575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

ジュンサイ悲し  鳥野

2014年06月17日 | Weblog
久々に会席膳を頂きました。
行き届いた設えで、お吸い物の実はジュンサイ。
涼やかな喉ごしを楽しみながら、ふと、斎藤茂吉
の一首を思い出しました。

 ・ 湯どころに二夜ねむりてジュンサイを
   食へばさらさら悲しみにけり

茂吉は昭和7年、天塩の志文内に次兄の守谷富太
郎を訪ねています。当時の北海道への旅は苦難も
多く、草鞋履きで、4時間を歩いたことも。
次兄は診療所の拓殖医。弟も合流して17年ぶり
の再会でした。
5日間を逗留して、遥々と南下の旅。函館からの
連絡船を待つ間、湯の川温泉に2泊したのでしょ
うか。

 ・ かすかなるもののごとくにわが兄は北ぐに
   に老いぬ尊かりけり

再び会う日はあるのか。ジュンサイを食べながら
更々にと重ねばならぬ程に悲しみは深まりました。

コメント
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