575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

催花雨の激しく深し通夜の客   遅足

2013年04月15日 | Weblog
父の家の茶の間に、古びた短冊がありました。
『花』と書いてありました。
父は定年前にノイローゼになってしまいました。
電車がやってくると、飛び込みたくなると、母にもらしていたそうです。
そんな或る日、知多半島の寺で、一人の僧に出会います。
僧は父の顔をみて『あなたには花がある』と言い、短冊を書いてくれました。
後日、お礼にうかがったところ、
僧は「そんなことがあった?」と、すっかり忘れていたそうです。

父はそれから30年も長生きしました。
告別式は、大雨も上がって、晴天でした。
花のなかを父は還っていきました。

先日は、父の二十七回忌でした。
法事のあと、男兄弟三人の家族が集まり、ささやかな昼食。
上の弟が、父から謝りの手紙をもらった、と話していました。
子供のころ、弟を泣かせたことで、訳も聞かずに殴ってしまったと
詫びていたそうです。怖い父でした。

コメント
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