575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「イラン式料理本」をみて・・・     遅足

2012年10月13日 | Weblog
食事の終わったマットのうえには皿やコップが乱雑に。
ところどころに食べこぼしもあります。
一家の主婦は、黙々と後片付け・・・
最後に残ったコップを、子供に片付けるように頼みます。
2度3度と・・・、子供は父親との遊びに夢中で知らん顔。
父親と別の部屋へ行ってしまいます。

また、あるマンションのキッチンでは、手作りではなく缶詰中心の食事。
後片付けされることなく、灯りが消えます。

モハマド・シルワーニ監督が、キッチンにカメラを据え、
料理を撮影しながら、インタビューするドキュメンタリー作品。
登場するのは、監督の母、伯母、妹、母の友人、9歳で結婚し、
今年百歳を迎えた友達の母、そして監督の妻と、ごく身近な女性たち。

イランでは、先の大統領選での不正を追及するデモがありました。
映画人たちは、このデモに賛成したことから、
当局の弾圧を受けており、自由な映画制作は困難な状態。
この映画、そんな制約を逆手にとって、身近な台所から
現在のイランの一側面を切り取ったところがスゴイと思いました。
イラン国内では上映禁止だそうです。
監督は、この映画のあと、身に危険があるので、
もうイランでの映画制作には携わらないとのこと。

最初に紹介した食事風景は妹さんの家で撮影されたもの。
マンションは、監督自身の家です。
映画は、監督も妹さん、ともに離婚したとの字幕で終わりました。

この映画、まるで制約の多い俳句のようだなと思いました。
日常のなかで見過ごしていること。それに目が止まるのか?どうか?
長年のホコリやゴミで視野の狭くなった目を洗い直してくれる映画でした。


コメント
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