいた記憶がある。その制服の下に凄まじいナイスバディが隠されていたことをその時は知らなかった。知った後お世話?になった同世代男子は少なくないだろう。

今年映画ポスターの横を通り「愛と誠」のポスターを見てビックリした。何で今さらという感じである。武井咲ちゃんはかわいいけど、映画館まで入ってみるほどでもない。そんな気分だった。
dvdになって初めてみて、はじけそうな能天気ぶりにちょっと仰天しています。

昭和47年の設定である。
名門青葉台学園に通う早乙女愛(武井咲)は名門早乙女財閥の御令嬢で、容姿端麗学力優秀の高校3年生だった。彼女には小さいときに助けてもらった恩人がいた。それをアニメで映す。
別荘のあるスキー場で、一人スキーを楽しんでいた愛が急傾斜を滑っていて止まらなくなる。そこを助けたのが一人の少年である。地元の少年は身体を張って彼女を助けたが、彼女のスキーでおでこに大きな傷を負うのだ。しかし、少年は自分の名前を名乗らず「このことは誰にも言うな」とくぎを刺す。

愛が街を徘徊していると、一人の青年が不良グループとケンカしている場面に会う。よく見ていると彼はおでこに傷を負っている。助けてくれた青年ではないか。その青年は大賀誠(妻夫木聡)という。少年院入りになるところを、愛の父親(市村正親)が裏から手をまわす。愛は父に懇願して青葉台学園に編入させる。

何でと思いながらも誠は青葉台学園に入学する。際立って不良のいで立ちに誰もが驚く。しかもケンカ腕自慢の教員にパンチを見舞い負傷させる。学校側は驚くが、愛は懸命にかばう。その愛を愛している青年がいた。岩清水弘である。「君のためなら死ねる」と愛に告白する岩清水だ。
しかし、誠の暴れぶりは止まらない。ヤクザといざこざを起こし、結局悪の巣と言われる花園実業に転校することになる。学園内は荒れ果てている。授業を聞こうとする奴なんて誰もいない。誠はいきなり不良グループに目をつけられ、つばぜり合いがはじまる。また学園内には裏番がいるという。ガム子(安藤サクラ)という不良番長が誠にヤキを入れようとするが、返り討ちにあう。それを聞き一気に不良たちがざわめく。誠は校内で一人の女性高原由紀(大野いと)と出会う。不良グループの面々と若干イメージの違う高原由紀は誠に近づく。

一方愛は転校した誠が心配で仕方がない。授業を受けても胸騒ぎがする。それまでも、誠の生活費を援助するためいかがわしい喫茶店でバイトを始めていた愛は花園実業へ転校するのであるが。。。


クレージー映画も若大将映画もかなりの歌を映画に織り込む。タイガースをはじめとしたGS映画や舟木一夫の映画も同様だ。タッチはその筋だ。でもここでは登場人物が一曲づつ歌っている。誰もが知っている歌だ。いきなり主人公誠を演じる妻夫木聡が西城秀樹を歌う。その昔の映画化で第一作目の誠役だった。不良グループとの動きがミュージカルの動きを感じさせる。なんじゃこりゃといきなり観客を驚かす。


一番よかったのが、武井咲ちゃんの歌う「あの素晴らしい愛をもう一度」
一回見た後、もう一度見直してみたけどやっぱり背筋がぞくぞくする。抜群にいい!
初期のアグネスチャンを彷彿させるしぐさで歌い始める。うまくはないがやさしさに満ちあふれた感じだ。映画「パッチギ」の時もこの歌いいなあと思ったけど、今回の方がはるかにいい。咲ちゃんは昭和美少女という早乙女愛というキャラにぴったりだ。40代以上オジサン達がときめくんじゃないかな?
子供のころフォーククルセイダース「帰ってきたヨッパライ」が大流行した。そのあとの2作目が注目されたが、朝鮮の歌「イムジン河」はあっさり発売禁止。映画「パッチギ」ではその「イムジン河」とともに「あの素晴らしい愛をもう一度」が流れる。これは北山修と加藤和彦名義で出された曲、フォークギターに合わせたやさしい歌声に魅了された。今さらながら故加藤和彦の才能を惜しむ。


岩清水弘のイメージが若干原作と違う。端正な秀才と言うイメージを当時われわれは思っていた。岩清水に似ていると自慢するようなメガネ野郎が割といた気がする。この映画ではドンくさい。元々の劇画の方がスマートだったんじゃないかな。でもそれはあえて三池監督がそうしたんじゃないかと思う。「空に太陽がある限り」は芸能人運動会の帝王にしきのあきらのヒットソング、かなりバタ臭いのが笑える。


岩清水よりももっとイメージが違うのが高原由紀だ。お嬢さんの早乙女愛と対をなす美女で、もっと精悍なイメージがあった。前の映画で多岐川由美がやったが、原作からするとイメージにぴったりだった。ここでは同じ裏番長であるが、イメージを変えている。そして藤圭子流「夢は夜ひらく」を歌う悲しい女としている。アニメで彼女の生い立ちを描くのはタランチーノの「キルビル」の手法。これはなかなか面白い。


よくやったと思うのが伊原剛志だ。彼は40過ぎて高校生を演じている。これもすごいなあ。
ジョントラボルタ主演の「グリース」という青春映画があった。あの映画でも30歳のオリビアニュートンジョンや34歳のストッカードチャ二ングが高校生を演じていた。それもすごいが、伊原はもう50近いんじゃないかな?この強引なやり方がハマっている感じだ。「狼少年ケン」は子供のころ10チャンネルでやっていた。ストーリーはすっかり忘れたが、あの歌は耳についてはなれない。抜群の選曲だ。


早乙女愛の両親に市村正親と一青窈をもってきた。これも笑える。
2人のコミカルな動きは予測不能な滑稽な動きだ。

ほとんどが素人の歌である。全然うまくない。カラオケ自慢の腕にも達していない。
でも何かしっくりくるのはどうしてなんだろう。
久々の歌謡ショー映画は十分楽しめた。
コメント
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