美しい木造帆船の『シナーラ』は世界が私たちに与えてくれた素晴らしい宝物です。この約100年前のイギリスの帆船は日本で修復され富士山を望む美しい相模湾にもう一度2020年 に進水されました。
今日はこのシナーラ号の日本における修復作業の様子を写真に従ってお送り致します。文献、https://cynara.jp/ja/restoration-2/ に従ってお送り致します。
1番目の写真は2020年に修復を完成したシナーラ号が相模湾を帆走している光景です。修復は1926年にシナーラにはじめて取り付けられたオリジナルの帆を製作した製帆所への依頼 しました。
2番目の写真は日本のシーボニアマリーナで修復のため吊り上げられたシナーラ号です。
シナーラ号は約90年という歳月のうちの半分にあたる45年を、日本の三浦半島周辺で過ごしてきました。 調査の結果、この船の当初の建造に用いられた材料の約80%弱も、修復後も再利用できることが明らかになりました。
3番目の写真はシナーラ号の船首です。
作業場で『シナーラ』を分解してみると、船首に面積が約3平方メートルもあるブロンズ製の大きな板が2枚見つかりました。船が何かに衝突して竜骨の鉛バラストの前側が損傷を受けたために、修理に用いられたように見えます。
4番目の写真は船体のお修復の様子です。
船体の外板修復は2017年5月に船底塗装を剥がすことから着工しました。膨大な仕事量の面積に対して、3人体制でスクレッパーによる手作業で進めていきました。 最終的に、外板は全体の92%がオリジナルのチーク材を再利用して修復されました。
5番目の写真シナーラ号の舵輪です。
使われ続けていたブロンズ製の艤装品は修復して再利用しています。バー・クリート、旗竿用ソケット、さらにビナクルと操舵装置などです。
6番目の写真はシナーラ号の内部です。
英国の国立海洋博物館から提供されたオリジナルの構造図により、復元を開始した時点でのシナーラの内装は、建造当時とあまり変わっていないことがわかりました。 最も印象的だったのは、1927年時点での計画では浴室が船室とほとんど同じ大きさで、浴槽まであったとわかったことです。
7番目の写真はシナーラ号のデッキの交換、修復の様子です。
元々のチークデッキを交換しなければならないことは当初から明らかで、2017年7月後半から撤去作業が始まりました。
新しいデッキは、天井の層、合板の層、そしてチークの最上層の表層の3つの層で構成されています。
このデッキの修復チームは1ヶ月間、長い時間をかけて集中し、献身的に作業を行いました。 完成したデッキは、彼らの努力の賜物であり、少なくとももう一世紀は持つと思われます。
このデッキの修復チームは1ヶ月間、長い時間をかけて集中し、献身的に作業を行いました。 完成したデッキは、彼らの努力の賜物であり、少なくとももう一世紀は持つと思われます。
今日はこのシナーラ号の日本における修復作業の様子を写真に従ってお送り致しました。木造船を作る船大工の精妙が技術をご理解頂ければ幸いです。
この船に乗って帆走した体験が私の宝になりました。
それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。後藤和弘(藤山杜人)