575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

寂しき器  鳥野

2013年05月13日 | Weblog
高齢故にと、運転免許証を返納してからもう幾年月。
もっぱら地下鉄の愛用者です。

その地下鉄の車内の様子が最近すっかり変わりました。
嘗て、携帯電話が登場したころは、車内マナーもそれ
なりに行き届き、違反して使用する人は遠慮勝ちでし
た。

今でも、マナーモードにする、優先席近くでは電源を
切る、などの呼びかけはあるものの、どこ吹く風。
とりわけ通学、通勤の時間帯は、若者それぞれが、
それぞれの機種を掲げて、操作に夢中です。

ずらりと、座席を占領して、みんな全くの無言。

 ・ ひたすらに端末操作する人ら 寂しさ運び
   地下鉄の行く
              鳥野




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生涯にどれほどの距離かたつむり   増成栗人

2013年05月13日 | Weblog
かたつむりは一日にどのくらいの距離を歩むのでしょうか?
また、寿命は、どのくらいなのでしょう?
人間から見たら、一生、懸命に歩いても、長いとは言いにくいでしょうね。

私は、この句は自身のことを詠んだ句と思いました。
ところが、作者は、64歳で急逝した妻への相聞の句と書いています。
それを聞くと、妻への愛情と、悔恨の気持ちが伝わってきます。
一緒に過ごした時間の短さを嘆いているようです。

俳句はわずか17文字。
文脈が違うと、一句は全く異なった顔を見せるんですね。  遅足

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