575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蛙鳴く昭和の夜は遠くなり  麗子

2019年05月28日 | Weblog

心惹かれるのは中七下五の「昭和の夜は遠くなり」です。
「降る雪や明治は遠くなりにけり」を思い出します。

古き良き時代へのノスタルジー。
一つは「明治」そして今ひとつは「昭和」
昭和は「ALWAYS3丁目の夕日」に象徴される時代。
今の朝ドラの舞台、昭和30年代の日本でしょうか。
あの高度経済成長の時代を懐かしく振り返る。
何時の間にか、そんなところまできたしまったようです。

斎藤茂吉の歌を思いだしました。

  死に近き母に添寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞ゆる

命尽きようとしている母。その傍らで添い寝をしている男。
しんしんと夜も更け、遠くの田で盛んに鳴いている蛙の声。
母を遠い世界に誘っていく天からの声のように聞こえる。

この歌は昭和より前に詠まれたものです。
句に通じる懐かしさを感じさせるものがあります。
失ったものは意外に大きく大切なものだったのかもしれません。

夜が更けていきます。
孫たちには、どんな朝が待っているのでしょうか?(遅足)


コメント (1)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする