575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

雁の風呂                愚足

2008年03月03日 | Weblog
 歳時記には想像もつかない季語が載せられているが、「雁の風呂」もその一つだ。
 説明を読むとこんな事が書いてあった。
 この季語は、津軽地方に「雁の風呂」という民話が伝えられ、それに由来するという。
 シベリアから飛来する雁は、海上で羽根を休めるために小さな木片をくわえてくる。日本に着くと、浜辺に不要になった木片を落としていく。
 やがて春が訪れ、再び日本を去りシベリアに帰るときに、おのおの、その木片をくわえて飛び去っていくのである。
 しかし、日本で越冬中、捕らえられたり死んだりしてしまい、雁が飛び去った後にいくつかの木片が海岸に残される。
 村人たちは、哀れな雁を思い涙にくれ、その木片を持ち帰り、雁の供養のために風呂をたくという。

    雁風呂や海あるる日はたかぬなり      高浜虚子
    雁供養星見えぬ夜は海荒れて        成瀬櫻桃子
    雁風呂のもう一焚べのほしきかな      辻 桃子
    砂山にぽかと月あり雁供養         永田青嵐
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独活(うど)                 愚足

2008年03月02日 | Weblog
 母親が好きで「うど」がよく食卓に出た。
 昭和三十年前後で、好き嫌いが言えるような時代ではなかったが、こんな味気ない食べ物があるものだと感心したくらいであった。
 味噌をつけてかろうじて呑み込んだ。
 さすが齢を重ねた今はその味わいが分かるようになった。
 若芽の天麩羅、ぬたや酢の物、和え物、煮付け、皮のキンピラ歯ざわりが何ともいえず楽しめる。
 栽培は古く江戸時代の「本朝通鑑」に路地で盛り土をして白く柔らかな軟白栽培が行われていたと言う。
 現代ではヤマウドが好まれるためわざわざ日光を当てて緑化してヤマウドと称して販売していることも多いそうである。

  雪間より薄紫の芽独活かな         芭蕉
  独活の芽に鋭き五官もてあます       長谷川かな女
  山独活やひと日を陰の甕の水        桂信子
  山独活のひそかなる香の我が晩餐      有馬朗人
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冴え返る聞き得ぬはずの汽車の音  角谷久寿男

2008年03月02日 | Weblog
先日、塔句会が熱田区白鳥庭園の晴羽亭で開かれました。
春は名のみの寒い一日で、時折、雪も。
そこで出会った句です。

冴え返る聞き得ぬはずの汽車の音  角谷久寿男

寒い夜になると、昼間には聞こえなかった汽車の音が耳に届く。
そんな子供の頃を思い出させる句で、かなり票を集めました。
私は採りませんでした。
いまでは、蒸気機関車は引退。建物が高層化し、密度も濃くなって、
冴え返るような夜になっても、列車の音は聞こえません。
昔を思い出して詠まれたのかな、と思いました。
しかし家に帰って気づきました。
作者は昔を思い出してつくったのではない。
今、聞き得ぬ汽車の音を聞いたのだ!シマッタ!

    

 冴え返る。

春めいた頃、急にぶり返した寒さ。
「冴え」は、冬の季語で、鋭く澄んだ冷気を感覚的に表現したもの。
春が来たかと思っても、また冬に引き戻される。
寒さは一層染み渡ります。


この他にも良い句が沢山、なかでも、気に入った句です。

  早春の向こう岸へと飛ぶかもめ 角谷久寿男

  鳥帰る宮の渡しは少し先    石田等

                                     遅足


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どれみふぁのふぁの字作った一年生   朱露

2008年03月01日 | Weblog

  三男の娘はこの春一年生で「ふぁ」の字で悩んだ。
  兄貴たちに教わらず自分のひらめきで作ってみた。
  ここでは書けない奇妙奇天烈な「ふぁ」ができた。
  彼女の「社会との戦い」は「ふぁ」から始まった。

コメント (1)
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