
この句は2~3年前、知多半島の師崎の「花広場」に妻と一緒に訪れた時の句である。
「花広場」は海を臨む丘一面に菜の花が咲き”黄色の絨毯”で、彼方に煌めく伊勢湾には、巨大船が往来していた。
腰の痛い妻は膝をついて、”今夜の菜に”と採り放題の菜の花を摘んでいた。
これが句の背景である。しかし私は少し怠けて、中七の「菜の花を摘む妻」では字余りになるからと、
兼題で歳時記にもあった「草摘む」をそのまま頂いてしまった。
これでは「雑草を抜いた」とも取られ兼ねない・・と、気が付いたのは投句の後であった。
歳時記を見ると「菜の花」があり、「花菜」も載っていた。ならばここは「花菜摘む妻」となる。
そうすることで下五の「沖の船」との繋がりも出来、読者にも句の背景が分かって頂けたかと思う。
ただただ手抜きをして、歳時記に「菜の花」を探さなかった私の失敗であり、
写生写生と言って置きながら「菜の花」の存在を見落とした甘さを恥じ入るばかり。
「膝をつき草摘む妻や沖に船」→「膝をつき花菜摘む妻沖に船」
もう1句。今月の自由題の「吾呼びて水に顔出す池の鯉」の句も失敗だ。
”鯉が水に顔を出すのは当たり前”で、ここも、その折りの情景の描写、写生を効かさなければならなかったと、
反省の句会であった。
「吾を呼ぶ水に顔出す春の鯉」→「吾を呼ぶガバと口出す春の鯉」(等)?