狗子さんから摂津幸彦の句集をお借りして読み始めました。
難解句ばかりが並んでいます。
キーワードとなる言葉が、空中ブランコをして、
宙に跳びだすのですが、うまく着地できずに転落、
この曲芸成功には思えません。
例えば
銀漢や男の腔をみな照らす
「銀漢や男」、ときて、「腔」という言葉が空中に舞い上がります。
「腔」は「みな照らす」、というフレーズに飛びつこうとしたわけです。
しかし、私には「みな照らす」が「腔」を、掴まえ損なったとしか読めません。
そのなかでごく僅か理解できたか?と思う句を。
暗黒と鶏をあひ挽く真昼かな
お肉屋さんが、鶏の合い挽きをつくっている景が浮かびます。
欲情の作法という本が話題になっていますが、
欲情は暗黒に喩えられます。
生きていくために他のいのちを奪う人間、
その存在や行為は暗黒の一面を持っているのでしょう。
しかもその作業は白昼堂々と行われている。
暗黒と真昼という対比もよく機能しています。
言葉の曲芸もそんなに高く飛び上がっていないので、
分かりやすい句となっています。
でも作者は満足していないかな?