575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

村暮れて一本道の秋の声     亜子

2012年09月08日 | Weblog
日暮れ時、辺りがぼんやりしてくる頃、村のなかを貫く一本の道。
東山魁夷の一本道を描いた絵を思い出しました。
その絵、当初は灯台が描いてあったのですが、
完成した時にはなくなっていたそうです。
削って削って、必要最小限のものを残した絵です。
この句も、日暮れの一本の道を詠んで、さまざまな声を連想させます。

読者が心に描く一本道を歩いてゆくと・・・
風の音。草木のそよぎ。小さな動物の声。
さらに遠くから夕餉の声も聞こえてきそうです。

夕暮れは、こころが振り返りモードに入ります。
この心は祈りにも通ずるものです。
同じ作者の自由題の句。

  白骨のまなこの渇き敗戦忌

今も南の島に白骨となったままで故郷に帰ることのない出征兵士たち。
生まれ故郷を恋しく思っている死者の声も聞こえてくるのかも知れません。

                          遅足
コメント
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