映画とライフデザイン

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映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」 笑福亭鶴瓶&綾野剛&小松菜奈

2019-11-17 19:10:36 | 映画(日本 2019年以降主演男性)
映画「閉鎖病棟 それぞれの朝」を映画館で観てきました。


帚木蓬生の山本周五郎賞受賞作「閉鎖病棟」が原作、平山秀幸監督・脚本により映画化した。実際の精神科の医療施設でロケ撮影をしたという。精神科の専門医療施設・小諸高原病院で2週間にわたるロケ撮影が行なわれた。芸達者の笑福亭鶴瓶の出演も気になり見に行く。いきなり死刑執行のシーンが出てきて何これ?と思ったら、死刑囚が蘇生してしまう。こんなことってあるのかい?と思いながら映画のストーリーを追う。主要な患者が笑福亭鶴瓶綾野剛小松菜奈の3人を中心に話が進むが、精神科の病院にありがちな患者たちを巧みにからませる。

長野県のとある精神科病院。それぞれの過去を背負った患者たちがいる。
母親や嫁を殺めた罪で死刑となりながら、死刑執行が失敗し生き永らえた梶木秀丸(笑福亭鶴瓶)。サラリーマンだったが幻聴が聴こえ暴れ出すようになり、妹夫婦から疎んじられているチュウさん(綾野剛)。不登校が原因で通院してくる女子高生、由紀(小松菜奈)。彼らは家族や世間から遠ざけられても、明るく生きようとしていた。そんな日常を一変させる殺人事件が院内で起こった。(作品情報より引用)

実際の精神病院の病棟に行ったことある人は少ないであろう。自分はある人を数回見舞いに行ったことがある。薬漬けになっている患者たちがボーとした顔をして院内を徘徊している。入院したばかりは暴れる人もいるだろうが、実際には薬の作用で動きが鈍い。この映画では患者の振る舞いをきっちりと取材している痕跡が見られる。

手旗信号をふりつづけて感情表現する男、しつこく写真を撮りまくる少年、毎日12杯うがいをしろと親の遺言で言われたと後ろに大勢ならんでいるのにマイペースで水を飲む女など特徴ある患者をピックアップする。それに加えてきっちりと抗うつ剤を飲んでいるのかを看護師が患者の口を確かめるシーンなど、リアルな動きも見せる。

1.笑福亭鶴瓶
いきなり死刑執行のシーンが出てきて、モノクロの画面でどうも笑福亭鶴瓶が演じているようだ。絞首刑で死んでいるはずなのに生きている。脊髄には損傷があるけど、そのまま蘇生する。もう一回死刑執行するとなると世間に騒がれると刑務所側が判断して精神病院をたらい回しにあうという設定である。であるから統合失調症になっている精神科の患者ではない。

陶芸の工房と言うべき小屋があり、そこで作業をしている。死刑判決の理由は妻と母殺しということだが、妻が訪ねてきた役所の男と情交を重ねているのを見つけて包丁で殺す。このまま刑務所に入ってしまうとぼけて寝込んでいる母親を面倒見る人間がいないと母親まで殺してしまうのだ。

精神病院ではみんなに親しまれている。18歳の小松菜奈演じる患者も心を許す。しかし、周囲に暴言を吐く今までと違う乱暴な男が病院に入ってきた。病院の患者は戸惑う。それには笑福亭鶴瓶演じる秀丸も心を痛める。そんなときある事件をその乱暴な男が起こすのだ。


2.綾野剛
この3人では唯一の精神病の疾患を持つ男だ。自宅で突如発狂し、同居する母と妹夫婦を不安に陥れ精神病院に入院する。かなり重い統合失調症の疾患を持つ周囲の患者よりはましな方だ。外出して和菓子や洋服などを仕入れてそれを1.5倍の価格にして病院内で売る。当然病院側から怒られる。妹夫婦は母親がぼけてきたこと、兄が精神病院に入院していることもあり、土地の有効活用や売却の相談を面会で持ちかける。当然拒否する。兄妹の折り合いはよくない。


若干の激しさを持つ役柄が多い綾野剛であるが、ここではおとなしい。若干女々しいくらいで、気も弱い。精神病棟では抗うつ剤で精神の起伏を抑えるようにされているわけであるから、実際の姿に忠実であるといえる。

3.小松菜奈
実母と継父と同居しているが、母親がいないときに継父に犯される。部屋の中で閉じこもりになり、不登校となったことでこの精神病院に入院することになる。入院時の検査で懐妊していることが判明する。それが尾をひいて、病院内の屋上から自殺未遂を起こすが、落下地点が運良くクッションになり軽いけがですむ。

統合失調症というわけでもないので退院してもかまわないくらいだが、もう一回自宅に戻っても再びこの病院にもどる。家族の人間関係は最悪だ。笑福亭鶴瓶、綾野剛ほかの入院患者との折り合いもよくなった。その後、事件が起きる。


周囲と交わらない乱暴な一人の男が入院してきた。その男が小松菜奈をレイプしてしまうのである。
この映画のすべてはそこに集約されてくる。
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