映画とライフデザイン

大好きな映画の感想、おいしい食べ物、本の話、素敵な街で感じたことなどつれづれなるままに歩きます。

映画「湯を沸かすほどの熱い愛」 宮沢りえ&オダギリ・ジョー

2016-10-30 17:43:08 | 映画(日本 2013年以降主演女性)
映画「湯を沸かすほどの熱い愛」を映画館で見てきました。


日本テレビの「JIP」で俳優の斎藤工が紹介する映画って割とよくできているものが多い。約一か月前に宮沢りえの新作「湯を沸かすほどの熱い愛」がなかなか泣けると紹介していた。それだけのきっかけで映画館に向かう。宮沢りえの主演作「紙の月」はなかなかの好演であり、40をすぎて演技力も熟成されてきた。ここでも実力を発揮している。

比較的ストーリーは単純には進まず、予想外の展開もありひねりも効いている。「オーバーフェンス」に引き続き、淡々としたオダギリジョーの演技もよく飽きずに楽しめたが、もうひとひねりがあるともっとよかったのにというのが正直な感想だ。確かにいくつかの場面では、かなり涙腺を刺激される。


1年前、主人の一浩(オダギリジョー)が家を出て行って以来銭湯・幸の湯は閉まったままだった。妻の双葉(宮沢りえ)と安澄(杉咲花)の残された母娘が二人で暮らしている。安澄は高校でいじめられていて登校拒否になりそうだったが、双葉は懸命に支えていた。ある日、いつも元気な双葉がパート先で急に倒れる。精密検査の結果すい臓がんをきっかけとした転移性の末期ガンと告知される。双葉は探偵を使い、夫のゆくえを探し出す。


そして引き戻すが、その昔飲み屋で知り合った女との間にできた小学生の少女を一緒に連れてきて安澄に「お前の妹だ。」と紹介する。そして幸の湯は4人で切り盛りして銭湯稼業を再開しようとするのであるが。。。

1.足利のロケ
雰囲気が地方都市の感じかなと思っていたら、車がとちぎナンバーである。転勤で栃木県に5年もいた自分の記憶から両毛地区と想像する。関東平野のはじっこで山が少ない。渡良瀬川かなと感じていて、最後のエンディングロールで足利市と判明する。作品情報を見ると、足利の銭湯とすでになくなった東京の銭湯の両方で撮影されていたらしい。河原がずいぶんと映るけど、これって有名な冤罪事件「足利事件」の殺人現場の方だ。


2.ひねりを加えた脚本(ここからネタバレ注意)がんが発覚して、家出した夫を引っぱり出すところまでは、母娘vs夫の構図かと思ったら、ひねりが効いていて夫が昔飲み屋の女とやって、その時できたと言われた娘を登場させる。このあたりはうまい。異母姉妹の妹は立場が違う。まったく無関係のところに登場したこの妹の立場は複雑だ。彼女のパフォーマンスに一番泣ける。


でもこれだけではすまなかった。
旅行に異母姉妹を連れだして、遠路沼津へ向かう。親戚の家なのかな?と思っていたら、店に入って高足カニを頼む。おしの女性が出てきて注文を取る。そして帰り際宮沢りえがその女をピンタするのである。何それ??オダギリジョー扮する夫の浮気相手と想像されるがどうなんだろう。
すると、宮沢りえが娘にあの人(篠原ゆき子)はあなたの母親だと告白する。え!本当!!

2ひねり目だ。なかなかやるね。このあともう少しひねりがあるけど、その紹介はやめておこう。

3.こんなことあるかなあ?(少しツッコミいくつか)
あと余命少しとなった時に、運転補助なしに足利~沼津って長距離運転させるかなあ?これだけはしておきたいという思いを実現させるために、夫が黙っているという感じはつかめるけど、普通であれば誰か運転手が一緒に行くよね。どうなんだろう??

その昔結婚していて、子供を捨てて出て行った女性は確かに安澄の母親だけど、再会したあと急激に仲良くなる。そればかりでなく、幸の湯にまで出入りするようになる。こんなことってあるのかな?

この映画の設定が末期がんで死んでいくとというのは誰にもわかる事実。自分も母をがんで亡くしたので、死ぬ寸前の状況はよくわかる。宮沢りえはよく勉強して、うまく演じているのがわかる。でもこんな時、娘だけが見舞いに行っていてあとは何もしないなんてことあるかしら?不思議??


