575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

花は青 陽に煌めいて春の色      草女

2007年02月13日 | Weblog
 春、早々に咲くオオイヌノフグリ。ゴマノハグサ科クワガタソウ属の二年草。
 西アジア、中近東原産で、明治の中頃発見された帰化植物。現在ではヨーロッパを始め全世界に拡がっている。
 草丈も花も小さいけれど美しい。美しい瑠璃色に手を出すと、花がポロリと落ちてしまう。実は四枚の大きな花弁を持っているように見えるけれど、花弁が下部で合着している合弁花なのだ。
 また、可憐そのものという風情であるが繁殖に関してはしたたかな仕組みを持つ。昆虫はキセルのように突き出した雌しべに止ると、左右に伸びた2本の雄しべに捉まる。すると虫の重みで雄しべは押し曲げられ、葯(花粉の袋)が破れ虫の毛だらけの腹に花粉がこすりつけられる。虫が飛び去ると花は次第に閉じ始め、スポッと抜け落ちる。
 やがて雌しべの基部にある子房が膨らみ始める。イヌノフグリの仲間の果実は双子山のように二つに括れているので、犬の陰嚢に見立てたのである。
 この下品な(?)和名を品のあるものに改めようとする意見も多く、テンニンカラクサ(天人唐草)、ルリカラクサ(瑠璃唐草)、ルリクワガタ(瑠璃鍬形)など提案されたが、一般には定着しなかった。
 千葉県の一地方にはホシヒトミ(星の瞳)という方言もあるそうだ。虚子も次の様に詠んでいる。

  犬ふぐり星のまたたく如くなり

 この花から星を連想する人は多いと思う。名前から犬のふぐりを思うより、青い花が目に浮かぶ。この名前で十分だ。
 名前より困るのは、日本在来の「イヌノフグリ」(花はピンクで一回り小さい)
が追いやられ、ほとんど見ることができなくなったことである。
コメント (1)
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