朝新聞を取りに行って驚いた。
庭にある藤の幹に一夜にして沢山の茸が生えた。
妻が「梅雨茸というのじゃない」という。
昔母親から、それが木の幹に一斉に生えるとその木の寿命が尽きたと聞かされたという。長年目を楽しませてくれた藤であったので今更ながら哀れを禁じ得なかった。
歳時記を見てみると、「梅雨茸」は季語になっていたがやはり哀れな句が多かった。
梅雨きのこ ひとの油断を 見てをれり 藤田湘子
菩提 即煩悩 梅雨の けむり茸 鷹羽狩行
梅雨茸の 一夜に生れて 掃かれけり 小柳未央
読み継ぎて うすくなる眼や 梅雨茸 両角直子