575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

言葉のサーカス     遅足

2009年04月04日 | Weblog

狗子さんから摂津幸彦の句集をお借りして読み始めました。
難解句ばかりが並んでいます。

キーワードとなる言葉が、空中ブランコをして、
宙に跳びだすのですが、うまく着地できずに転落、
この曲芸成功には思えません。

例えば

 銀漢や男の腔をみな照らす

「銀漢や男」、ときて、「腔」という言葉が空中に舞い上がります。
「腔」は「みな照らす」、というフレーズに飛びつこうとしたわけです。
しかし、私には「みな照らす」が「腔」を、掴まえ損なったとしか読めません。

   

そのなかでごく僅か理解できたか?と思う句を。

 暗黒と鶏をあひ挽く真昼かな

お肉屋さんが、鶏の合い挽きをつくっている景が浮かびます。
欲情の作法という本が話題になっていますが、
欲情は暗黒に喩えられます。
生きていくために他のいのちを奪う人間、
その存在や行為は暗黒の一面を持っているのでしょう。

しかもその作業は白昼堂々と行われている。
暗黒と真昼という対比もよく機能しています。
言葉の曲芸もそんなに高く飛び上がっていないので、
分かりやすい句となっています。

でも作者は満足していないかな?



コメント
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