春夏秋冬ライフ

四季の変化に向き合い、目の前に起きる様々な出来事を目の丈で追ってみた。

湘南旅を飾る相模国での飲食

2020-10-23 22:04:00 | 旅先にて
江の島神社に始まり鎌倉八幡宮、最後は相模の国寒川神社と、周辺の観光を兼ね神々しき祭壇を前に汚れ切った生活に身に染まった不浄な垢を祓い、身を清めた。
そんなきまま旅の最後を飾ったのは呑み助ならではの聖地、熊澤酒造であった。普段余り縁の薄い橋本から茅ヶ崎を走るJR相鉄線で香川駅へ下車する。
◇熊澤酒造
香川駅から徒歩約5分、茅ヶ崎海岸から内陸に5kmほどの場所に自然に満ち溢れた耕作地があり、
その先のこんもりした林が見えてくる「熊澤酒造」はある。

特にこれと言った建物のない殺風景な街並みに現役を退き真っ赤な錆びたサイロ置かれたが熊澤酒造の工場門前に出る。工場敷地内には当工場の主力製品の湘南ビールに繋がる、大量のビールケースが山積みされている。

敷地の中では工場の象徴たる巨大な煙突が天空高く、建屋や林を越えや聳え立っている。
物作りに専念する環境は正に稼働を続ける酒造の最前線の姿であった。
この敷地に全く趣の異なる、ビアーガーデンが果たしてあるのだろうか?と思ってしまう、程であった。

◇緑のトンネル
敷地の外周部を行くと、ビール工場を横目に鉄パイプで組まれたアーチ状の飾りに出迎えられる。
鬱蒼としたこんもりした緑のトンネルの花道に敷地の内部が僅かに見える。
何処から来たのか、若い人が続々訪れ、花道の風情を写真に収めている。

一歩足を踏み入れると、道はコンクリート片を並べ綺麗に整地された石畳、道の側面から天井部は生い茂る草木で覆われ、僅かな通り道にすっぽり吸い込まれる雰囲気である。
その小道を潜り抜けると広場に出る。
迎えてくれるのは古式豊かな蔵元の直売場階段で繋がっている。

◇MOKICHI TRATTORIA
一方、MOKICHI TRATTORIAは築約200年の蔵や移築した築450年の古民家が建屋の母材になっている。
玄関は武家屋敷門と思わせる形式、構造、装飾など具備され、分厚い扉、骨太の柱、梁に荘重な感じがする。
頂部には守り神の龍の彫り物が構え、模様が彫られた梁が建屋を支える骨組みに組まれ、背面には分厚い重厚な扉がそのまま使われている。
母材となる材木は黒ずんだシミと黒い節目が長い年月の風化を物語っている
果たして此処がビアーホールの玄関かなと思えるぐらいの特別な世界であった。

ビアーホールがオープンしたのは、1996年である。「MOKICHI TRATTORIA」とは熊澤酒造6代目蔵元、熊澤茂吉のMOKICHI の名前で、TRATTORIAは、イタリア語で「大衆食堂」を意味するように、カジュアルながらオシャレな雰囲気造りに、6代目の意向が注がれている店舗である。
重そうな門を開けると門構えとは一変して近代的なホールの玄関カウンターに迎えられる。
建物内部は古民家で使われた柱、梁で組み上げ、漆喰の壁に高い天井を供え、和風建築そのものである。
梁に下げられた球形のシャンデリアはフランスの豪邸にあったアンティークなもので、洋風の柔らかい照明に照らされ、若干暗めが落ち着いて飲める独得の雰囲気を生み出している。

◇今日の隆盛を誇る酒造りの背景
「熊澤酒造」が敷地内に「MOKICHI TRATTORIA」をオープンした。
開発したばかりのクラフトビールは当時、流通から相手にされず、自分たちで提供する場を造ろうと
始めたのがきっかけだった。
アメリカ留学中だったという熊澤は帰国後、1993年、24歳で「熊澤酒造」の後継ぎとなった。
思うにならない販売に、熊澤酒造は蔵を閉める決断を下そうとしていた。
そんな背景の中、地元の若者を募り、湘南らしい個性ある酒造りを追求した。
2000年、地元の地下水を使い、できるだけ生酒の風味を生かすため、5年の歳月を経て突き抜けるような
涼やかさと潤いに満ちた日本酒「天青」が誕生する。
ビールはドイツに渡って、醸造家を招へいし本場の製法を学び、自社ブランド「湘南ビール」を造り上げた。
「熊澤酒造」は湘南地域の拠点として在し続け「よっぱらいは日本を豊かにする。」という社是を背景に、
ほろ酔い気分で湘南の豊かさを味わうことを追い、今日の人気の源泉になっている。
◇ビール痛飲
丹精を込めて作られたビール・酒を、蔵から出したばかりのものを飲めるこんな贅沢が出来るのは「MOKICHI TRATTORIA」では無かろうか・・・。
ドイツの伝統的な製法に則りながら、爽快なホップの苦みと香りの特徴ある湘南ビールを前に、フルーティーで繊細で、爽やかな のど越しを堪能する。この泡と言い冷えたビール、蔵元ならではの新鮮さの感動的な出会いであった。
育種のビールを飲み比べ湘南が誇る、「熊澤酒造」が手がけるクラフトビールに十分堪能した。

◇巨大の窯の中で
巨大な窯の中、釜口からメラメラ炎が上がる、生々しい姿が、見えるのもここならではの風情。目の前で熟練されたプロの腕で焼きさばいていく姿を想わず追ってしまう。こうして直火でふんわりと焼きたての温かい焼き物が、テーブルに運び込まれる。

生地(ピザクラスト)の上にトマトソースを薄く塗り、野菜や肉などの具を乗せる。窯の直火で焼き、生地に火が通ってチーズに軽い焦げ目がつけば 出来上がり。同じく窯で1枚、1枚丹念に焼き上がったピッツアをじっくり堪能する。
ビールに合った本格的なイタリアンの酒のつまみは湘南の海産物始め、地産の野菜など豊富な食材をイタリアンで調理したものが目立つ。

育種のビールを飲み比べ、拘りの料理を腹に納め、一時の贅沢を楽しんだ。

兎も角、生産現場に近い場所に隣り合わせ、それを全く感じさせない、環境の中で心地よく飲食し心酔できることが、他には見られない場所でもあった。
ほろ酔い気分で、茅ヶ崎線の車両に揺られ、映り行く車窓をぼんやり眺め、ゆったりとした気分で帰還した。
飲み助にはたまらない、湘南ビールであった。
下記で詳細を掲示してます。是非ご覧ください
湘南そぞろ歩き

最新の画像もっと見る

コメントを投稿