575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

「 津島祭礼図屏風 」⑥ 〜 津島名物のお菓子 「 あかだ 」 売り 〜 竹中敬一

2019年05月18日 | Weblog



写真は 向かって左が現在 、津島神社の門前の店で売られている 「 あかだ 」

右が「 津島祭礼図屏風 」( 「 綴プロジェクト 」高精細複製品より )の朝祭り

( 左隻 ) 2扇 「 あかだ 」らしいものの入った器を頭に乗せて売り歩く女性 。

愛知県の津島神社に伝わる例祭 天王祭 ( てんのうまつり ) の様子を描いた江戸時代

前期の屏風絵についてお伝えしています 。

その中には、食べ物がよく出てきます 。

津島名物のお菓子「 あかだ 」もあるはず 。

愛西市で大英博物館蔵の高精細複製品が公開された時 、私では見つけられず 市役所

の関係者に教えてもらって、やっと、それらしい姿をとらえることができました 。

2人の女性が頭の上に底の浅い木製のオボンのような器を載せています 。

立売りです 。その中身は「 あかだ 」らしい 。津島の女性が「 あかだ 」 をこうして

売り歩く姿は江戸時代 、よく知られていたという 。

「 あかだ 」とは、一体 どんなお菓子なのか 。

今でも津島神社の門前にこのお菓子を売っているお店が三軒あります 。

私が立ち寄った松儀屋の由緒書きによると、津島神社のご神饌米を粉にして

水で練って指先大にちぎり、油で揚げもの 。

もう一つ 、これに似た「 くつわ 」という甘いお菓子があり、こちらの方は江戸後期

天保11年の創製とはっきりしていますが、「 あかだ 」はこれよりずーと古く、最初は

無病息災の薬として 製造されたようです。

私も買って食べてみたのですが、とにかく固い 。醤油味でアラレのよう 。

口の中でしばらく含んでから、奥歯で強く噛み砕きます 。その時 カリーという歯応え

があり、その爽快感につられて 、また一個となります 。

ところで 、考古学者の森 浩一 氏 ( 故人 )は、平成16年 中日新聞で津島の川祭屏風に

描かれている女性の物売りに触れ 「 頭上にどんぐりを入れたかごをのせ、参詣人に

売っている数人の女の図柄を見つけ興味を持った 。」と書いておられます 。

そして、「 どんぐりは縄文時代から脇役的な食物 … 津島のどんぐり売りは 美濃あたりから

来たのであろうか 。」とされています 。( 八点ある川祭屏風のどれを御覧になったかは

わかりません 。 )

大英博物館蔵の屏風絵には 「 あかだ 」を油で揚げているらしい出店も描かれており、

私は地元の人が云うように「 あかだ 」売りだと思いますが … 。

ただ 、津島の歴史に詳しい愛西市佐織公民館長の石田泰弘氏はドングリではないが、

「 あかだ 」と断定はできないと言っておられます 。

津島周辺は蓮田が多いことから蓮の実ということも考えられます、



写真は 「 張州雑志 」( 愛知県郷土資料刊行会 昭和50年刊 )より

尾張藩の藩士 内藤東甫が安永年間頃 ( 1772〜1780 )に記した地誌 。

この中に津島名物として 「阿伽陀 」( あかだ )が出てきます 。

戦国時代、津島神社の社僧が薬として作ったのが始まりのようです 。


次回も屏風絵に出てくる食べ物についてお伝えします 。

コメント (1)
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