575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

天つかまむとする踊               愚足

2006年07月24日 | Weblog
 次回の句会のお題が「踊り」となったので早速歳時記をひらいてみました。

   てのひらをかえせばすゝむ踊りかな     阿波野青畝
   あの下手を嫁にと思ふ踊りかな       也 有
   いとけなき踊りを父の裾がくれ       皆吉爽雨
 
 などなど情緒ある名句の数ある中で、

   我を遂に癩の踊りの輪に投ず        平畑静塔

 に目が止りました。

  山本健吉氏の解説によれば、静塔が医師としてカソリックの信者として戦後間もなく癩患者の施設愛生園を訪れたときの句だということです。
  患者達が日頃の苦業を忘れて踊る姿に感動して思わず人々の中に飛び込んで踊 ったといいます。傍観者となりえなかった感動 が伝わってきます。
  この時の句として山本氏は、他に

   癩の手が夜天つかまむとする踊
   主ならねど癩と踊りて我汗す
   踊りつゝ癩尺寸に人臭し

 等をあげていました。
  そして氏はこれらの句には、新興俳句時代の過誤が相当残っているとも評していました。

 しかし 氏の評はどうあろうとも、「癩の手が夜天つかまむとする踊」などには
私など感動しかありませんでした。

                     
コメント (3)
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