575の会

名古屋にある575の会という俳句のグループ。
身辺のささやかな呟きなども。

早蕨        草女

2010年04月23日 | Weblog
 この時期、海上の森を歩くと数多くのシダ植物が芽を出してきていることに気がつく。海上の森には多くの流れがありその近くにシダ植物がことに多い。仲間にシダ植物 に感心を寄せている人がいて私達もかなり種類が分かるようになった。それまではどれも似ていて見分けがつかなかったものだ。
 殆どのシダ植物はこの時期新芽を巻いて出てくる。色もきちんとした緑ではなく、赤っぽっかったり、薄い黄緑だったりして人目を引く。森の流れは速く流れに洗われそうなシダの新芽をみていると、志貴皇子の  「石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも」  が思い出される。私は森を歩き始める前からこの歌が好きだったし今もとてもいいと感じている。まだ温かくなってはいないが、春の光が満ち溢れ人々の喜びが伝わってくる。でも森を歩くようになってこの歌に違和感を感じるようになった。

 ワラビは夏緑性多年草のシダ植物で丘陵地や草原の広場や道ばた、または平地の道ばたや広場に多い。乾いた日当たりの良い場所が好みで滝までいかなくても流れの近くに生えることは殆どない。早蕨を蕨と思いこまされていたのが間違いのもと。蕨のように先が丸く渦巻いて出てくるシダ植物は多いし、垂水の上や近くを好む種も多い。

 講談社の日本大歳時記も朝日新聞社の草木花歳時記春もこの歌を例にとり、早蕨を萌え出たばかりの蕨を早蕨といい・・・と解説しているのを読むと自信がなくなるけど、垂水の上の早蕨はワラビではなく、水辺を好む違うシダ植物だと思っている。
 

  
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4月句会の最終結果です。  遅足

2010年04月22日 | Weblog
立雄さんの選句が届きました。
4月句会の最終結果です。

題詠「春の海」

①散骨のこと語りあふ春の海 (亜子)愚足・静荷・結宇・遅足・能登・晴代・鳥野・立雄
②横に置くメタボの数値春の海 (静荷)
③曙光差し早や黄金色春の海 (立雄)郁子・亜子・晴代
④足開く春は海からやってくる (遅足)亜子・麗子
⑤崖下り小石先行く春の海 (朱露)郁子・狗子・結宇・能登・童子・立雄
⑥春の海この向こうには何がある (麗子)能登
⑦ひげ立てて猫風吹かる春の海 (結宇)狗子・童子・朱露
⑧春の海巨船も島も錦(きん)の中 (晴代)
⑨春の海潮目に銀のシンフォニー (郁子)愚足・静荷・麗子・狗子・遅足・晴代・童子
⑩舟ばたに胎内リズム春の海 (能登)愚足・郁子・亜子・静荷・朱露
⑪おさな児のなげし貝がら春の海 (愚足)結宇・鳥野・立雄
⑫春の海見に来て昼は焼きうどん (狗子)麗子・遅足・鳥野・朱露


自由題

①入学し蒲鉾兵舎渡り歩く (朱露)狗子
②清らかに園児らを待つ朝桜 (麗子)
③コロセオに十字架黒ずみ春の雨 (結宇)静荷・晴代
④たんぽぽの絮の追いつく三輪車 (晴代)愚足・郁子・亜子・静荷・麗子・狗子・結宇・遅足・鳥野・朱露
⑤源平の桃うらうらと花まつり (郁子)童子
⑥寒暖に咳の残りし春愁ひ (愚足)能登・立雄
⑦静かなる人に横顔むべの花 (遅足)郁子
⑧彫像の軍馬撫でれば春の雨 (亜子)愚足・麗子・狗子・結宇・遅足・鳥野・童子・朱露
⑨降り止まぬ常盤木落葉句友の忌 (静荷)亜子・能登・鳥野
⑩散る花を踏み分け登る千光寺 (立雄)能登・晴代・童子・朱露
⑪水たまり花びら浮かぶ子規の町 (能登)亜子・結宇・遅足・立雄
⑫また一つ政党が増え花吹雪 (狗子)愚足・郁子・静荷・麗子・晴代・立雄

