映画とライフデザイン

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映画「ブルーピリオド」眞栄田郷敦

2024-08-11 10:27:39 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「ブルーピリオド」を映画館で観てきました。


映画「ブルーピリオド」山口つばさの人気漫画の実写映画化作品だ。普通の高校生が200倍もの高倍率の東京藝術大学油絵科を目指す姿を描く。眞栄田郷敦が主人公矢口を演じる。一瞬ピンとこないが、千葉真一の次男だと気づく。予告編を何度も観ていたが、最初デカい文字で東京藝術大学と出てきて驚く。ドキュメンタリーかと一瞬思ったが東京芸大(以下簡略化する)を目指して奮闘努力する話のようだ。若い人が目標に向けて一意専心努力する話は好きで映画館に向かう。

高校2年生の矢口八虎(眞栄田郷敦)は仲間と酒を飲みながら夜更かしするのに成績は優秀な要領のいい高校生だ。母親(石田ひかり)からは家計がきびしいので国立大学に行ってくれと言われている。美術の佐伯先生(薬師丸ひろ子)から「自分の好きな風景」を課題に出されるが、ピンときていない。

そんなある時、美術教室で先輩の女子生徒が描く絵に目を奪われる。絵に関心を持ち、普段明け方までの夜遊びで見慣れた渋谷の朝を課題にして絵を描く。その後、関心が深まりロングヘアの同期鮎川(高橋文哉)が所属する美術部に入部する。年がら年中絵を描くようになり、美大志望を考える。家の家計を考え東京芸大の志望を考えるが実力は遠く及ばない。それでも、こっそり父親に頼み美大入試の予備校東京美術学院に入り、東京芸大受験を目指す。


若者が努力する姿は美しい。おもしろく観れた。
東京芸大が東大とは別の意味で超難関であることは誰もが認めている。「ドラゴン桜」とは違うおもしろみがある。既視感はない。原作者山口つばさ東京芸大出身の才女のようだ。単に取材だけでは描けない漫画だろう。主人公眞栄田郷敦と原作者の対談記事を映画を観た後に読んだが山口つばさは顔出ししていない。男と女と設定変わっているが、私小説的要素はあるだろう。本名は非公開のようだ。

これまでの自分の人生で東京芸大の美術系学科出身者には4人出会ったが、年上で同世代ではいない。出会った人たちが合格に向けてどんな努力をしたかは聞いていない。合格まで努力する話が新鮮だ。

主演の眞栄田郷敦がパワフルだ。父千葉真一も兄も格闘技系できっと本人も元来はアクション系だろう。映画を観て長身の江口のりこを見下ろすパターンは珍しいほど身体も大きい。東京リベンジャーズのような不良映画の方が得意なのかもしれない。でも巧みにこなした感じがする。意外に映画館には若者より自分の年齢に近いような熟年も目立ったが、薬師丸ひろ子と石田ひかりの登場には安心感を覚える。もちろん大ファンの江口のりこの美術予備校の教師もいい感じだ。

⒈高校生の渋谷での夜遊び
もともと主人公の矢口八虎は渋谷のスポーツバーで酒を飲みながら観戦して、その後始発までセンター街付近をウロウロする高校生として描かれる。自分も高校時代から文化祭や運動会の打ち上げで仲間と飲んでいたのでまったく抵抗がないOB含めた飲み会では宴会芸もやらされ飲まされた。この映画の高校生のように嘔吐する連中は自分も含めて多かった。

選挙権を18歳としたにも関わらず、飲酒は20歳のままにしているのは愚策と感じる。今回のオリンピックで体操の代表が飲酒と喫煙を理由に代表から外された。今の50代(40代?)から上は奇妙に思った人は多いだろう。自分たちはコンパなどで散々飲んだわけだから。ネット上などで議論されているが、結局は根本的に選挙権与えたのに飲酒が厳禁という矛盾かなと感じる。もっともこの映画は高校生の飲酒だけど。


⒉魅力的な薬師丸ひろ子
美術教師で生徒に対して気の利いたセリフを言う先生が出てきたなと思って、しばらくして薬師丸ひろ子と気づく。髪型がいつもと違い、これがまた魅力的な美術教師だ。萩原健太郎監督の年齢からすると、当然薬師丸ひろ子の全盛時は知らないはずだ。いい起用だと思う。

昔のながらの専業主婦的なお母さん役が多かった。新垣結衣「ハナミズキ」でも「三丁目の夕日」でも「あまちゃん」でもお母さんだ。今回のようなキャリアのある女性役は珍しい。別にファンというわけでもなかったのに、彼女が出てくると心ときめくのは同年代のよしみなのだろう。「セーラー服と機関銃」紅白歌合戦に出てきた時には涙が出た。


⒊高校の美術室と美術の予備校
高校時代、芸術科目は音楽選択だったので、石膏の像などがある美術教室は中学以来で記憶も薄くなっている。主人公は途中から美術部に入ってひたすら絵を描く。画面分割の手法で対比させる映像もいい。「オレは天才ではないので、天才と見分けがつかないくらい描いて」というセリフには予告編から惹かれる

原作者山口つばさも通っていたモデルになる美術の予備校があるようだ。友人と遊ぶシーンでは渋谷ロケだが、新宿ロケのシーンが増える。新宿に予備校があるのだろう。美大受験のためひたすら課題の絵を描く予備校教室という世界は自分が知らない。教師は江口のりこが演じる。親の収入が少なくて国立大学目指すというが、美術系予備校の学費は通常の文系理系よりはるかに高いだろうし、高くないと予備校は絶対もたないだろう。


4.東京芸大受験
エンディングロールでロケ地が気になっていた。さすがに東京芸大ではないようだ。多摩美や名古屋の芸術系の学校などが列挙されていた。スタッフのロケハンの苦労を感じる。

試験を受ける東京芸大入試の課題も容易ではない。数日間にわたる2次試験の課題の完成は精神的にも肉体的にも限界への挑戦だ。裸のモデルもずっとポーズをとるなら安いモデル料ではワリに合わない。過酷な試験というのは変わらないようです。音楽系は幼児の頃からすごい音楽の先生についてスパルタ教育が前提の世界だが、美術はどうなのかなあ?

ただ、この映画を観て違和感を感じたのは、共通のセンター試験に触れられていないこと。合格配点に共通試験が影響がないのか知識がないが、時間の関係で割愛したのか?と感じる。あとは、試験に受かったのはふり出しで大学入学したあとの方がもっと重要なのにと映画が終わった時感じた。実際には入学以降のことも漫画原作では続いているようなのでそれはそれでよかったと感じる。


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