575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

木の実降る句会    麗

2012年10月18日 | Weblog
昨日は木の実降る、そして久しぶりに雨も降る句会となりました。

雨音の中、さまざまな木の実が東鮨の庭に降り落ちました。かわいい猫も雨宿り。

次の命をはぐくむ木の実、露天風呂で風が抜ける道に降る木の実、幼子の握りしめた手の中からこぼれ落ちた木の実、ロマンチックな恋の予感漂う木の実、散歩道の木の実、戦後のGIのそばのアケビ、はっとする木の実の形、世相を反映した就活の様子、おまじないも飛び出して、健気にふんばるやじろべい、音の鳴る木の実、奈良の古墳に降る木の実、仁王像の足下に転がる木の実とさまざまな木の実が降りそそぎました。そんな中、高得点とたたき出した亜子さんの

    眠る子の掌よりこぼるる木の実かな

は、なんと、3人のお嬢さんを育てあげた郁子さんへ捧げる句でした。
まだお嬢さんが小さかったころの思い出。眠りについたお嬢さんの握りしめた掌から脱力とともにこぼれ落ちた木の実。十数年前、そんなほほえましい様子を育児真っ最中の郁子さんは亜子さんにお話したそうです。
そのことをずっと心にとめていた亜子さんは時を経て昨日の木の実句会で披露されました。
郁子さんの嬉しそうな笑顔と一生懸命お子さんに向き合った姿が重なりぐっときた瞬間でした。
数十年という時間を発酵させ熟した年代ものの一句。
俳句の奥行きを感じた一瞬でした。

自由題では遅足さんの


   乗り換えの駅でコスモスの風を待つ

が絶賛。「乗り換えの駅がいい」ともっぱらの評でしたがさて、どこからどこへ行く乗り換えの駅でしょうか?人生の乗り換えの駅?
去年のクリスマス句会での遅足さんの

   イブの夜星の乗り場で待っている

という句を思い出しました。イブに乗った銀河鉄道は季節をへてコスモスの咲く秋の乗り換えの駅に到着したようです。終着駅はどこでしょうか?

来月は冬帽子。皆さんいろとりどりの帽子をかぶって句会に参加しましょうね。
コメント
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