 ★次回は 五月十九日(水) 午後六時 安田屋。

  題詠は「五月晴れ」です。


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春の海句会   麗

2010年04月22日 | Weblog
あまりにも有名な俳句があるばかりに
苦労した「春の海」。
お孫さんと海にわざわざ出かけてみたり、帰りに焼きうどんを食べたり。。

難産でしたが、春の海には何かを生み出す力が
内包されている気がしました。
穏やかな中にも確実にある力強さといいった感じでしょうか?


郁子さんの

    春の海潮目に銀のシンフォニー

はトップ賞のひとつ。「銀のシンフォニー」とはなんと私的な表現でしょうか。。。
うっとりしてしまいます。お嬢さんがブラスバンドを精力的にやっておられることを知っている
私には「潮目」が「塩見」(お名前です)と読め

   春の海塩見に銀のシンフォニー

新たな一歩を踏み出したお嬢さんへのはなむけの一句にしたいです。

句会で散骨の話題が出たからか、昨夜、散骨を触っている夢を見ました。
さらさらとした感じではなくざらついた感じが恐ろしくて目が覚めました。
ちょっとシュールな夢でした。

来月の兼題は「五月晴れ」となりました。
折しも鳩山首相が昨日、普天間基地移設問題で「今は大変厳しい天気かもしれないが
必ず五月末までに五月晴れにしないといけない」と語ったとか。

      普天間や五月末には五月晴れ   


といきたいところでしょうが、なんだか「木下闇」になりそうな。。。麗
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春深し多米街道に寺の鐘    朱露

2010年04月21日 | Weblog

      二十一世紀の風景には見えないが、
      豊橋の人なら赤岩寺の鐘だと分る。
      奈良時代からの寺で頼朝も寄った。
      私の散歩道だから四季を通じ寄る。

  春陰の響きエンジン点火する

      シュンインは言いにくく陰気な音である。
      「春の曇りがちな天候」と広辞苑は一行。
      書くも愚かなみみっちい反省にまみれる。
      「百米先のコンビニへ車で行くな」とか。


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仕分けは怖いぞ   鳥野

2010年04月20日 | Weblog
たまに出かける温泉地。宿の裏手の山裾に古い文殊堂があります。

自然石を埋め込んだ段々を昇り詰めると、まず六地蔵に出会います。

それぞれ優しいお顔、地元のお年寄りの丹精の、赤い頭巾と前垂れはいつも新しい。

地蔵尊はお釈迦さまが亡くなったあと、無佛の世に苦しむ衆生を救済するという
ありがたい菩薩さま。

その一方、六道への道案内をしてくださるお方、とも言われます。

六道、つまり、地獄、飢餓、修羅、畜生、天界、人間界のいずれに行くも、待っているのは
重い処罰。

この世で犯した罪によって振り分けられるのです。

いいお顔の菩薩さまも、ワタシには、現世での罪状を事業仕分けする恐ろしいお方に見えてなりません。

・  地獄への道案内を引き受けて山裾に座す地蔵穏しも

                     鳥野




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褒め褒め俳句詐欺          中日春秋より    ぐ

2010年04月19日 | Weblog
誰だって、自分がつくった俳句や短歌をほめられるのはうれしいものだ。そんな心理を逆手にとった悪質な商法が横行していると、国民生活センターが注意を呼び掛けている

▼「上手な俳句ですね。雑誌を発行しているので、掲載しませんか」「歌人会の会報を見ました。すばらしい作品です。大手新聞社に広告を載せてみませんか」。こんな感じの電話から誘いが始まる

▼無料と思って掲載を承諾すると、後になって十万円以上の掲載料を要求されることもある。解約を申し出ても「すでに印刷しているから解約はできない」などと開き直るのが一つのパターンのようだ。狙われるのはほとんどが七十歳以上のお年寄りで女性が八割を超える

