575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

芋の葉の滂沱(ぼうだ)と露の面(おもて)かな  川端茅舎

2006年07月08日 | Weblog

尾をひいて芋の露飛ぶ虚空かな
  (虚空は天と地の間のなにもない空間)
露の玉はしりて残す小粒かな
露の玉をどりて露を飛越えぬ
露微塵忽ち珠(たま)となりにけり


川端茅舎の句集・華厳から露の句を引用しました。
華厳は、昭和14年(1939)に刊行。
日中戦争は本格化しており、この年には、ドイツがポーランドに侵入し、
第二次世界大戦が勃発しています。

茅舎は、あとがきに、
「この未曾有難遭遇の時代に花鳥諷詠することが
未だ善か悪か自分は知らない、けれども然し只管花鳥諷詠する事ばかりが
現在自分の死守し信頼するヒューマニティなのである。
それ以外の方法を現在自分は知らないのである。」
と書いています。

川端茅舎は、岸田劉生に師事、画家を目指しましたが、
30歳を過ぎて、結核が発病、脊髄カリエスに悩まされました。
このため画業を断念、俳句に専念し、虚子に認められました。
日中戦争が俳人の心に大きな影を落としていることが分かります。
華厳を刊行した2年後の昭和16年、茅舎は亡くなりました。
44歳でした。

                      (遅足)


コメント
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