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映画「奇跡がくれた数式 ラマヌジャン」 

2016-10-30 06:30:47 | 映画(洋画:2016年以降主演男性)
映画「奇跡がくれた数式」を映画館で見てきました。


「ビューティフルマインド」や「イミテーション・ゲーム」など数学者やそれに類した研究者の伝記的物語って大好きである。中学生くらいから数学が好きになったけれど、数学が本当にできる凄い奴らには絶対かなわないということがわかっていく。結局、数学は使うけど社会科学系学部に進んだ自分からすると、ものすごい数学者たちの話ってあこがれに近いものがある。どちらかというと、頭の使いすぎで精神の安定を失っていくという展開が多い。それでもつい映画館に行ってしまうのだ。

今でも数学に関わるエッセイ等はかなり読んでいるので、この映画の主人公ラマヌジャンのことは知っていた。話の展開は予想通りに進んでいく。天才インド人をひきたてたケンブリッジの教授との師弟関係が中心になる。悪くはないんだけれど、もう少しラマヌジャンの数学的なひらめきに焦点をあてる脚本だともう少し楽しめたかもしれないと感じる。

1914年英植民地インドから、イギリスのケンブリッジ大学カレッジで教授を務めるG・H・ハーディ(ジェレミー・アイアンズ)のもとに1通の手紙が届く。食事も忘れて手紙に没頭したハーディは、差出人のラマヌジャン(デヴ・パテル)を大学に招くと決める。そこには著名な数学者のハーディも驚く“発見”が記されていたのだ。

独学で学んできたラマヌジャンは、自分の研究を発表できる初めてのチャンスに胸を躍らせる。異教の地を嫌がる母には反対されるが、結婚したばかりの妻(デヴィカ・ビセ)は「私を呼び寄せるなら」と許してくれた。


トリニティ・カレッジに足を踏み入れたラマヌジャンを、ハーディの友人のリトルウッド教授(トビー・ジョーンズ)が温かく迎える。しかし、当のハーディは短い挨拶だけで消えてしまう。他の教授たちは、ラマヌジャンに批判的だった。


ハーディが発見した定理には論理的な証明はなかった。ハーディはラマヌジャンに、証明の重要性について説明する。だが、次々と“直感”で新しい公式が閃くラマヌジャンにとっては時間のムダに思えた。ハーディはそんなラマヌジャンをレン図書館へ連れて行き、成功すればニュートンの本の隣に君のノートも並ぶと励ます。さらにハーディは手本を示すために、代わりに証明してやったラマヌジャンの研究の一つをロンドン数学会の会報に発表する。

しかし、第一次世界大戦に英国が参戦したことが、ラマヌジャンの運命を変える。厳格な菜食主義を支えていた市場の野菜は配給にまわされ、兵士たちに「俺たちは戦地へ行くのに」と暴力を振るわれる。さらに追い討ちをかけるように、妻からの便りが途絶えるのであるが。。。 (作品情報より)

1.ケンブリッジ大学
映画「炎のランナー」で以前見た風景がそのまま映し出される。実際にケンブリッジ大学でロケをしたのであろう。これってすごいことだ。この映画は1914年からの話だし、1981年のアカデミー賞作品「炎のランナー」は1919年からの話でほぼ同時期にあたる。トリニティカレッジがそのままの姿ということ自体が驚異的だ。しかもこのようにロケをさせてくれるケンブリッジの寛容性にも驚く。


2.ラマヌジャン
数式と数字の嵐を眺めながら、ラマヌジャンは次々と新しい公式を発見する。しかし、証明はない。数学界ではフェルマーの最終定理を証明するのになんと360年かかった。証明できそうになるがそれが不完全ということが分かるということの繰り返しだった。どちらかというと、数学では定理や予想を多くの検閲者のチェックに耐え完全証明するということが重要なのだ。


作品情報の中で大学の数学科の教授が「彼の数式は複雑だから尊いのではなく、むしろ人類がまだ気づいていない、深くて微妙な数学現象を、簡潔な公式や具体的な等式で表現して見せているから凄いのである。」としている。映画を見ているとその意味がよくわかってくる。映画の中でヒンズー教徒のラマルジャンが女神(ナマギーリ)が寝てる間に教えてくれるというセリフがある。最終形の公式がおもしろいくらいひらめくのだ。ちなみにラマヌジャンはカースト制度では最高位のバラモンである。菜食主義が極度に見えるのはその地位の高さもあるせいなのか?

3.分割数
映画の中で分割数の話がでてくる。4という数を自然数の和としてあらわす方法は、4、3+1、2+2、2+1+1、1+1+1+1の5通りで、これを「4の分割数は5である」という。ハーディとの共同研究で、分割数を求める公式を編み出したのである。極めて精度の高い公式だ。例えば100をその公式に入れると、190569291.996となる。映画に出てくる分割数の専門家マックマーンが求めた正しい分割数1億9056万9292と比べると、誤差はほんのわずかだ。こういう定理をいくつも編み出し、のちに証明され現在でも利用されているものがあるという。要は直感的天才なのであろう。

私がラマルジャンを知ったのは1729という数字に関わる有名な逸話で1729という何気ない数字を「2通りの2つの立方数の和で表せる最小の数」と答えたことだったが、この映画でも触れていたが、きっちり説明していなかった。これってセリフでは難しいのかなあ。

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