▼昨年度の相談件数は、前年度の倍以上となる三百五十六件。相談があったのは氷山の一角にすぎないだろう。<ほめほめ詐欺>とでもいうような新たな手口には、十分にご注意いただきたい

▼総合的な対策が奏功し、昨年の<振り込め詐欺>の被害総額は約九十六億円と前年の三分の一まで減ったという。それでも、悪知恵を働かせて、人の弱みにつけ込む新しい手口を次々と考える輩(やから)が世の中にはごまんといる

▼腹立たしい限りだが、太宰治のこの言葉をかみしめると少しは心が晴れる。<だまされる人よりも、だます人のほうが、数十倍くるしいさ。地獄に落ちるのだからね>
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諏訪の御柱祭り      遅足

2010年04月18日 | Weblog
巨木が坂の上に現れる。
木遣りがうたわれ、斧が綱を切断すると、
人を乗せた巨木は一気に坂を落ちてゆく。
7年に一度の諏訪の大祭、御柱祭のハイライト「木落し」です。

4月の上旬。遊びにいった時が、ちょうど
下諏訪社の木落しの行われた時でした。

下諏訪社は春・秋の二社あり、合計8本の御柱が
山から切り出されて木落しが行われます。

朝から現地に向かったのですが、
沢山の観光客が詰めかけて、途中で通行止め。
木落しは見物出来ませんでした。
しかし、地元のケーブルテレビ局が3日間の祭を生中継、
8本のすべての木落としを楽しみました。

御柱は、じつに色々な落ち方をします。
一番最初の御柱は一直線に坂を駆け下りていきます。
乗っていた人も転がり落ちることなく無事ストップ。
この間、10秒もありません。

それ以外の御柱は、みな一度、止まったり、止まりかけたり。
そこから再び勢いを増して落ちて行きました。
(安全のために今年から坂の勾配を修正したそうです。)

最後の御柱は、坂の上に顔を見せてから
木落しまで、予定を1時間以上遅れました。
落ちていく時も、右に揺れ、左に揺れて、
乗っていた人は皆、振り落とされてしまったのです。

御柱にも、ひねくれものもあるようです。
最後の御柱は、背骨が曲っていて、上手に落さないと
怪我人や死者が出る可能性があり、
慎重な準備に時間がかかったのでしょう。

  綱切って神の柱を落しけり

  人の声和せば落ち行く御柱

  御柱落として山を喜ばす

 
山出しの終った8本の御柱は、広場に安置されます。
およそ一ヵ月後に里引きが行われて、氏子たちが
太綱に自分で持ってきた小さな綱を結び
木遣りにあわせて社まで引いていきます。
これは5月です。
それまでは御柱は休息の時間。

  御柱休みたまえと田を起す

   

思いがけない旅となりました。


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春暑しインタビューされる夢を見る    朱露

2010年04月18日 | Weblog

  「寝たままでいいのか」と気にする少々の正気。
  「気にすること自体が変だ」と分かって起きた。
  誰かにインタビューしたいままに寝てしまった。 
  ちょっと考えて「村上春樹氏」だとすぐ分かる。

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投資勧誘の電話    遅足

2010年04月17日 | Weblog
時々、夕方を狙って「投資の良いお話が・・・」と電話がある。
こちらが年寄りであると確認すると、
年寄り=コガネモチ、だと確信して勧誘を始める。
怒るのも大人気ないし、電話しているのが若者と思えば
失業中のわが子のことも気になって・・・

と、余り精神衛生によくない突然の訪問者である。

    

荻原先生のところにも勧誘があるようで、
こんな歌がブログに掲載されていました。

  投資に関心ありませんかと菜の花のやうな声にて電話がからむ
                          
                          荻原裕幸

我家は菜の花のやうな声じゃないです・・・



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縄文の人もまじえて蕨狩   遅足

2010年04月17日 | Weblog
船団の岡野泰輔ドクターの診断です。

平安、奈良を越えて一気に縄文まで飛んだのがよかった。
たしかに縄文人も蕨狩をしていたような。
万葉の蕨よりもっとなまなましい「食」
つまり「生」そのものすら感じてしまいます。
蕨に限らず春の草を摘む行為には、
熱中すると、ふっと現実の時空から
離れてしまうような瞬間があります。
そこに縄文人がいても不思議ではありません。

