575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

蛙句会   麗

2019年05月16日 | Weblog
このところめっきり蛙の鳴き声を聞かなくなりました。いろんな記憶や情景を呼び起こしての蛙の合唱となりました。
尚、蛙は春の季語ですが、雨蛙などは夏の季語ということも勉強になりました。それでは一言講評です。殿さまがトップ賞になりまさに「トノサマガエル」で大笑いでした。

① 苔寺の色に溶けゆく雨蛙

圧勝のトップ賞でした。完璧な一句。雨蛙の鮮やかな緑と苔寺の雨に濡れた緑が溶け合っています。この苔寺は西芳寺ではなく鎌倉の苔寺と言われる妙法寺での一句だそうです。

② 蛙鳴く昭和の夜は遠くなり

時代の移り変わりを感じるというコメント頂きました。昭和の子供時代、家族4人で寝ていた夜は蛙の声がにぎやかでした。

③ 蛙の子手足出る時神社の池

買っていたオタマジャクシに手足が出始めた時、神社の池に返したそうです。ちょっとそこが読み切れず。。

④ てのひらにひんやりかろきあまがえる

雨蛙のはかない存在の感覚が伝わって来ます。全てひらがなでより軽やかに。

⑤ 遠蛙夢にブレーキかけし声

悲惨な交通事故を詠み込んだ時事句でしょうか?やりたいことにブレーキをかけたという作者の青春の日も思い出されました。

⑥ 闇の中合唱する蛙達

京都の綾部の方ではまだまだ蛙の声がにぎやかだそうです。まさに大合唱でしょうね。

⑦ 引っ越すや暗闇わけて牛蛙

引っ越した先は牛蛙の声が聞こえていたそうです。「夕闇」と迷ったそうですが、「暗闇」の方が牛蛙には合いそうです。

⑧ 筋トレの憧れ蛙大ジャンプ

作者は日々、筋トレに励んでおられるのでしょう。あこがれの蛙のジャンプ。ユニークな一句です。

⑨ 車道越え何故蛙は田を変える

韻を踏んだような一句。危険を冒しても田を変えるのはなぜ?

⑩ 畦道を跳んで横切る蛙かな

こちらは畦道です。こういった光景も見なくなってしまいました。


⑪ 鳥獣戯画ぬけでて恋の蛙かな

ユーモラスな動きの鳥獣戯画。今にも飛び出しそうです。きっと恋をしているのでしょう。

⑫ 町住居蛙に会はぬ十連休

「町ずまい」と読みます。今年ならではの十連休。結局、蛙には合わずじまいでした。

⑬ てんでんこ田に水入りて蝌蚪の舞

東日本大震災の津波で知った「てんでんこ」という言葉。「それぞれが逃げる」という意味だったと思います。オタマジャクシもそれぞれが舞っています。

⑭ 蛙(カワズ)聞く昔語りの先触れか

これから昔話が始まるのでしょうか?

⑮ 誰がために尻尾捨てしや蛙鳴く

どうしてしっぽを捨ててしまったのでしょうか?水中から陸へと生きるため。「誰のために」という言葉を使ってみたかったという作者。


⑯ 葉の上に恥ずかし茶色の雨蛙

「葉の上の」としてはどうかという意見がありました。「に」では説明的かも?

⑰ 旅枕子の背とんとん蛙鳴く

優しい一句。旅枕で時を超えた感じがしました。

いかがでしたでしょうか?なかなか難しいお題でした。来月は梅雨入りして蛙にとっては嬉しい季節。人間にはどうでしょうか?
来月のお題は「『雨』の字を持つ夏の季語」です。
梅雨・梅雨晴れ間・五月雨・白雨・雷・夕立雲など。
『雨』が含まれていれば、どの季語でもOKです。

さて、どんな雨が降るでしょうか?6月19日(水)午後1時20分 愛知芸文センター12階でお待ちしています。麗
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