575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

琉球の歌     遅足

2016年05月15日 | Weblog
 親のきく畑 あざやかに咲いた まんかいの花に 父の笑顔

児童生徒の部で琉歌大賞となった作品です。
琉歌とは、沖縄独自の歌。
8・8・8・6の30音からなっています。

私の泊ったホテルのある恩納村は、三歌人の一人、
恩納ナビー(女性)の生誕地。18世紀の人です。

 恩納岳(うんなだき)あがた 里(さとう)が生(ん)まれ島(じま)

 もりも(むゐん)おしのけて こがたなさな 

8・8・8・6のリズムが心地よい調べを生みだしています。
意味は、恩納岳の向うは私の恋人の故郷。
山もおしのけて 恋人の村をこちらへ引き寄せたい。
恋人の役人の息子が、隣村に帰ってしまった時に詠んだもの。
上句の16音で情景を、下句の14音で思いを述べるのが原則だそうです。

この歌を読んだ時、思い出したのが、万葉集。
狭野弟上娘子(さののおとがみおとめ)の歌。

 君が行く道の長手を繰りたたね焼き滅ぼさむ天あめの火もがも

あなたが行く長い道を、くるくると手繰り寄せるようにして、
焼き尽くしてくれる天の火がほしい。
そうすれば、あなたは都に留まるしかないだろうから。

おおらかで激しい恋の歌ですね。どこか与謝野晶子に通ずるものを感じます。

コメント
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