575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

涙して「一茶」聴きいる夜長かな    立雄

2015年09月20日 | Weblog
藤沢周平の「一茶」を聴いています。読書の好きだった立雄さん。
視力を失っても、読書好きは変りません。音のライブラリーを楽しんでいます。
齢のせいか、涙もろくなったようで、聴きながらついつい涙ぐんでしまいます。
夜長という季語に人生の秋を感じます。

句会では、一茶といえばユーモアとかペーソスの人というイメージ。
初句の「涙して」に違和感を、という声も。
最初は

  周平の「一茶」聴きいる夜長さかな

こちらの方が、読者の想像力に訴えるかもしれません。

  一茶にも涙の夜長噺あり

と、すると少し作者の意図にちかづくかも・・・  

人間が母親のお腹のなかにいる時、目はみえません。
しかし耳はもう、ちゃんと母の鼓動を聴いているそうです。
また死の直前まで聞こえているとか。
読書は、まだまだ千年の歴史もありません。
耳からの情報が一番深く心に届くのかもしれませんね。(遅足)

            

応答の一日一句

  新米の膳に新たな塗りの箸   孝

  新米の炊き上がる頃夫帰る   亜子




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする