後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

中古ヨットの買い方(14)セイリングを楽しむために買う

2008年03月19日 | うんちく・小ネタ

@セイリングは何故人間を魅了するか?

風上へ舳先を向けて帆走する。波が船体を斜め前から打つ音が、ピチャピチャ、チャラチャラ、ザワザワ、ザブザブと次第に大きくなる。セイルが風をはらんで、マストが大きく傾く。前甲板に波がザーッと時々上がってくる。太陽の光を反射した無数の風波が一面に輝いている。この瞬間、体中がしびれたような快感に満たされる。人間の体が完全に自然と一体化し、自分が風の中に溶け込んだように陶酔する。聞こえるのは波の音と、風が帆綱をきしませる音だけ。エンジンの音が無い。静かだ。

この陶酔した境地に至るとすべての苦労を忘れる。でもそんな帆走の出来るのは4、5回に一度だけ。その爽快感を得るために冬でも足しげくヨットへ通う。

セイリングをより多く楽しむ為には2つの条件があります。ヨットの係留地が可能な限り近いこと。そして自分だけで単独帆走の出来ることです。他のクルーの忙しい仕事の都合に合わせる必要が無く、自分独りだけの都合でヨットへ行ける。

中古ヨットの買い方には、この2件を優先して買う方法も有ります。

@単独セイリングを楽しむための中古ヨットの買い方:

そうすると、なるべく近い係留所をまず見つける。その後で単独帆走が出来るような中古クルーザーを選びます。単独帆走には艇長26フィート位が最適で、自動操舵装置の有る艇にします。それからジブ・ファーラーも必要です、メイン・セイルの上下を独りでするためにレイズイ・ジャックも必要です。

小生は10年前にアメリカのジョイラックという26フィートの中古を100万円で買いました。前の持ち主は若者数人でレース出場を楽しんでたので単独帆走に必要な装備は自動操舵装置以外なにもついてませんでした。ケブラー製のレース用セイルを何枚も持っていましたが。そこで、購入後、ジブファーラー(25万円)とレイズイ・ジャック(6万円)は新品を買い装着して貰いました。

中古クルーザーを買うときこのような余分な費用が必要なら、購入予算の中に計上しておきます。

もう一つ重要なことは船外機にするかインボードエンジンにするかの問題です。

前回の「中古ヨットの買い方(13)」では現役のかたは仕事が忙しいのでトラブルの少ない船外機のタイプが良いとお薦めしました。

引退後に購入されるなら是非、インボードエンジンのタイプが良いと思います。

前回まで記しましたように色々なトラブルが起きますが時間をかけて修理するのも引退後の楽しみになると思います。それに何よりも出入航や帆の上下の度に重いエンジンを上げ下ろしする必要がなく、体力が弱くなる年齢には非常に助けになります。

それともっと重要なことは、セイリング中に波や風に対する船体の揺れ方が重厚で、自然の力の奥深さが体で実感でき、セイリングの陶酔感が一層味わい深いものになることです。小型のディンギーヨットでは味わえない陶酔感です。

さて「中古ヨットの買い方(12)」ではクルーザーヨットの使い方を3つに分類しました。1、昼間だけ出港し、風でヨットを悠然とセイリングすることを楽しむ。夜はキャビンでパーティをして楽しむ。2、近海で昼間だけのレースへ出場をし、レースで優勝することを楽しみにする。3、外洋での何日間もの長距離航海を楽しむ。

この3種の組み合わせもあります。しかし、1の昼間のセイリングとキャビンでの飲み会を楽しむ人々が圧倒的に多いようです。次回はキャビンでのパーティーについてその企画内容と備品について書く予定です。

フォトアルバム「中古ヨットの見分け方の写真集」ではジブファーラーとメインマスト・トップからブーム端に張ったレイズイ・ジャックの写真も示してありなます。(続く)

