能の「井筒」を観てきました。世阿弥・作の夢幻能。
死んだ女の霊が、この世に現れて・・・という作品。
旅の僧が、在原寺の旧跡を訪ねると、女が登場。
シテの井筒の女です。女は業平の物語をして消えます。
僧がうつらうつらしていると・・・シテが、業平の形見の冠と直衣を着て現れます。
恋の舞のあと、女が井筒を覗くと・・・
昔男の冠、直衣は女ともみえず男なりけり。業平の面影。
井筒に映っているは恋しい男の面影。クライマックスは急転して終局へ。
女の姿は、しぼんだ花の色艶もなく、匂いだけが残るように朧に。
在原寺の鐘の音とともに夜は明けていく・・・僧は夢から醒めたのです。
面影は消えても匂いは残る・・・「色なくて匂い残れり」というフレーズが好きです。
視覚では消えても、嗅覚にははっきりと残っている。
いつか俳句に使ってみたいフレーズです。
古今集の序で、紀貫之が業平の歌をこう評しています。
その心あまりて詞(ことば)足らず、しぼめる花の色なくて匂い残れるがごとし、と。
世阿弥はこのフレーズを見事に借用したのです。
応答の一日一句
残したる腸(わた)山ほどの秋刀魚かな 孝
先細の箸のよろしき秋刀魚喰ぶ 亜子
死んだ女の霊が、この世に現れて・・・という作品。
旅の僧が、在原寺の旧跡を訪ねると、女が登場。
シテの井筒の女です。女は業平の物語をして消えます。
僧がうつらうつらしていると・・・シテが、業平の形見の冠と直衣を着て現れます。
恋の舞のあと、女が井筒を覗くと・・・
昔男の冠、直衣は女ともみえず男なりけり。業平の面影。
井筒に映っているは恋しい男の面影。クライマックスは急転して終局へ。
女の姿は、しぼんだ花の色艶もなく、匂いだけが残るように朧に。
在原寺の鐘の音とともに夜は明けていく・・・僧は夢から醒めたのです。
面影は消えても匂いは残る・・・「色なくて匂い残れり」というフレーズが好きです。
視覚では消えても、嗅覚にははっきりと残っている。
いつか俳句に使ってみたいフレーズです。
古今集の序で、紀貫之が業平の歌をこう評しています。
その心あまりて詞(ことば)足らず、しぼめる花の色なくて匂い残れるがごとし、と。
世阿弥はこのフレーズを見事に借用したのです。
応答の一日一句
残したる腸(わた)山ほどの秋刀魚かな 孝
先細の箸のよろしき秋刀魚喰ぶ 亜子