575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

倚りかからず      遅足

2013年05月31日 | Weblog
茨木のり子さんの詩集「倚りかからず」。

もはやできあいの思想には倚りかかりたくない
・・・と、淡々と語りかける詩です。
硬質な透明な抒情が伝わってきます。

ベルリンの壁崩壊からおよそ10年後の1999年に出版された詩集。

同じ頃、東京裁判の被告・東條さんの奥さんの手記を軸に
終戦50周年記念番組を制作しました。
この取材を通して、私は、いかに出来合いの思想に
倚りかかっていたのかを痛感しました。
戦後民主主義のシャワーを浴びて成長してきた半世紀。
時代の土台がゆっくり崩れていく時期でした。

できあいでない自前の思想。そんな思想が持てるのでしょうか?

言語学者の金田一春彦さんは、その人のアイデンティティは
思春期に吸収した時代の言葉から出来ている、と言っています。
新しい時代の言葉を使っても、衣装のようなもので、
いつ着替える時が来るのかも分かりません。

失敗からしか得られないモノかも知れません。
過去を知らないということは、現在をおろそかにすることでしょうね。

コメント (1)
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