私はブログにいろいろな話題で記事を書いています。その中にはアメリカ人を褒めた記事や欧米人の良い考えを書いた記事もあります。そうすると必ずのように欧米人を非難したコメントを頂きます。それはそれで良いのですが、多くの日本人は欧米人を憎んでいるような感じがします。この点が気になります。何故か間違っているのです。
そこで何故私がアメリカ人に親しみを持っているかあらためて考えてみました。
その原因はどうも若い頃のアメリカ留学にあるようです。
そこで今日は若い時の米国留学で私の受けた影響を簡略に書いてみたいと思います。そうすれば「日本人は何故欧米人に親しみを感じないのか?」という問いの答えになると思います。
老人になった私は今更ながらアメリカ留学の影響の深さを感じています。それは心の底に眠っていて、時々頭をもたげるのです。私は無意識のうちにアメリカ留学の体験が自分の判断を左右していることに気がつきます。
私はフルブライト留学生として1960年から1962年まで、オハイオ州立大学の金属工学科に留学しました。当時のアメリカ人は敗戦国の日本人を蔑んでいなかったのです。いや尊敬すらしていまいた。理由は簡単です。日本は勇敢に戦い手強い相手だったのです。
ですからアメリカ人はいつも私を励ましてくれ、好意溢れる支援を惜しみなく与えてくれたのです。
例えば博士過程で私が実験装置を作ったときのことを思い出します。その装置の完成には大学に付属した機械工場のニールさんという職人がひどく親切に協力してくれたのです。
そして学科主任のフォンタナ教授が「頑張っているね」「良い成果をあげた!」などと励ましてくれたのです。
1番目の写真はロードホールという建物です。この建物の一階の右端の部屋にその実験装置を作りました。
2番目の写真は親切だった学科主任のフォンタナ教授の部屋のあった建物です。彼が寄付をした建物なのでフォンタナ実験室と言う名前がついていました。
玄関を入ってすぐ右側に彼の部屋があり、ヘレンという秘書がいつも親切にしてくれました。経験豊富で優しさに溢れた女性でした。
そしてもう一つの忘れ得ぬ経験は、指導教官のセント・ピエール教授夫妻が我々の結婚式の仲人をしてくれたことです。私は 妻を日本から呼び寄せ、オハイオ州のコロンバスで結婚式を挙げたのです。1961年のことでした。
アメリカ人の親切さは留学した大学の人だけでなかったのです。見ず知らずの人も困っている私共を助けてくれたのです。
3番目の写真はオハイオ・キャバーンという鍾乳洞の入り口です。右の建物の中のエレベーターで降りると巨大な鍾乳洞がありました。
そこへ生後6か月の長女を家内が抱いて行った帰り道で車が故障しました。周りはぼうぼうたるトウモロコシ畑です。人っ子一人いません。すっかり途方にくれていたら一台の車が通りがかったのです。
ここでオハイオ州の田舎に似た風景写真を2枚示します。ネットで「アメリカの風景写真」を検索してお借りした写真です。
4番目の写真はオハイオ・キャバーンという鍾乳洞へ行く道に似た風景です。
5番目の写真はトウモロコシ畑の収穫後に似た風景です。
若い男が私の車のボンネットを開け、これは重症だと言います。そしてロープで私の車をかなり遠方の町の修理屋まで引っ張って行ってくれたのです。この様な体験は数回経験しました。
このような体験をすると何時までもアメリカ人への感謝の気持ちが残るのです。それが人間として当然ではないでしょうか?アメリカのことは全て好意的に見てしまうのです。
例えばベトナム戦争の時もアメリカ側を心情的に応援していました。枯葉剤の散布や村落を焼き尽くすような残酷な戦争行為には心を痛めましたが、ベ平連の反戦運動には参加しませんでした。
私は戦争には絶対反対ですが、アメリカのする戦争をつい好意的に見てしまうのです。自分自身が矛盾しているのです。
以前この欄に狩猟の趣味について好意的な記事を掲載しましたが、それも狩猟が趣味として受け入れられているアメリカの影響を下敷きにした考えだったもかも知れません。しかし狩猟は日本社会ではあまり歓迎されない趣味のようでした。
このように私の考え方はアメリカの影響を無意識に受けているのです。
誤解を避けるたに書けばアメリカの影響は全てが良いものではないと判っています。当然、悪い影響もあったと思います。
それはさておき、もう一つの影響は私が愛国心を持つようになったことです。私はアメリカに留学した影響で終生変わらない愛国心を持つようになったのです。
日本に生まれた幸運に感謝しました。祖国日本を懐かしみ大切に思うようになりました。どこの国より愛しています。その上、アジア人として生まれた幸運にも感謝しました。したがって隣国の韓国や中国も大切に思い愛しています。そのような愛国心を終生持つようになった原因は多数の民族が混じっているアメリカに住んだからです。アメリカで生活していると自然にそんな気持ちになるのです。
さて最後に「日本人は何故アメリカ人に親しみを感じないのか?」という問いの答えを考えてみます。その一番大きな原因はアメリカや欧米のどこかの国に住んだ経験の有無なのです。住んだ経験があればアメリカ人や欧米人に親しみを感じます。住んだ経験がなければ親しみを感じません。多くの日本人は住んだ経験がありません。多くの日本人がアメリカ人や欧米人に親しみないのは自然ではないでしょうか。これも地球上の自然現象の一つなのです。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたします。後藤和弘(藤山杜人)