575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

然れど胡麻   鳥野

2014年11月11日 | Weblog
何気なく歳時記を繰っていて、胡麻が秋の季語と
知りました。思い出すのは母のこと。

戦後の食糧難のころ、僅かな土地を借り、見よう
見まねでイモなどを作っていました。そして「胡
麻」も。
ひもじい日々の足しにもならず、薬味か嗜好品に
過ぎない「胡麻」を何故。
食卓に載せるまでの大変な手間。刈り取って、干
して叩いて実を集め、ゴミを選り分けて、ようや
く製品。工面して手に入れた炭火で煎りあげると
いう業も要るのです。

母の胡麻つくりは若しかして、母の息抜き、母の
気骨。農家ばかりの田舎へ子連れで疎開し、「非
農家という理不尽な扱い。コメやイモ作りは不器
用でも、せめて胡麻くらい。そんな母でした。

  言い分は明日に回し胡麻を煎る  鳥野     



コメント (1)
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