575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

葱  遅足

2007年02月25日 | Weblog


子供の頃、布団のなかで目を覚ますと、台所からコトコトと葱を刻む音。
やがて味噌の匂いがプーンとしてきました。一日の始まりでした。
この時が、葱との最初の出会いだったのでしょうか。
次に葱を意識したのは、大人になってお酒を飲むようになってから。
ぶつ切りにした葱と鶏肉をさした串料理。
あらためて葱って美味しいと感じたものです。
葱は、ほとんど毎日のように口にしていますが、食卓の主役にはなりません。
欠かせない脇役といったところでしょうか。

   

葱の句といえば永田耕衣の句。

 夢の世に葱を作りて寂しさよ

この句、何回、読んでも変な句だなあと思います。
でも気になる句でもあります。
永田耕衣は、「観念的」な句をつくった人のようです。
此の世を夢の世という観念。形而上学。
それに組み合わせられたのが、まさに日常的な脇役の「葱」。
冬という季節感を持った形而下そのもの。
句では、形而上と形而下が取り合わされて、寂しさが詠まれています。
この句でも、葱は、名脇役のようですが、
夢の世と取り合わされた「葱」自身は、どう思っているんでしょうね。

    

蛇足 

葱は、冬の季語で、冬のもの。
ユリ科の多年草で、寒いシベリアあたりが原産とか。
関東と関西では種類が違うのか、東では根の白いところを食べ、西では緑の葉も食べます。
葱を入れた味噌汁を根深汁といいます。
私の家では、根深汁とは言わなかったように記憶していますが、
皆さんの家ではどうですか?

  定年や主任止まりの根深汁  (今朝の中日俳壇より)



コメント (4)
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