 ありがとうございます。

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夏近し文庫まで待つ春樹もの    朱露

2010年04月17日 | Weblog


       「1Q 84」とは面憎い男ではないか。
       「奇想天外より来る」とはこのことだ。
       「当り前の事に過ぎない」と彼は言う。
       まず「積んどく」の文庫本から読もう。

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スハマソウ?ミスミソウ? 草女

2010年04月16日 | Weblog
 4月8日、伊吹山3合目へ出かけた。ゴンドラが廃止され、湖国バスの本数も減り3合目はとても行き辛くなった。それでも行こうと思うのは草が多いからだ。昨年も同じ頃に行ったが、花達の咲くのはかなり遅いと感じ、初めて3合目に残る雪や山頂の残雪にで遭った。

 目的の草の一つはスハマソウ。州浜は三角州など浜辺にできる島形の洲やおめでたい時に使う台や和菓子をいう。それらがなぜスハマソウと結びつくのかやっと分かった。

 この和名は葉が州浜の紋様に似ていることに由来するとのこと。浜辺と入江の姿は水の流れでいろいろな形にかわる。その変化の様子を丸三つ組み合わせて紋にしたのだ。

 家紋のデザインには日本人の底力を感じるが、この州浜紋もすごい!! 妙に色っぽいのだ。

 問題は3合目にスハマソウとミスミソウがあると仲間が言いだし、私達が必死にどちらなのかと観察をしたのにさっぱり分からなかったことだ。キンポウゲ科ミスミソウ属の多年草。いわゆる雪割り草はこの二つを区別しないでの別名。両者の違いは3裂した葉の先が尖るか尖らないかなのだ。これが、実際に観察してみると尖っているようにもいないようにも見えるのだ。帰宅して講談社の「野草 見分けのポイント 図鑑」を調べてみたら、葉の裏に光沢があるかないかも見分けのポイントとかいてあり、これ

 を知っていたら、あんなに困らなかったかも。 持っていくことができる図鑑は限られるから電子図鑑がほしいといつも思っている。まだ私が欲するものが発売されていない。残念なこと。
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市役所の13階の春景色    朱露

2010年04月16日 | Weblog

     豊橋で一番高い所から四方を眺めた。
     江戸時代と似たような俯瞰風景かな。
     「民草」という言葉が浮かんで来る。
     毎日見ていると危ないんじゃないか。

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春の海   麗

2010年04月15日 | Weblog
前回の句会の最後に何となく
兼題を「春の海」に決めてしまったものの
あまりの寒さに海はおろか近くの公園までも
足が遠のいています。

最後に春の海を見たのは飛行機の上から。
その日は晴天で四国の桂浜あたりがよく上空から見えました。
150年ほど前、坂本龍馬が「この海の向こうに何があるのか知りたいがじゃ!」
と叫んだ浜辺を機上から眺められる幸せ。

あの時代の人にも見せてあげたい気持ちになりました。
思えばいぜれの海も五つの大陸と繋がっているのですね。


      大陸を目指して海は繋がっている    麗
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春の海渡るものみな映しをり  矢野玲奈

2010年04月15日 | Weblog
4月句会が近づいてきました。
今回の宿題は「春の海」


作者は、四季のない外国暮らしの子供時代をすごしたという。
地球を上空から見る機会が多かったかも。

眼下の春の海。自分の乗った飛行機の影が海を渡っていく。

あるいは作者は地上から上空を見上げているのかも。
鳥、蝶、そして雲などが海を渡っていった。
そんな遠く旅をするものたちを映し出す春の海。

みなさんの春の海は、どんな海でしょうね?

  父さんと他人を呼べり春の海   遅足

他人同士が出合って結婚、いつの間にか呼び方が変わって
父さん、母さんに・・・





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