Dscn1980


外国体験のいろいろ(35)ー男だけの遊び

2008年03月19日 | 旅行記

◎アメリカの男の遊びースタッグ・パーティー

アメリカでは何でも女性同伴、レディーファーストということをよく聞く。しかし、それはあくまでも建て前だけの話。家族づれのバーベキューも盛んだが、男だけが集まるスタッグ(雄鹿)・パーティーも盛んである。1960年に留学したとき、オハイオ州立大学の金属専攻の学科で男だけのスタッグ・パーティーがあった。酒は飲み放題、男性専門の多少品の悪い議論、そして最後は現金を賭けたポーカーになる。どうも、「賭けポーカー」が目当てのパーテーらしい。

胴元はイタリア出身で、顔がシシリア・マフィアそっくりの学科主任の老教授。見事な手つきでカードを切る。「サー賭けて、賭けて、ただしアメリカ合衆国憲法で決まっている通り、賭け金は1ドル以下のコインに限るよ」。合衆国憲法云々はもちろん冗談である。アメリカ人は憲法が好きで冗談にもよく顔を出す。

6,7人が円卓に付きポーカーが始まる。チャリン、チャリンというコインの音と見物人の掛け声で座が騒がしくなる。胴元の老教授がドスの利いた声を上げる。「アメリカ合衆国憲法により見物人は無言で見ること!」またアメリカ憲法が出てくる。

ポーカーはご存知のようにルールが単純で、あまり高度な手を必要としない。日本の花札のように運任せの部分が多い。それが人気の原因になっている。

近所の男だけ5,6人集まるポーカークラブへ誘われたこともある。自宅を回り持ちで毎週金曜日の夜更けに行う。賭け金は銀行で替えたコインだけ。布袋にズッシリと入れて集合する。奥さんや女子供は奥の部屋で息を潜めて気配も感じさせないようにしている。簡単な男料理とビールだけで、コインのぶつかる音のみが静かな夜に響く。

負けが続き30ドルぐらい取られると、一人、二人と帰っていく。お開きは午前1時と決まっていた。回り持ちなので自分の家でもした。男手で料理を作るルールなので魚や野菜の天麩羅を大皿一杯につけて出した。衣に塩、醤油を入れ味をつけて置く。こうすると「てんつゆ」を付けなくても、手でつまんで食べられる。ビールも飲む合間にポーカーをするので、ナイフやフォークを出してはルール違反になる。

天麩羅は客人の大好評を博した。

アメリカ人の好きなトランプ遊びにはブリッジもある。これは巧妙な手が必要になるので、何回かしたが身に付かなかった。

○男だけのゴルフ

オハイオの大学には大学専用の二つの18ホールのコースが有った。もちろん男女で行ってもよいが、男同士二、三人でよく行った。下手な人は男だけがよい。同伴の女性へ良いところを見せたり、女性のロスト・ボールを探し回ったりする必要が無い。気ままに打って、鳥の声を聞きながら見失ったボールをゆっくり探す。池を越える所では練習と言って何度も打つ。ボールが安いうえに混んでいないので後続チームがいない。

大学のあったコロンバス市はゴルフの神様と言われているジャック・ニコラスの出身地だけあって、大小さまざまのコースが数十ある。設計は千差万別。山と池ばっかりでグリーンがわずかに見える超上級コースから、利根川の河川敷のようにノッペリと平らで格安な初心者コースまで。格安だけに雑草が茂り放題であった。

初心者は電動カートを借りるのがよい。見失ったボールをカートに乗ったまま広範囲に探し回れるからである。カートはグリーン以外どこでも走行自由であった。入場料の安い初心者コースはどこでもそうである。

帰国後、ゴルフコースに行ってみる。おばさんキャデイーが重いバッグを背負って付いてくる。下手なのでよくコースを外す。キャデイーが探し回る。悪いのでコースから出ないように緊張して打つ。ますます外れる。おばさんが探し疲れる。キャデイーとの人間関係を維持するのに疲労困憊(こんぱい)する。1960年代の日本ではキャデイー付きでないと入場出来ない規則であった。それ以来日本ではゴルフをしていない。スポーツはヨット以外なにをしてもダメである。生来の運動神経の悪さのためである。(終わり)