ローカル線のひなびた駅に降りたったのは自分ひとりだけ。千香子さんは情景が浮かんできて寂しさがひとしおとの感想でした。以下等さんからです。
道端や家庭のお庭にはいろいろな花が咲いていますが、この時期は何といっても鮮やかなのは「紫陽花」です。中でも私は可憐で淑やかな白い紫陽花が一番好きです。
お題を頂いたとき、まず頭に浮かんだのは、お殿様が亡くなった時、多くのお小姓が殉死した「定光寺」にもあったでしょう「白い紫陽花」です。
しかし今は免許証がないため、それを確かめることが出来ず、全世界を揺るがしているウクライナ戦争の犠牲者を慰める方向へと変えることにしました。
- 紫陽花の花泪たたえて揺れにけり
これでは余分なところが多い感じです。
- 揺れ止まず紫陽花の花泪して
これをさらに整理しました。
- 泪して白き紫陽花揺れ止まず
そしてこの句を兼題として投句することにしましたが、直前になっても“それで良かったのか”との思いが消えませんでした。
しかし6月9日、長年掛かっている内分泌内科のお医者さんが高蔵寺にあり、ここで首の動脈検査をするというので、高蔵寺から定光寺へ行くことにしました。そして高蔵寺からの帰りに「定光寺駅」で降り、歩いて定光寺へ向かいましたが、この日はお天気が良くて10分ほど歩いて”とてもとても“と諦め、運よく無人駅の周りに紫陽花も咲いていたのでこれをテーマに切り替えました。
- 無人駅降りれば紫陽花ひからびて
これでは紫陽花のことしか詠んでいない「単純写生」で、無人駅や紫陽花の淋しさも出ていません。
- 無人駅降りれば一人あじさいの花
これでもまだ情緒がありません。歳時記を調べてみたところありました。「紫陽花」は「手毬花」とも言うそうです。
そうなれば「客は一人、毬をつく人も一人」です。
- 無人駅客われ一人手毬花
こうして「兼題」には「無人駅」の句を、「自由題」には「白い紫陽花」の句を当てることにしましたが、さて如何だったでしょうか。 等
亜子さんのご指摘として、手毬花は紫陽花とはまた別の植物で、実際にあるとのことでしたが、
一人ぼっちでつく毬の寂しい音がオーバーラップしてきてこの花がとてもきいているように思いました。
ちなみに等さんの自由題は
泪して白き紫陽花揺れ止まぬ 等
遅足さんがとられています。 郁子