紅葉の季節です。全国の紅葉の名所は美しく色づき始めました。そして益々美しい鮮烈な色合いになっていきます。日本の山々が一段と美しくなるのです。
最近、私はいろいろな所の紅葉の風景を思い出しています。
そこで今日は、遥かなる上高地の紅葉をご紹介したいと存じます。そして上高地にまつわる思い出を少し書いてみたいと思います。
上高地は神々しい別世界です。険しい山々をバスで根気よく登り、最後の長いトンネルを抜けると、いきなり眼前に穂高の連峰が広がり、紅葉した梓川と大正池が夢幻のような盆地を作っているのです。
昔は神垣内と書いたり、神河内と呼んでいたそうですが、とにかく神々しい景観なのです。日本のどこにでもある谷川の風景とは全く違う神秘的で、そしてロマンチックな景観なのです。以前に家内が撮った上高地の紅葉の風景写真を示します。
1番目の写真は田代橋の上流の「中の瀬」から見た梓川です。左奥には上高地の中心の河童橋があります。右手の山は六百山で麓はカラマツ林の紅葉です。
2番目の写真は田代橋から見た梓川です。右の岸沿いの道は人が多く歩いています。左の岸に河童橋まで人のいない淋しい道がついています。お薦めの道です。
3番目の写真は左岸のカラマツ林の紅葉です。
4番目の写真は右岸のカラマツ林の紅葉です。
昔の上高地は不便な高地でした。梓川沿いのバス道も無く、神河内に入るには北アルプスの高い山の上の徳合峠を越えて、この別世界へ降り立ったのです。苦しい山越えの後で見たこの夢幻的な景観に人々は桃源郷を連想したのです。
明治の始めころ、イギリス人のウエストン卿も徳合峠を越えて、神河内に降り立ったのです。そのときの感動を記した彼の著作を読むと私の胸も躍ります。
ウェストンは感動のあまり何度も徳合峠を越えて神河内へ足を運びました。人柄が良く山案内人に信頼されたと言います。このウェストンこそが上高地の魅力を日本人へ教えたのです。現在、彼のレリーフが静かに梓川を見降ろしています。
私は23歳の夏に、JR大糸線の穂高駅から中房温泉に泊り槍、穂高へと縦走しました。
中房温泉から燕岳を乗り越えて、大天井岳、西岳と尾根道を縦走し、槍の肩の小屋に一泊です。次の日は南岳へ尾根道を縦走してます。南岳からは最大の難所の大キレットを慎重に渡り北穂小屋に泊りました。そして最後に穂高からカラ沢を下り、梓川沿いに上高地に降り立ったのです。
そこには想像も出来ない神々しく感動的な光景が広がっていたのです。
清流の梓川。白い川瀬には茂る柳の木。白樺林。立ち枯れの木のある大正池。河童橋にのしかかるように聳えている明神岳。それを回り込むように蛇行する梓川。
すべてが夢心地のような風景です。
一度でも行ったことのある人とっては終生忘れられられない思い出の景観です。
私の忘れられない上高地は、北アルプスを縦走して、疲れ果てた末に神河内に降り立った時に見た、その光景なのです。それが心に焼付いている私の上高地なのです。
その後仕事が忙しくなって何十年も行きませんでした。
しかし70歳で引退してからは8年間、毎年のように出かけています。冬以外の良い季節に家内と一緒に行ったです。
上高地に行くと必ず上高地の帝国ホテルに寄ります。ランチを摂ったり泊まったりしました。
5番目の写真は上高地の帝国ホテルです。背後の山々は穂高連峰です。
この帝国ホテルの下の田代橋から中の瀬を通り河童橋の見えるところまで散策したものです。
上高地にはいろいろ思い出がありますが長くなるので止めます。
今日は上高地の紅葉を写真でご紹介いたしました。そして上高地にまつわる思い出を少し書いてみました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)