映画とライフデザイン

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映画「箱男」 永瀬正敏&浅野忠信

2024-08-27 20:16:58 | 映画(日本 2022年以降 主演男性)
映画「箱男」を映画館で観てきました。


映画「箱男」安部公房が1973年に書いた原作を石井岳龍監督により映画化した作品。裏路地の片隅にあるダンボール箱から世間を覗く男をクローズアップする。安部公房の小説は好きではない。それでも昭和の匂いがする予告編で見る箱男のパフォーマンスが気になる。配役は豪華で永瀬正敏、浅野忠信、佐藤浩市の主演級が揃う。怖いものみたさの感覚で選択する。


ダンボールを頭からすっぽりと被り、街中に存在し、一方的に世界を覗き見る『箱男』。カメラマンである“わたし”(永瀬正敏)は、偶然目にした箱男に心を奪われ、自らもダンボールをかぶり、遂に箱男としての一歩を踏み出すことに。

しかし、『箱男』の存在を妨害する連中に囲まれる。箱男の存在を乗っ取ろうとするニセ医者(浅野忠信)、箱男を追う元軍医の老人(佐藤浩市)、 診療所の看護師葉子(白本彩奈)がわたしを取り囲む。

よくわからない映画だった。
スケールの大きい娯楽作品を見た後で、単純明快でない世界に入り込むのは少々キツイ安部公房の世界だけにわけのわからない人物が登場する。わかって観たはずだが、快適な気分にはなりづらい映画だった。1973年という年号が出てきて、てっきりその時代だと思ったら違う。ノートパソコンに写真映像がおさめられたり、福沢諭吉の一万円札も出てくるので現代だ。室内の照明設計は同じ石井でも石井隆監督作品によくある怪しいネオン街片隅の店で見る薄気味悪い暗さだ。どんよりしたムードで映画は進行する。

「箱男を意識するものは箱男になる。」
世間から逃避した箱男はお気楽でいいなと思ってしまう気持ちはある。ダンボール箱の小窓から世間をながめて、ノートに思ったことを書き殴る。そんな観察自体はしてみたい気持ちもある。でも、風呂に入れないし、不潔だ。身体中がかゆくなるだろう。永瀬正敏が身体にかゆみに耐えられないシーンもある。町で寝そべるホームレスオジサンをいたぶる意味不明な人物がいるようだが、ここでも訳もわからず暴力を振るわれる。さすがに自分からは乖離してしまう世界だ。


ニセ医者も軍医も正体不明。世捨て人の箱男にこだわる。主人公はCONTAXのカメラで写真を撮るし、ニセ医者も町にいる箱男の写真を撮る。暗室でフィルム現像する。古さびれた医院の奇妙な空間になぜか美女が1人いる。セリフに意味不明な発言が多く、もう一歩のれない作品だった。


唯一の収穫は資格のない看護師役の白本彩菜だ。初めて知った。まだ若いけど、3人のメジャー俳優に囲まれても存在感を示す。ブラジャーをとって脱いでいくシーンにはドキドキするし、最近の屁理屈ばかりで脱がない女優陣の中で、美しい裸体と小ぶりなバストトップを見せてくれるのはうれしい。ボリューム感はないけど、男にやる気を起こさせるしなやかさを持つ。数百人の中からオーディションで選ばれたのはうなずける。白本彩菜の今後の活躍を期待する。

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