1番目の写真は奈良県宇陀市室生滝谷にある「花の郷 滝谷」の春の風景です。(http://www.kintetsu.co.jp/spot/spot_info/spot0000022.html)。
私は昔から歴史に興味がありました。特に地方、地方の歴史や少数民族の歴史を調べて、独りで楽しんでいます。その延長で動物や植物の進化にも興味があります。そして日本で現在見られる花々の歴史、渡来の歴史にも興味があります。
調べてみると、慶応大学、磯野直秀名誉教授の発表している「明治前園芸植物渡来年表」を見つけました。それは、http://koara.lib.keio.ac.jp/xoonips/modules/xoonips/download.php?file_id=13125 です。
下のにその一部をご紹介いたしますが、是非原文をご覧下さい。植物学の素人にも簡単に理解出来る素晴らしい文章で書いてあります。
(1)奈良、平安期
梅、菊、ボタン、シャクヤク、アサガオ、シモクレン、ケイトウ、ジュズダマだどなど。
(2)鎌倉期
ナンテン、フヨウ、ムクゲなど。
(3)室町期から安土桃山期
スイセン、ホーセンカ、ジンチョウゲ、ヒガンバナ、ローバイ、ソテツなどなど。
(4)江戸時代(17世紀)
シュウカイドウ、サルスベリ、レンギョウ、ハクモクレン、オシロイバナ、エニシダ、ヒマワリ、などなそ。
(5)江戸時代(18世紀)
キョーチクトウ、ハボタン、ニチニチソウ、など。
(6)江戸時代(19世紀)
ノボタン、ダリア、オジギソウ、コスモス、カンナ、キンギョソウ、スイートピー、パンジー、ラベンダーチューリップ、ゼラニュームなどなど。
この研究論文の圧巻は30ページから39ページにわたる数百種の渡来園芸植物の年号別の一覧表にあります。
慶雲2年(705年)から始まって、明治1年(1968年)のそれぞれの年号に渡来した園芸植物の名前が明記してあるのです。
驚くことにわれわれが普通日本古来の植物と思っていた梅も柿も皆渡来植物なのです。
日本の昔からの文学作品に登場する植物や花も一覧表になっています。
その文学作品は以下の通りです。
出雲風土記、古事記、日本書紀、萬葉集、古今集、竹取物語、伊勢物語、今昔物語、源氏物語、枕草子、土佐日記、更級日記 などなどです。
登場する植物や花が一覧表になっているのです。是非、http://www2.city.kurashiki.okayama.jp/musnat/plant/bungakusakuhin/index.html をご覧下さい。
その一例として源氏物語に出て来る植物の一覧表の一部だけを抜粋して下に示します。
「空蝉」 藍 アイ タデ科 渡来植物
「行幸」 あかね アカネ アカネ科
「朝顔」「野分」 朝顔 アサガオ ヒルガオ科 渡来植物
あさつき アサツキ ユリ科 渡来植物
「須磨」「梅枝」「浮舟」 葦 ヨシ イネ科
「花宴」 あづさ 梓ミズメ カバノキ科
「蛍」 あふち 楝センダン センダン科
「若菜下」「幻」 あふひ草 葵 フタバアオイ ウマノスズクサ科 加茂葵
「帚木」「乙女」 あやめ 菖蒲 ショウブ サトイモ科
「須磨」「夕霧」 稲 イネ イネ科 渡来植物
「乙女」 卯の花 ウツギ ユキノシタ科
「末摘花」「乙女」「初音」「幻」など22巻に所出 梅 ウメ バラ科 渡来植物
「紅葉賀」 瓜 マクワウリ ウリ科 渡来植物・・・以下省略します。
上に書いたように多くの植物は海を渡って日本に来たのです。 そのことは世界中同じで、植物たちは国々の間を行ったり来たりしたのです。
渡り鳥が運んだり、人間が運んだのです。特に美しい花々はその種子や苗を人間が大切に運んだのです。運んだ人の名前は分かりません。しかし外国から運んで来た種や苗が日本の土で花を咲かせたときの感動は大きかったに違いありません。そのようなことを想像すると楽しいのです。
植物や花のことを調べるのは、世の中の政治や国際紛争や経済問題を調べるよりずっと楽しいのです。
関東に住んでいる人々が週末に家族で旅をする場合には、とかく富士・箱根・伊豆半島へ行くことが多いようです。
しかし房総半島の南岸には黒潮ラインという自動車道路があります。青い海と花畑の景観を楽しみながらゆっくり走れます。フラワーラインは館山から和田まで46キロメートル続いています。
車窓から見ているとカラフルな花畑の間に懐かしい菜の花畑が点在しています。写真は、https://blog.goo.ne.jp/yamansi-satoyama に掲載されています。ここでは1番目、2番目、3番目の写真だけを示します。
ここ以下にお送りする写真は白浜房総ホテルに一泊して撮った写真です。
特に千倉では花畑に入って好きなだけ花摘みが出来るのです。自分の気に入った色彩の花を切って大きな花束が作れるのです。
春の陽光が射し、生暖かい潮風が公園の向こうの海から吹きこんでいました。沖を黒潮が流れているので一足早く春が来るのです。
南房総の花々の栽培は遠く明治時代に間宮七郎兵衛という栽培家の努力によって始まったと伝えられています。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈りいたしす。後藤和弘(藤山杜人)