575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

秋風のうつる鏡に舌を出す   郷正子

2015年09月06日 | Weblog
音楽でも会話でも、耳に心地よく感じる条件は
ある程度、次の音が予測できることと、
その反面、予想を超えて、意表をつくような新鮮さが
あることです。

メロディを考えてみても「次はこういう音となる、
あるいは、こういう強さになる」というような予測が
半分あたって、半分はずれるような構成が必要です。

「14歳のための時間論(佐治晴夫・著)」の一節です。

これは俳句にも通ずることだと思います。
わずか17文字と短い詩ですが、
読み始めるとともに、次の展開を予測します。
予測のままに終わると・・・ちょっとガッカリ。
予想を覆す言葉が現れると、新鮮さを感じます。

今読んでいる郷正子さんの句集「秋声の昼」

  日傘三つ寄って噂の影できる   

噂の輪と言わず、「影」という言葉。「おやっ?」と感じさせます。

  湯たんぽを今日に枕を明日に置く

「明日に」と言われて「えっ?!」という驚きが。

「ちょっと言葉をずらす」という荻原先生の言葉は
このことをおっしゃっていたのでは、と思いました。(遅足)

             

応答の一日一句

  秋の蚊やエレベーターで足踏みす   孝

  そそくさと来て秋の蚊の消えにけり  亜子


コメント
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