映画とライフデザイン

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映画「このろくでもない世界で」

2024-07-31 17:12:14 | 映画(韓国映画)
映画「このろくでもない世界で」を映画館で観てきました。


映画「このろくでもない世界で」は韓国得意のクライムサスペンスである。お気に入りの俳優が出ているわけではないが、直感で選択する。長編デビュー作のキム・チャンフン監督の作品。原題はオランダを意味する。韓国の下層社会に生きる高校生がやむなく裏社会稼業に従事せざるをえない状況を追っていく。既視感があるストーリーとも言えるが、若くして堕ちていく主人公を追う。

継父のDVに怯える18歳のヨンギュ(ホン・サビン)は、義理の妹ハヤン(キム・ヒョンソ)を守るために暴力沙汰を起こして高校を停学、その上、300万ウォンの示談金を求められる。町中華のバイトで稼ごうとするが、遠く及ばない。暴力沙汰でクビになる。


ヨンギュは、ひょんなきっかけで裏社会組織のリーダー、チゴン(ソン・ジュンギ)に助けてもらう。チゴンは同じ育ちの匂いをヨンギュに感じたのだ。ヨンギュはその後も金銭的に厳しくチゴンのもとで働かせてもらいたいとお願いする。路上駐車のバイクを盗んで裏ルートで売る仕事の手伝いをするのだ。チゴンの本業裏金融の世界でも手助けをしてヨンギュは徐々にチゴンに認められていく。ところが、難題の依頼を受けざるを得ない状況になる。

韓国の下層社会と裏社会の狭間を生きる青年の物語だ。
元々の父親を知らずにシングルマザーのもとで育った高校生が母とDVの義父と血のつながっていない妹と暮らす。生活は苦しい。いつも通りの韓国下層社会の物語で、裏社会に転落するパターンもよくありそうだ。暴力表現は韓国らしくかなりドギツイ。日本映画「あんのこと」で示す下層社会と似て家庭環境はよくない。ただ、違うのはこの映画では当事者が更生しようとするシーンがない。堕ちていくだけだ。


18歳の貧困少年ヨンギュと、裏社会の男チゴンの友情が見どころだ。韓国映画では毎度の定番のように見えるが、裏金融の取り立てのきびしい部分も映し出す。ヨンギュのことをかっているといっても、2人の関係にもかなりの紆余屈折がある。リーダーの上にいわゆるドンがいて、政治の世界も絡んだ面倒な世界だ。言うこと聞かない奴の始末にも手をつけろとドンを通じて命令が下る。共感が持てる登場人物はいないけど映画の全体レベルとしては、それなりと感じる。


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