575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

花も木も更地となれる夏の庭    香葉(かよう)

2015年09月08日 | Weblog
作者は90歳を超えた女性。
永年めまいに悩まされ、耳も遠い。脳梗塞で左半身に軽いマヒ。
など多彩な病歴の持ち主。
徐々に衰える気力を振り起して、ぽつりぽつりと俳句を。
そんな俳句を書き留めたのが、訪問診療をしている大井玄さん。

大井さんの本「病から詩がうまれる」のなかの一節です。
大井さんはさらにこう書いています。

無常迅速。この言葉の意味を実感させるのは、年の功である。
齢とともに時間のすぎるのが速くなること。
これには、寂寥と恩寵の両義が込められているのである。

私たちの脳は、刻々の「環境世界」を過去の経験と記憶から創っている。
時間が速まるのは、創る速度が年齢とともに「遅く」なっていくからにほかならない。
その速度が限界を超えて遅くなると、人は「ぼけ」と呼ばれるようになる。
しかしである、「ぼけ」は人工的に定められた時間から切り離された分、
「自由人」になったと考えてよい。

  命かな書くこともなき初日記

この句に悲哀とともに表現を超える感謝の念が込められているのを
感じる人はやはり恩寵を受けた人である。

とても気になる文章ですが、私にはまだ分からない部分も。
「寂寥」と「恩寵」のうち「恩寵」については理解できない部分も。
まだまだ修行が足らないのでしょうね。

             

応答の一日一句

  風死して廃墟の礎石音もなし    孝

  風死すや紙飛行機の乱高下     亜子

台風が2つも日本列島に近づいています。ちょっと心配。遅足




コメント
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