575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

日本の柊(ヒイラギ)                 草女

2007年11月23日 | Weblog
 漢字からして冬の代表の木である。が、もともとは葉の刺が体にささるとヒリヒリと痛む(古語ひいらぐ)ので疼木と書いていたのが柊に変わった。中国で柊は芭蕉にに似た低木で、その葉はちまきを包むのに用いられる。
 11月から12月頃葉の基に白くて香りのいい花を沢山付ける。一つ一つの花は直径約5mmで四裂し、一つ一つ反り返る。
 実は写真のように、翌年の6・7月頃に紫黒に熟す。雌雄別株なのでどの木も実を付けるという訳ではない。
 クリスマスにはおなじみの緑の葉に赤い実を付けたヒイラギのリースが登場する。
 このヒイラギはセイヨウヒイラギかアメリカヒイラギで、これらは、モチノキ科モチノキ属の樹木で11~12月に赤い実をつける。葉の形は日本の柊にそっくりであるが、日本のモクセイ科モクセイ属のヒイラギとは縁もゆかりもない。
 西洋ではヒイラギが常緑であることからケルト民族が聖なる木として崇めたのを、キリスト教が取り込んだといわれている。
 日本ではその鋭い刺が邪悪なものを追い払うと考え、古事記では倭武が「ひいらぎの八尋矛」を武器として登場したり、節分の折、門に飾ったりした。
 しかし、刺のあるのは若木の頃で、老木になると角がとれて滑らかな切れ込みの無い葉になる。この性質は和洋のヒイラギとも同じである。老いると角が取れるのは何処も同じなのかもしれない。
 こんな訳で日本のヒイラギというのも変なのだが、そう言わないと最近では通じないような気がしている。 これも欧米化の一つかも知れない?

  鬼も蛇も来よと柊挿さでけり      後藤綾子
  古りし宿柊挿すをわすれざり      水原秋櫻子
  稚児行列柊の花こぼしゆく       甲斐ゆき子
  花柊野良着に小さき身八つ口      川島千枝
コメント (2)
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